AGFとは|必要とされている理由や導入メリットを解説

公開日:2024.06.27 更新日:2024.06.27

AGF

物流業や製造業といった分野で、重量物搬送をコンピューター制御によって自動で行えるAGF(無人搬送フォークリフト)が注目されています。

AGFのニーズが高まる背景にはどのような問題があり、AGFを導入することによって、どのようなメリットがあるのでしょうか。

本記事では、AGFの基礎知識と自律走行の仕組み、AGFを導入するメリットや注意点などについて解説します。物流や製造といった現場で重量物搬送に課題を感じている事業者の方は、ぜひ最後までお読みください。

AGF(無人搬送フォークリフト)の基礎知識

AGFとはAutomated Guided Forkliftの略で、コンピューター制御で動く無人搬送フォークリフトのことです。従来のフォークリフトは作業者が操縦しますが、AGFは製品や材料といった重量物搬送、入出庫、出荷、ピッキングなどを無人で行うことができます。AGFには、レール上を走行するタイプのほか、有人作業との組み合わせによって荷役や搬送を効率化するタイプなどがあり、特長はメーカーによってさまざまです。

物流や製造の現場では、以前から磁気テープやマーカーなどの誘導体によって、固定されたルートを自動で走行するAGV(Automated Guided Vehicle:無人搬送車)が利用されています。 また、近年は工場や物流センターのマップデータをもとに、センサーで位置を把握しルートを算出するなどして自律走行するAMR(Autonomous Mobile Robot:自律走行搬送ロボット)の導入が進んでいます。

AGFは、これらのロボットと連携させることが可能です。それにより、重量物搬送の無人化・自動化の範囲拡大が期待されています。

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AGFの自律走行の仕組み

AGFは、AGVのようにルート上に人間がいたり障害物があったりすると停止することはなく、自動で回避して走行できます。

AGFの自律走行を可能にしているのは、レーザーを用いた位置の認識と、センサーによる障害物の検知です。近年は、移動方向や移動量などを検出するエンコーダー、機器の角度や速度を計測できるジャイロスコープを併用するAGFも登場しており、自律走行の仕組みにはさまざまなバリエーションが生まれています。 また、AGFはセンサーなどによって、周囲の障害物も検知が可能です。搬送するパレットの位置や、ピックアップする場所にパレットがあるかどうかも認識できます。

AGFを複数稼働させる場合は、ソフトウェアを使うことで一括管理が可能です。工場や物流センター内をたくさんのAGFが動き回っていても、お互いの位置を把握できるため、衝突などのトラブルは起こりません。

AGFのニーズ向上の背景にある2024年問題

AGF

近年、AGFは製造業や物流業においてニーズが高まっています。その背景には、物流業界が直面している「2024年問題」があるといわれています。

物流業界の2024年問題とは、働き方改革関連法案により、物流業のドライバーの労働時間に上限が設けられることで生じる問題の総称で、そのひとつが「物流の停滞」です。近年、物流量はECサイトの拡大などを背景に増加傾向にありますが、ドライバーの労働時間に上限が設けられたことにより、物流が滞る可能性があるといわれています。

物流の停滞を解消するために必要なのが、搬送業務のリードタイムの短縮です。これは、物流業だけでなく、製品を製造し、工場から出荷している製造業でも同様です。 製造や物流の事業者はリードタイムを短縮するべく、デジタルツールを積極的に導入し、工場作業や倉庫作業の自動化・効率化を進めています。AGVやAMR、人間による重量物の上げ下ろしなどをサポートするアシストスーツは、その具体例といえるでしょう。

なお、フォークリフト作業においても、自動化・効率化が進んでいます。フォークリフトの運転には免許が必要ですが、近年は運転手の高齢化が進み、人材不足が大きな問題となっているのです。 業界全体で自動化・効率化が進む中、フォークリフト作業の担い手不足も解消できるツールとして、AGFが注目されています。

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AGFを導入するメリット

AGFを導入すると、具体的にはどのようなメリットがあるのでしょうか。AGFの導入によって得られる主なメリットをご紹介します。

人身事故のリスクを減らせる

AGFを導入すると、工場作業や倉庫作業の大きな課題である人身事故を減らせます。 人間がフォークリフトを運転する場合、ミスによる荷物の落下やフォークリフト同士の接触といった事故の危険性がぬぐえません。しかし、AGFであれば人間のように疲労することもなく、そのような事故が起きる可能性を大幅に下げることができます。

24時間稼働できる

24時間稼働できることも、AGFの大きなメリットです。人間がフォークリフトを運転する場合、稼働時間には限りがあります。しかし、AGFは無人かつ自動で動き続けるため、24時間稼働させることが可能です。夏場でも、人間のように熱中症になる心配はありません。

人件費を削減できる

AGFを導入すると、人件費を削減することもできます。また、従来であれば必要だったフォークリフト運転手の採用や育成などにかかるコストも、AGFを導入すれば削減可能です。

スペースを有効に使える

工場や物流センターのスペースを有効に使えることも、AGFのメリットといえるでしょう。例えば、重量物を搬送するためにベルトコンベアを導入する場合、一定のスペースを確保する必要があります。しかし、AGFであればそのようなスペースは必要ないため、現場のレイアウトを最適化できます。

また、AGFの中には、狭い場所にも入れる小型でスリムなものもあります。そのようなAGFであれば、人間でなければ作業ができなかった狭い場所での積み下ろしも可能です。従来の倉庫レイアウトを変更する必要はありません。

AGFを導入する上での注意点

重量物搬送を無人化できるAGFですが、導入にあたっては注意点もあります。導入を検討する際は、下記のような点に注意してください。

製品が正しい位置にないとピックアップできない場合がある

AGFは、レーザー照射による位置認識で製品がある場所に移動し、3Dカメラセンサーでピックアップするべき製品を認識します。ただし、対象の製品が所定の位置にない場合、人間のように周りを探すことはできず、ピックアップできない場合があります。 AGFを役立てるには、製品を置くべき位置に正しく置くことが必要です。

バランスがとりにくい製品は搬送が難しい場合がある

ロール状の製品、球形の製品などはバランスがとりにくく、AGFでは搬送が難しい場合があります。フォークリフトによる搬送は上げ下ろしや回転を伴い、そうした形状の製品は転がってしまうことがあるのです。

ただし、AGFの中には、そうした形状の製品の運搬に適したモデルもあります。AGFを導入する際は、自社で扱う製品の形状に適したモデルを選べば問題ありません。

環境によっては誤検知のおそれがある

AGFに搭載されている3Dカメラセンサーは、環境によっては誤検知のおそれがあります。例えば、強い直射日光や西日、雨があたったりすると、障害物の検知の妨げになってしまうかもしれません。AGFを屋外で稼働させたい場合は、相応の対策をとる必要があります。

AGFを選ぶ際のポイント

AGFの導入を検討する際は、自社に合ったものを選ぶことが大切です。最適なAGFを導入するため、下記のポイントを参考にしてください。

稼働させる環境

AGFを稼働させる環境は、導入するAGFを選ぶ際の大切なポイントです。狭い場所で稼働させることが多い場合は、小型で小回りがきくAGFが向いています。製品をピックアップする棚が高い場合には、その高さに対応できるAGFが必要です。稼働させる環境に適したAGFを選んでください。

扱う製品の大きさ

扱う製品の大きさも、AGFを選ぶ際のポイントとなります。製品は、大きさによって重心の位置が異なり、「ツメ」と呼ばれるAGFの「フォーク」の適切な幅も異なるからです。自社で扱うことの多い製品の大きさに注意してAGFを選びましょう。

扱う製品の重量

扱う製品の大きさと同様、重量もAGFを選ぶ際の大切なポイントです。フォークリフトの荷重能力は、AGFによって異なります。当然ながら、AGFは荷重能力を超える製品を搬送することはできません。自社で扱う最も重い製品でも問題なく搬送できるAGFを選んでください。

おすすめのAGF(無人搬送フォークリフト)

当社取り扱いのAGFをいくつかご紹介いたします。各ページより詳しい資料のダウンロードも可能です。併せてご確認ください。

自社に適したAGFを導入し、自動化・効率化を推進しよう

AGF

コンピューター制御によって製品の搬送や入出庫、出荷、ピッキングなどができるAGFは、2024年問題に直面する物流業界などでニーズが高まっています。

AGFを導入すると、人身事故のリスク低減、24時間稼働の実現、人件費の削減、現場スペースを有効に活用できることなど、多数のメリットがあります。 一方で、AGFを稼働させる環境によってはそうしたメリットが得られない場合があるため、導入する際には注意が必要です。自社に合ったAGFを導入するため、自社の状況を導入前に確認しておいてください。自社に適したAGFを導入すれば、現場の自動化・効率化を推進できるでしょう。

カナデンでは、お客様のご要望に応じてさまざまなAGFをご提案しています。中でも、小型かつスリムなAGF「AGILOX ODM」は、狭い場所でも前後・平行・斜め・回転と全方位に移動でき、最大重量300kgの荷物を最大高さ250mmまで持ち上げ、目的地まで運ぶことが可能。稼働エリアが限られている現場での搬送に適しており、近年ニーズが高まっているおすすめのAGFです。

そのほかにも、現場のお困り事に応じて、各メーカーのAGFを幅広く選定し、ご提案することが可能です。現場作業のお困り事があれば、カナデンにご相談ください。

カナデン製品サイトでは、AGFをはじめとした現場作業の自動化・作業環境の改善に役立つ製品を多数ご紹介しています。セグメントや製品名・メーカー名でも検索可能です。ぜひご覧ください。

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