【事例付き】工場の節電・電気代削減のポイント

更新日:2025.07.2

電気メーターをチェックする作業員

設備機器が多くある工場では、日常的に大量の電力を消費します。昨今の電気代高騰により、月々の電気代に頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。加えて、政府のカーボンニュートラルの推進によって企業にも省エネが求められていることもあり、節電に対する具体的なアクションを検討している方もいらっしゃるでしょう。

そこで本記事では、工場の節電・電気代削減の方法を分かりやすく解説します。節電・電気代削減に取り組むと、コスト削減以外にもさまざまなメリットがもたらされます。本記事を参考にして、工場の環境や状況に応じた節電対策に取り組みましょう。

工場の平均的な電気使用量

工場の1カ月の電力使用量は、工場の規模によって大きく異なります。一般的には、小規模な工場で1,000kWh程度、中規模で10万kWh程度、大規模な工場では100万kWh以上になることもあるとされています。なお、どの業種の工場なのかによっても電力使用量は変わるでしょう。

特に製造業は、さまざまな業種の中でも電力使用量が多い業種です。2022年度の製造業全体の電力の消費量は、1,997億4,400万kWhでした(※)。「製造業」を含んだ電力消費量は、以下のようになっています。

業種 電力消費量
製造業 1,997億4,400万kWh
非製造業(農業・林業、漁業、鉱業、建設業など) 112億9,700kWh
電気・ガス・熱供給・水道業 223億3,000kWh
情報通信業 165億5,500万kWh
運送業・郵便業 201億400万kWh
卸売業・小売業 1,028億2,000万kWh

(※)

業種によって事業者数も異なるため、一概に比較はできませんが、製造業が他の業種に比べてかなりの電力を消費していることは一目瞭然です。

※出典:経済産業省 資源エネルギー庁.「「令和4年度エネルギー消費統計調査」統計表一覧(石油等消費動態統計含まない)(第1表 燃料・電力・蒸気受払表‐(2)電力受払表(xls形式))」.https://www.enecho.meti.go.jp/statistics/energy_consumption/ec001/2022_02/ ,(2024-03-29).

工場の節電・電気代削減は年々重要性が高まっている

月々の電力使用量は工場ごとに異なり、電気料金は契約している電力会社や契約プランによっても変動します。しかし、どの工場でも、近年の電気代高騰は事業運営に深刻な影響を与えているのではないでしょうか。

2021年頃から始まった電気代の高騰は、2023年に政府の緩和措置の影響で一時落ち着きを見せましたが、政府の補助金支援事業の終了や再生可能エネルギー発電促進賦課金の上昇などにより、2025年5月からは大手電力10社で電気代が再び値上がりになります。

特に消費電力の多い工場にとって、電力使用量の削減と電気代の節約は、コスト削減だけでなく、事業を継続できるかどうかにも直結する重要な課題といえるでしょう。

節電・電気代削減を実施するメリット

節電・電気代削減を実施する大きなメリットは、コスト削減による収益性の向上です。前述した通り、電気代の高騰により、工場の電気代は大きく膨れ上がる傾向にあります。節電を行って電気代を削減すれば経費を抑えられるので、自社の利益率アップにつながります。

また節電の取り組みの中には、設備の最適な運用を行うことにより、設備にかかる負荷を軽減できるものもあります。これによって設備の寿命を伸ばす効果が期待でき、修理や買い替えにかかる費用も抑えられるでしょう。

加えて節電対策を行っていることは、企業のイメージ向上にもつながります。環境に配慮する姿勢が評価されれば、新たな取引機会の創出や人材採用、資金調達など、あらゆる面でメリットをもたらしてくれるでしょう。

【事例あり】工場の節電・電気代削減の方法

では、具体的にどのような取り組みを行えば、工場の節電・電気代削減が実現できるのでしょうか。具体的な方法を事例とともに解説します。

1. 電力モニタリングシステムを導入する

工場の節電・電気代削減を実現するには、電力モニタリングシステムの導入がおすすめです。

電力モニタリングシステムは、電力使用状況を計測できるシステムです。設備機器とシステムを連携させることにより、設備単位で使用電力を見える化できます。計測したデータを参照してより多くの電力を消費している設備を見極めることで、効果的な節電・電気代削減施策が打ち出しやすくなります。直接、節電・電気代削減に直結するわけではありませんが、省エネへの取り組み段階として、効果的な方法だといえるでしょう。

カナデンでは、電力の見える化を支援する電力モニタリングシステム「ESP Dragon」を扱っています。ESP Dragonは、使用電力量を分かりやすくリアルタイムで表示できるシステムです。設備単位で電力使用状況を確認できるだけでなく、グループ化して表示させることもできます。

また、電気工事なしに簡単に取り付けられるIoT電力センサユニット「DDSシリーズ」や、既存のアナログメーターに後付けして設備の監視を行うIoT角度センサユニット「PAKシリーズ」など、その他にも電力使用状況を可視化できる製品を取り扱っているため、ニーズに応じた導入が可能です。

2. 空調管理システムを導入する

空調管理システムを導入し、空調の節電・電気代削減に焦点を置くのも一つの方法です。

従業員が快適に働ける環境を作るためには、冷暖房の使用が欠かせません。しかし、敷地面積が広く、天井が高い工場は空調効率が低い傾向にあるため、空調による電力消費量は無視できないものとなっています。

空調管理システムは、空調設備を自動制御し、温度管理や湿度管理の最適化ができるシステムです。快適な環境を維持しつつ、空調による電力消費の無駄を抑えて、電気代削減に貢献します。

カナデンで扱っている省エネ・節電システム「Ai-Glies」は、室外機の自動制御によって電気代を抑えながら、気候・天候に合わせた適切な空間を維持できる空調管理システムです。

ある病院は、節電対策の自動化を目的に「Ai-Glies」を導入しました。その結果、年間の電気代を約414万円削減することに成功しています。CO₂排出量も、年間約93.0t削減し、カーボンニュートラルの実現にも貢献しました。

こちらのページでは4コマ漫画で「Ai-Glies」をより分かりやすくご紹介しているので、ぜひご覧ください。
▶省エネ・節電システム『Ai-Glies』(株式会社ドッドウエル ビー・エム・エス)|4コマ漫画でわかる取扱製品|株式会社カナデン 製品サイト

3. LED照明を導入する

LED照明を導入することも、工場の節電・電気代削減対策に効果的です。

工場には、消費電力が大きい蛍光灯や水銀灯が多く使用されているところがあります。これらの照明を、消費電力の少ないLED照明に切り替えれば、大幅な節電効果が見込めるでしょう。

カナデンでは、補助金を活用したLED照明への切り替えをご提案しています。ある倉庫では、水銀灯400形の照明器具150台を、人感センサ付きLED照明に切り替えました(※)。その結果、ランプ交換費用を含めて約579万円かかっていた照明器具のランニングコストを、約78万円まで大幅に抑えることに成功しています(※)。

LED照明の導入時には補助金の活用が大きなポイントとなります。前述のケースでは、人感センサ付きLED照明の導入費用が約931万円なのに対し、センサなしのLED照明は約785万円でした(※)。しかし補助金によって約310万円の補助を受けることができ、人感センサ付きLED照明を約621万円で導入することが可能となっています(※)。補助金を活用することで、最先端の照明器具をより手軽に導入できるため、費用対効果を考えた際にも非常に有効な手段です。

さらに、人感センサを導入することで、照明の不要時使用が抑制され、年間のランニングコストがさらに低減しました。センサなしのLED照明と比較して、約38万円もコストを抑えることができています(※)。補助金を活用しながら人感センサ付きLED照明を導入すれば、初期費用だけでなくランニングコストもお得になる点が魅力です。

カナデンでは、天井が高い工場内に適したLED照明はもちろん、事務所に適したLED照明など、用途に合わせて選べるさまざまな照明器具を取りそろえています。

こちらのページでは、製品の詳細をご紹介しているので、ぜひご覧ください。
▶LED照明|株式会社カナデン 製品サイト

※出典:MITSUBISHI ELECTRIC.「LED照明器具対象の省エネ促進補助金のお知らせ」.https://info.kanaden.co.jp/l/897731/2025-04-20/w81w9/897731/1745198735FuRafP62/20250421_SEO______________________________________.pdf ,(参照 2025-05-16).

4.デマンドコントロールに取り組む

工場の節電・電気代削減を実現したいなら、デマンドコントロールにも取り組みましょう。

デマンドコントロールとは、30分ごとの消費電力平均値である「デマンド値」を監視し、消費電力量の調整を行うことです(※)。1カ月のうち、最も高かったデマンド値は最大デマンドと呼ばれます。電気代の基本料金は、当月を含めた過去12カ月のうち、最も高い最大デマンドが反映されるため、デマンド値が高くなればなるほど電気代も高くなってしまいます(※)。デマンドコントロールを行えばデマンド値の上昇を防げるので、電気料金の削減が可能です。

デマンドコントロールを行うためには、リアルタイムで電気使用状況を監視し、使用電力があらかじめ設定した値を超えそうになると、自動で調整する「デマンド監視制御装置(デマンドコントローラー)」がおすすめです。

カナデンでは、デマンド監視制御装置の他、エネルギー使用量を計測する「エネルギー計測ユニット」、計測データを収集して管理する「省エネデータ収集サーバ」など、さまざまな省エネ支援機器を取り扱っています。電力使用状況の可視化によって、設備ごとに適した節電施策の立案にも役立てることが可能です。

※出典:関西電気保安協会.「デマンド料金制とは」.https://www.ksdh.or.jp/service/security/demand_fee.html ,(参照 2025-05-16).

5.ビニールカーテンを設置する

工場内にビニールカーテンを設置することも、節電・電気代削減につながります。

工場の出入り口や間仕切りに保温・保冷効果のあるビニールカーテンを取り付ければ、外気の侵入による室温の変動を抑えたり、間仕切りした空間内の快適な室温を維持したりすることができます。冷暖房の稼働率を抑えられる他、設定温度の緩和もできるので、高い電気代削減効果が期待できるでしょう。

取り付けが簡単で、コストもそれほどかからないため、取り組みやすい対策です。

工場の環境や設備の稼働状況によって導入可能な施策は異なる

一口に工場といっても、環境や設備の稼働状況はさまざまです。ここまで工場で導入しやすい節電・電気代削減方法や事例をご紹介しましたが、導入可能かつ効果的な施策は工場ごとに大きく異なります。

そのため、自社だけで節電・電気代削減方法を検討しても、効果的な施策を実装することは難しいかもしれません。自社にとって最適なソリューションを見つけ、確実に効果を得るためには、エネルギー分野に精通した専門家に相談するのがおすすめです。

自社で可能な節電・電気代削減方法を調べるために、まずは相談してみましょう

電気代の高騰が続く中、安定して工場を運営し続けるには、節電・電気代削減対策が欠かせません。本記事では比較的導入ハードルが低く、効果が得やすい施策を解説しましたが、解説した通り、工場ごとに適した施策は異なります。自社に導入可能で、高い効果が見込める施策を実施するには、事例や情報収集に加え、専門家にも相談してみましょう。

さまざまな省エネ設備やシステムを取りそろえているカナデンでは、お客さまのご要望や工場の環境を踏まえて、最適なソリューションをご提案しています。

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また、活用できる補助金の種類や申請方法などのご相談に対応する「カナデン補助金ヘルプデスク」も設置しています。節電・電気代削減の実現や補助金・助成金の受給を丁寧にサポートいたしますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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