異常検知にAIを活用する方法とは?メリットや課題、導入例を紹介

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虫眼鏡に映る、白いパズルの中の赤い1ピース

工場の安定稼働には、設備・機器の保全が欠かせません。故障や不具合が発生してから対処するのではなく、それらの予兆を捉えて早期に対処しておくことが大切です。こうした異常検知にAIが活用され始めていることをご存知でしょうか。

本記事では、AIを活用した異常検知の手法や活用するメリット、導入時の課題についてわかりやすく解説しています。AIによる異常検知の導入事例や役立つ製品も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

AIを活用した異常検知とは

人工知能(AI)

はじめに、AIを活用した異常検知に関する基本事項を整理します。AIによる異常検知の主な手法や、「教師あり学習」「教師なし学習」の違いを把握しておきましょう。

異常検知とは

そもそも異常検知とは、設備・機器に異常が発生する兆候を捉えて早期対処に役立てることです。センサ等から収集したデータや画像データと、蓄積されたデータを比較することで、通常とは動きが異なるデータ(異常値)を検出します。人が認識できない微細な異常や変化を検知することが、不具合を未然に防ぐ上で重要なポイントです。

異常検知が高い精度で行われていれば、ダウンタイムを最小限に抑えたり、不良品を効果的に検出できたりします。異常検知システムを導入するメリットや、生産現場での活用方法については、次の記事もあわせてご参照ください。

▶異常検知とは?システム導入のメリットや生産現場での活用法

AIによる異常検知の手法

AIによる異常検知の主な手法として、「外れ値検出」「変化点検出」「異常部位検出」の3パターンが挙げられます。

外れ値検出

収集したデータのうち、他のデータとは大きく異なる数値(外れ値)を検出する手法です。複数の要因が絡み合った異常なども検出できる点が強みといえます。

変化点検出

データの推移を監視し、通常のパターンとは異なる動きを検出する手法です。変化が生じた時点を特定しやすい点が強みといえます。

異常部位検出

通常とは明らかに異なる挙動などを検出する手法です。画像診断でよく用いられています。

【製品例】

教師あり学習と教師なし学習の違い

AIによる機械学習には「教師あり学習」「教師なし学習」の2パターンが存在します。両者の違いは、正常時/異常時のデータを事前に与えるかどうかです。すでに一定量のデータが収集されている場合には、教師あり学習で対応できるでしょう。

一方で、故障発生の頻度そのものが低い設備・機器に関しては、教師なし学習で対応するほうが現実的なケースが少なくありません。もしくは、限られたデータからパターンを学習する半教師あり学習を活用するのも1つの方法です。

AIを異常検知に活用するメリット

工場の製造ラインで作業員がタブレットを確認している様子

異常検知そのものはAIを駆使しなくても実行可能です。では、AIを異常検知に活用することで具体的にどのようなメリットを得られるのでしょうか。

異常検知の精度を高められる

1つめのメリットは、異常検知の精度向上が期待できる点です。目視による点検や確認作業では発見が容易でない微細な振動など、異常発生の兆候を高精度で検出できます。AIが従来のルールベース型システムと異なるのは、事前に学習したパターンだけでなく、類似するパターンも検出できることです。自社の工程をAIがパターン学習するため、使い込むほど精度が高まります。

人的リソースの抑制につながる

人的リソースの抑制につながることも、AIを異常検知に活用するメリットの1つです。従来は従業員が実施していた点検やチェックといった工程を自動化し、最終チェックなど重要な工程に人員を集約できます。また、目視や手作業ではさばききれない数量の点検等もこなせることから、全検査を容易に実施できることも大きなメリットです。従業員の負担を軽減しつつ、見落としなどの人的ミスを防止する効果が期待できるでしょう。

業務の属人化を防止できる

業務の属人化を防げることも、AIを異常検知に活用するメリットといえます。点検や巡回確認を担当する従業員ごとに、チェックの基準や判断のプロセスに差が生じるのを防げるからです。生産年齢人口が減少に転じたことにより、業務の属人化を解消するための対策はいっそう重要度が高まっています。業務の属人化防止は高均一な点検の実現につながるだけでなく、技術継承の観点からも重要なポイントです。

AIによる異常検知の課題

現場で悩みや課題を抱える作業員

AIによる異常検知を導入する際には、解決しておくべき課題もあります。次に挙げる2点に関しては、事前に対策を講じておく必要があるでしょう。

導入に相応の工数が必要になる場合がある

AIによる異常検知の仕組みを確立するには、相応の工数がかかる可能性があります。AIが学習するためのデータを用意したり、実際に異常を検知できるかテストを行ったりする必要があるからです。

事前に異常値を定義しきれない場合や、故障や不具合の事例が限られている設備・機器の場合は、教師なし学習を活用するのが現実的でしょう。AIが十分な学習データを得るまでテスト運用期間を設けるなど、計画的に導入を進めることが大切です。

一定量のセンサデータが必要になる

AIが異常を適切に検出するには、一定量のデータが必要です。とくに教師なし学習では、設備・機器に多くのセンサを設置することになる可能性があります。検知したいデータや設備・機器の種類に応じて、センサがどの程度必要になるのかを把握しておく必要があるでしょう。

センサを活用したIoTの活用事例や導入方法は、次の記事で詳しく解説しています。

▶製造業におけるIoTの重要性とは?活用事例・低コストでの導入方法をご紹介

【製品例】

AIによる異常検知の導入例

AIによる異常検知の導入例を紹介します。AIを活用することで得られるメリットや、具体的な製品例とともに見ていきましょう。

設備・機器の予知保全

設備・機器の微細な振動や異常な挙動を検知し、早期発見に役立てている事例です。目視で確認できる明らかな異常が生じる頃には、設備・機器に重大な不具合が発生している可能性があります。故障した部品だけでなく、連動する部品にまで影響が及んでしまうことも少なくありません。AIが正常時/異常時のパターンを学習することによって、予知保全の精度向上を実現できます。

【製品例】

予知保全については次の記事もあわせてご参照ください。

▶予知保全とは?導入の重要性や知っておくべきメリットと導入フロー

不良品の検知

原料の選別作業や完成品の検品にAIを活用し、不良品の検出精度を高めている事例です。目視や手作業で不良品を漏れなく選り分けるには、相応の経験とスキルが求められます。また、生産量が多くなるほど全数検査が困難になりがちです。不良品の見落としを防ぎつつ、従業員の負担や検査コストを低減できることは、大きなメリットといえます。

【製品例】

作業ミスの検知

AIによる異常検知を作業ミスの抑止に役立てている事例です。カメラ映像に映った人物から得た骨格情報や画像情報を用いて、どのようなアクションが行われているのかをAIがリアルタイムで解析します。ねじの締め忘れや通常とは異なる機器の操作などが生じていないか常時チェックできるため、不良品の発生を防げることに加え、作業者の安全確保にもつながるでしょう。

【製品例】

事故防止

製造現場における事故の防止にAIを活用している事例です。カメラの映像をAIが分析し、特定のエリアへの侵入や転倒事故を検知します。死角になりやすい箇所での事故など、発見が遅れかねない事態にも対処しやすくなる点が大きなメリットです。また、作業員が少なくなりやすい時間帯にも異常を知らせる仕組みが確保されることにより、工場の安全対策が強化される効果も期待できます。

【製品例】

工場に監視カメラを導入するメリットについては、次の記事もあわせてご参照ください。

▶工場に監視カメラを導入するメリットとは? 機能や活用事例をご紹介

AIを活用して異常検知の精度を高めよう

異常検知は、設備・機器に異常が生じる兆候を捉え、早期対処を実現する上で重要な取り組みです。一方で、異常発生の兆候には多くのパターンがあるため、あらゆるパターンを事前にプログラムしておくのは容易ではありません。AIを活用することで、学習データと類似するパターンを検出できる可能性が高まります。異常検知の仕組みにAIを取り入れて、不具合発見の精度を高めてみてはいかがでしょうか。

製造現場の安定稼働には、設備や機器の状態を正確に把握し、異常の兆候を早期に捉えることが欠かせません。カナデンでは、AIによる異常検知をはじめ、予知保全や画像検査に役立つ製品・ソリューションをご提案しています。現場課題に合わせた導入方法や運用設計についてもサポート可能です。AIを活用した異常検知に関するご相談は、どうぞお気軽にお問い合わせください。

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