監視カメラのトレンドを徹底解説|AI搭載カメラを活用するメリットとは

公開日:2024.12.26 更新日:2024.12.26

監視カメラのトレンドを徹底解説

AI(人工知能)が我々の生活のさまざまな場面で活用されています。監視カメラもその一つといえるでしょう。監視カメラはこれまで文字通り監視やモニタリングの役割を果たしていたものの、実際に犯罪や事故を未然に防ぐ点で限界があったことは否めない事実です。しかし、AIが監視カメラの役割を劇的に変えようとしています。

ここでは、AIを搭載した監視カメラのメリットや、AIによって進化する監視カメラのトレンドを紹介します。

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AIを搭載した監視カメラとは?

従来の監視カメラと、AIを搭載した監視カメラ(以下、AIカメラ)には用途や目的に大きな違いがあります。従来、監視カメラを設置する目的は映像を記録したり、リアルタイムで監視したりすることが目的でした。つまり、監視カメラでの映像を必ず人が確認することが必要だったのです。

それに対してAIカメラでは、映像を記録するだけでなく、AIによる解析ができるようになりました。それを可能にするのがAIの「ディープラーニング」です。ディープラーニングとは、人間の脳の働きを模倣した人工知能技術であり、多層のニューラルネットワークを用いて、データから複雑なパターンを学習することを指します。ディープラーニングが注目されている理由は、その精度の高さゆえでしょう。監視カメラにも応用されることで、映像の中から特定の人、顔、車などを認識することが可能になります。

また、AIカメラには、「セグメンテーション」と呼ばれる機能を有しているものもあります。セグメンテーションとは、カメラで撮影された映像を解析し、人やモノの境界線をピクセル単位で識別する機能です。河川の水位をモニタリングしたり、自動運転で歩行者を検知したりするのに活用されています。

AIカメラは仕組みによって2つに分けられます。1つはAI処理をクラウド上で行うカメラ、もう1つはAI処理を端末(エッジ)で行うカメラです。前者はカメラで記録した映像をクラウド上にアップロードし、AI処理を行い、後者はAI処理を端末で直接行います。

ただ、撮影した映像データをクラウドにアップロードする場合、必ずインターネットを経由することになるため、情報漏洩などのセキュリティインシデントに気を付ける必要があります。また、ネットワーク通信量も増大する点も注意が必要でしょう。

それに対して、端末でデータを処理する場合はセキュリティリスクを減らせます。エッジAIカメラともいわれる端末でまずAI処理を行い、必要なデータのみをクラウド上にアップロードするからです。それにより、低通信量、低遅延でのデータ処理が可能になります。

監視カメラにAIを搭載するデメリット

AIカメラの導入には、デメリットもあります。セキュリティリスク以外での懸念点を2つ紹介します。

初期コストがかかる

導入する際に機器の購入費用に加え、システムを構築するのに費用がかかる上に、定期的にクラウドサービス、メンテナンスコスト、通信コストなどのランニングコストもかかることも覚えておきましょう。

しかし、長期的にみると、AIカメラの導入によって人件費を削減できるなど、コスト面でのメリットは大きいと言えます。

十分に活用するためには専門知識が必要

AIカメラによって収集したデータをマーケティングなどのビジネスに具体的に活用していくためには、データ活用に関する専門知識が必要です。映像解析の結果と他のITシステムが収集したデータを組み合わせて複合的な検証を行う必要があるからです。どのように活用していくのか、事前に充分検討し導入の相談をされることをおすすめします。

AI搭載の監視カメラを活用するメリット

デメリットについて先に述べましたが、それ以上に得られるメリットの方が大きいでしょう。監視カメラにAIを搭載するメリットは以下の通りです。

24時間監視で異常を検知できる

前述したようにこれまでの監視カメラは特定の場所に設置され、その状況をリアルタイムに撮影した映像を人が張り付いてモニタリングしたり、万が一の場合の証拠収集に役立てたりすることが目的でした。

それに対し、AIカメラでは24時間監視し、収集しつづけるデータを解析することで、通常とは異なるポイントを高精度に検知できます。つまり、実際に異常が発生する前に、異常な事象・行動を検知することができ、犯罪防止や早めの対処につながるのです。また、常に人がモニタリングし続ける必要もありません。

コスト削減

AIカメラの用途は犯罪防止だけではありません。これまで人的リソースを割いてやっていた業務をAIカメラが代わりにやってくれることでコスト削減につながります。

例えば、AIカメラを活用して顔認証による出勤確認システムを使えば、勤務状況を自動で管理してくれます。また、店内にAIカメラを設置して、混雑状況を測定し、そのデータに基づいて出勤のシフトを管理すれば、人件費の削減にもつながるでしょう。

安全な労働環境を実現

AIカメラは過去のデータを解析して異常行動を検知できることから、犯罪予防につながる点についてはすでに言及しました。この特徴は製造業の現場などの安全管理にも役立ちます。労働災害につながりかねない危険な振る舞いや行動をデータとして抽出できるため、作業員の異常行動を瞬時に検知し、アラートを出したり、ラインを止めたりすることもできます。もちろん、AIカメラが誤認識すると生産性が低下するため、高精度での解析が求められることは言うまでもありません。

売上向上に貢献

AIカメラを店内に設置することで来客分析が可能になります。来客の属性と行動を紐づけし、セグメントごとにマーケティング分析すれば、より効果的な商品選びやより魅力的な店内レイアウトができるようになります。

これまでは経験や勘に基づいて行ってきたマーケティングをデータに基づいて行えるようになれば、売上向上につながりますし、予測も立てやすくなるでしょう。この点については以下に事例を紹介します。

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AIで進化する監視カメラのトレンド① 顔認証技術の高度化

監視カメラのトレンド

ここからはAIの進化とともに変化する監視カメラのトレンドについて分析します。一つ目のトレンドは顔認証技術の高度化です。

顔認証技術とは、カメラが取得した画像や映像から人の顔を取り出し、本人確認する技術で、端末に顔認証システムが搭載されている「エッジ方式」と、マイクロソフトやAmazonなどのクラウドベースの外部APIソリューションを使用する「クラウド方式」に分けられます。

エッジ方式は撮影したデータを送信する必要がなく、リアルタイムに顔認証を行うため遅延がない点が特徴です。データベースにアクセスするタイプもありますが、その場合でも必要な画像データのみをやりとりするため、通信コストを抑えることができます。

それに対して、クラウド方式はインターネットを経由して顔写真データという個人情報をやりとりします。最大の懸念点は情報漏洩やハッキングが可能な点です。また、大量のデータのやり取りが必要になるため、通信コストもかさむ可能性があります。

また、顔認証技術はコロナ禍に進化が早まり、現在では、幅広くオフィスビルの入室管理、なりすまし防止、検温スクリーニングなどで活用されています。マスクをつけたままでも本人確認が可能な顔認証システムも開発されているほどです。

AIで進化する監視カメラのトレンド② 混雑状況の検知

混雑状況の検知の基盤になっているのは、AIカメラによって撮影された動画データに基づく人流解析技術です。これまでも人流解析技術は導入されてきたものの、人流が少ないときは高精度に解析できても、人が増えたときに歩行者が重なるなどの事態が生じた場合、精度の低下が懸念されていました。

しかし、近年、技術の進化により、人流が増加して人が重なったり、障害物に隠れたりしても高精度で解析できるようになっています。また、複数のカメラを連携させ、広いエリアにわたる混雑状況の検知をし、その上で同一人物を見分けたり、追跡したりできる技術も開発されています。

こうした人流解析の技術的進歩により、商業施設では来場者の導線に基づく最適なテナント設計が可能になり、空港や展示会では混雑状況に応じた適切なスタッフ配置ができるようになっています。さらに、サイネージ等の広告媒体の効果測定をしたり、街のにぎわいをつくり出す施策検討をしたりする上でもAIカメラが活用されています。

AIで進化する監視カメラのトレンド③ 来客分析

AIカメラを店舗に設置することで来客分析も可能です。撮影した動画データから、人数と属性(性別・年代)、滞留時間、導線、回遊状況などを測定します。さらにこれらのデータを可視化し、商品棚の陳列状況や商品の動きなどと比較することで、より精緻な来客分析ができるようになります。AIカメラに基づく来客分析に基づき、売場を改善すればより顧客に刺さる、魅力的な店舗を目指せるはずです。

例えば、大手菓子メーカーでは店舗の入口、主通路、アイス売場にAIカメラを設置し、それぞれの購買行動データを取得しました。これにより得られた、来客人数、アイス売場への到達人数、アイス売場における商品接触データを、POS購買データと比較することで、コンバージョン分析が可能になりました。

「来店したのにアイス売場に到達しない」「アイス売場に到達したのに、商品に接触しない」「商品に接触したのに購入しない」という各課題ポイントが明確になり、売場の改善を図った結果、アイス売場全体への売上向上につながったとのことです。

監視カメラの進化で向上した安全性・機能を活用しよう

得られるメリットを活かすためにも、セキュリティリスクには注意が必要です。特に取得するデータが個人情報であるため、インターネットを経由してデータをやりとりする場合にどんなセキュリティ対策を講じるかも合わせて導入の検討をしましょう。

カナデンでは、お客様のニーズに最適な業務用監視カメラの導入から導入後のアフターサポートまで、ワンストップでお手伝いいたします。最新のIoTやAI技術を活用したソリューション提案も可能です。監視カメラについてお悩みごとがあれば、まずはお気軽にご相談ください。

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