AGVの仕組み|走行方式や選び方を解説

公開日:2023.09.05 更新日:2023.09.05

AGV

AGVはさまざまなセンサを搭載しており、走行方式ごとに現在位置や向きを特定する仕組みは異なります。それぞれの走行方式の特徴を把握して、導入するAGVを選びましょう。

この記事では、AGVの走行方式ごとの仕組みについて紹介します。各走行方式に対するメリット・デメリットや充電方式の違い、選び方も解説するので、参考にしてください。

AGVの仕組み

AGVとは工場や倉庫、病院などで用いる無人搬送車のことです。AGVは磁界や光などで誘導され、基本的にはあらかじめ設定されたルートを走行します。

AGVの走行方式には複数の種類があり、走行方式ごとに、移動の精度やルート設定の負担などが変わります。

AGVの走行方式

AGVの主な5つの走行方式について、特徴や仕組み、メリットとデメリットを踏まえて解説します。

磁気誘導

磁気誘導式は、床に埋めた磁気棒や磁気テープに沿ってルート走行します。磁気棒や磁気テープを設置する際は、工事が必要です。磁気誘導式は採用実績が豊富で、工場や物流倉庫などさまざまな場所で活躍しています。

仕組み

磁気誘導式には磁気センサが搭載されており、磁界の大きさや方向性を検知して走行します。周囲に磁界への影響を与える設備や荷物があれば、磁気誘導式の移動に影響が出る恐れがあります。特に、鉄骨や配管が近いエリアで走行させる際は注意してください。

メリットとデメリット

磁気誘導式は指定したルートを正確に走行でき、ここで紹介する走行方式のなかでは比較的高速で移動可能です。磁気誘導式のデメリットは、レイアウトやルート変更の手間がかかることです。頻繁に搬送ルートを変えなくてはいけない現場であれば、磁気誘導タイプは不向きといえます。また、磁界の変化を検知する方法では、複雑な制御に対応しにくい場合もあります。

光学誘導

光学センサが搭載された光学誘導式は、床に貼られた誘導テープの反射を感知しながら走行します。磁気誘導式と同じように誘導テープを貼る走行方式ですが、光学誘導式の方が工事やルート設定にかかる費用を節約できます。

仕組み

光学誘導式には、光学センサや画像センサが搭載されています。床に貼られた誘導テープや反射板をセンサが感知して、走行する方向を決める仕組みです。なお、誘導テープや反射板が傷んでいると、光学誘導式は走行できなくなる恐れがあります。

メリットとデメリット

光学誘導式を導入するメリットは、コストパフォーマンスです。走行ルートの設定に使う誘導テープは、一般的なビニールテープでまかなえるためです。一方、光学誘導式は、ライトや日光、ホコリや粉塵によって走行が妨げられる可能性があります。明るい室内や屋外で利用すると、スムーズに走行できないリスクを把握しておきましょう。

画像認識

画像認識式は、二次元コードやARマーカーを読み取り、位置を認識して走行します。ルートの変更に速やかに対応でき、高精度な位置制御ができるところは、画像認識式の特徴です。

仕組み

画像認識式にはカメラが搭載されており、周囲の二次元コードやARマーカーを認識して位置情報を感知します。エリア内に二次元コードやARマーカーを貼り付ける手間はかかりますが、環境を整えさえすれば高精度な位置制御が可能です。

メリットとデメリット

画像認識式は、磁気誘導式や光学誘導式と比較して、自由にルートを変更できます。一方、画像認識式は障害物を回避できません。現在位置は分かっても周辺状況は分からないため、安全のために無人環境で走行させる必要があります。

レーザー誘導

レーザー誘導式は、あらかじめ壁や柱に取りつけた反射板にレーザーを当て、反射光をとらえて現在位置や向きを把握します。レーザー誘導式は自律走行が可能です。

仕組み

レーザー誘導式は、パルス間隔のレーザー光を周囲の物体に当て、反射光が戻ってくる時間を測定して、物体との距離やAGVが向いている方向を特定しています。反射板のレイアウト情報は前もってシステムにインプットされているため、三角測量法によって現在の位置情報を詳細に割り出すことが可能です。

メリットとデメリット

レーザー誘導式は走行ルートを比較的容易に変更でき、位置精度を特定する能力も高めです。一方、レーザー誘導式は画像認識式のように、ルート全体に反射板を取り付ける手間がかかります。また、反射板を準備するにはコストもかかります。

さらに、レーザー光を遮る物体があれば、位置精度を特定できません。柱が多い建物内や、荷物や設備の多い場所ではレーザー誘導式を使いにくい場合があります。

SLAM誘導式

SLAM誘導式は、誘導体を必要としないAGVです。SLAM誘導式は別名AMR(自律型協働ロボット)とも呼ばれ、カメラやレーザーなどを使って自動走行します。

仕組み

SLAM誘導式は、カメラやレーザーなどで取得した情報をもとに、現在地を推定した上で環境地図を作成して走行します。

SLAM誘導式には、Visual SLAMとLiDAR SLAMの2種類があります。Visual SLAMは連続した画像データをカメラで取得する仕組みです。LiDAR SLAMは赤外線レーザーを反射させて、連続した点群データを観測しています。

メリットとデメリット

SLAM誘導式は周囲環境を認識できるため、有人環境でも安全に使用できます。ルート上に障害物があるときは減速して回避し、軌道修正して目的地まで走行します。

ただし、SLAM誘導式が、いつでも現在地を正確に認識できるとは限りません。マニュアルを作成しておく、すぐに対応してもらえる業者を調べておくなど、トラブル時の対策を練っておきましょう。

AGVの充電方式

AGV

AGVの充電方式を、有線式・接触式・ワイヤレス式の3つに分けて解説します。充電やメンテナンスの手間、事故のリスクを把握しましょう。

有線の充電

有線式とは、AGVのバッテリーを取り外して外部の充電器に接続する充電方式のことです。多くのAGVは有線式を採用しており、複数のバッテリーを交換しつつ走らせます。

有線式のAGVを使用する際は、バッテリーの重さに気をつけましょう。バッテリーの重さは数十kg程度もあり、取り外しのたびに作業者に負担がかかります。万が一バッテリーを落としてしまうと、故障や事故、作業者の安全が懸念されます。

接触式の自動充電

接触式は、AGVが自動で充電場所に向かい、接触端子に触れて充電する仕組みです。バッテリー交換の手間を省ける接触式は、作業者の負担を減らして作業効率を向上させられます。

一方、接触式は、日頃のメンテナンスが重要です。接触端子に不備があればAGVが充電されず、スパークや感電による事故が起きる恐れもあります。

ワイヤレスの充電

ワイヤレス式も、AGVが自動で充電場所に向かいます。ワイヤレス式は非接触で充電でき、停止位置に充電設備を整えておけば隙間時間で充電可能です。また、接触端子がないため、メンテナンスの頻度が少なくて済みます。

AGVを選ぶポイント

AGVを選ぶときは、走行方式以外にも注目したいポイントがあります。AGVを選ぶポイントを解説します。

費用対効果で選ぶ

費用対効果を算出し、回収の見込みを立てられるAGVを導入しましょう。費用対効果を算出する際は、本体の費用や初期の工事費用に加え、間接的な利益や支出も考慮してください。

例えば、AGVを導入すると人件費を削減できるだけではなく、作業効率の向上により利益を伸ばせる可能性もあります。合わせて、メンテナンスなどで業者に支払う費用や、既存の設備やサービスとの連携で発生する費用も把握しておきましょう。

搬送物の重量に適したものを選ぶ

搬送物の重さによって、AGVの選び方は異なります。AGVの耐荷重を上回って使用すると、事故が起きたり、作業員が危険にさらされたりする恐れがあります。

搬送するものの形状や、屋内・屋外のどちらで使用するかも重要です。また、自社のニーズにマッチするAGVを求めている場合は、カスタマイズ性も考慮してAGVを選んでください。

まとめ

AGV

AGVの仕組みは、走行方式や充電方式によって変わります。走行方式には磁気誘導・光学誘導・画像認識などがあります。充電方式は、有線式・接触式・ワイヤレス式の3種類です。使用する現場や用途に応じて、費用対効果や搬送物の重量に適しているかなどを確認して、適切なAGVを導入しましょう。

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