製造業でAIを導入できる分野とは?メリットと課題をわかりやすく解説
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AI(人工知能)は幅広い業種で産業利用が広がりつつあります。製造業も例外ではなく、ロボット技術やIoTといった技術とともにAI活用が注目され始めていることをご存知でしょうか。
本記事では、製造業のAI活用が期待されている背景や現状の導入状況、AIを導入できる主な分野、導入のメリット・課題をわかりやすく解説しています。製造業におすすめのAIを活用したシステムの例も挙げていますので、ぜひ参考にしてください。
製造業のAI活用が期待されている背景と導入状況
はじめに、製造業においてAIの活用が期待されている背景と、実際の導入状況(2024年時点)について解説します。
AI活用が期待されている背景
AIは製造業DX推進の柱となる技術として注目されています。従来のデジタル化やIT化では解決が困難だったデータの利活用を実現し、製造工程のさらなる自動化や効率化が期待されているのです。
AI活用によって、生産性向上やコスト削減による人手不足の解消、技術の継承といったさまざまな課題解決が期待されます。次の記事では、製造業における人手不足の解決策や製造業DXを推進するメリットについて詳しく解説していますので、ぜひご参照ください。
▶製造業DXとは?推進する必要性やメリット、進め方、事例をまとめて紹介
2024年時点でのAI/IoT導入率は26.1%
「令和6年通信利用動向調査報告書(企業編)」によれば、2024年時点で製造業におけるAI/IoTの導入率は26.1%です。全業種の導入平均18.4%と比較すると、やや進んでいる状況といえます。一方で、金融/保険業(44.2%)や情報通信業(30.6%)と比べると低い水準にとどまっているのが実情です。
ただし、AI/IoTの導入を今後予定している企業も含めると、製造業では4割以上の企業が前向きに検討していることもわかっています。こうした状況から、AI活用は製造業においてもすでに検討が進みつつある一般的な取り組みといえるでしょう。
参考:総務省|令和6年通信利用動向調査報告書(企業編) https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/pdf/HR202400_002.pdf
製造業でAIを導入できる主な分野
製造業でAIを導入するとしたら、どのような活用方法が想定されるのでしょうか。導入が可能な分野を具体的に見ていきましょう。
生産管理の自動化/半自動化
製品を安定的に生産する上で欠かせない生産管理は、AIの強みを活かせる工程の1つです。具体的には学習データを活用した需要予測や供給量の最適化、多品種変量生産などが想定されます。さらに、製品設計など従来は人間が手がけてきた工程をAIが担えるようになれば、将来的に製造工程を完全自動化することも不可能ではないでしょう。
【サービス例】
産業用ロボットによる作業自動化
AIは産業用ロボットのさらなる進化を促すと考えられています。これまで人間が担ってきた作業を産業用ロボットが代替することにより、作業の自動化がいっそう進むでしょう。また、人と同じ作業領域で稼働できる協業ロボットへの応用も期待されています。人の動きを含む周囲の状況をAIが学習することで、安全で効率的な作業環境を実現できる可能性があるからです。
【製品例】
検品・品質検査の標準化
センサや画像解析技術とAIを組み合わせることにより、目視では対応が難しかった不具合や不良品を検知することも可能です。検品・品質管理の標準化に寄与することに加え、24時間365日体制で作業を進められるため、製品の不具合や不良品の出荷を最小限に抑えつつ、製品を安定供給できる体制を構築できます。
IoT外観検査とAIによる判定・識別の技術については、次の記事でも解説していますので参考にしてください。
▶IoTで実現する外観検査の自動化|導入のメリットと3つのステップ
【製品例】
稼働監視・予知保全
AI技術は工場設備の稼働監視や予知保全にも活用が期待されています。微細な振動や歪みなど、人の感覚では見分けるのが困難な変化を検知し、将来的な故障リスクや適切な部品交換時期などを予測できるからです。予期していないダウンタイムを避けられれば、生産効率を維持しやすくなるでしょう。稼働監視・予知保全については次の記事もあわせてご参照ください。
▶稼働監視とは?稼働監視システム導入で工場運営を効率化するポイント
▶予知保全とは?導入の重要性や知っておくべきメリットと導入フロー
【製品例】
製造業におけるAI導入のメリット

製造工程にAIを導入することで、次に挙げる3つのメリットを得られます。
生産性向上と安定供給を両立できる
AI導入は製造工程の自動化・省力化に寄与するほか、作業の標準化による人的ミスの軽減にもつながります。また、検査の工程が自動化され、目視や手作業では安定的に見つけるのが困難だった不良品を検知できるようになることも大きなメリットです。
AIの特徴として、学習データが蓄積されていく点が挙げられます。あらかじめプログラムされた動作のみ繰り返すロボットとは異なり、学習データが増えるほど自社工程に適応していくことも強みの1つです。
従業員の労働環境の改善につながる
産業用ロボット×AIの組み合わせにより、従来であれば人が担っていた工程を代替できる可能性があります。単純作業をAIやロボットに委ねられるようになれば、より創造性が求められる業務や、重要な業務に人的リソースを集約できるでしょう。さらに、業務効率化と生産性向上が長時間労働の是正にもつながるため、人材の定着率を維持しやすくなることも大きなメリットです。
企業の競争力を高められる
AI活用は企業の競争力の強化にも寄与します。データの利活用により、さらなる品質向上と付加価値の創造を両立できるからです。これまで蓄積されてきたデータをAIに学習させることで、自社の技術を活かした新事業につなげられる可能性もあります。
また、AIによる工程や在庫の適正化はコスト管理体制の強化にもつながります。データにもとづくコスト削減策を講じることにより、経営基盤をいっそう盤石なものにできるでしょう。
製造業におけるAI導入の課題

製造業におけるAI導入は多くのメリットをもたらす一方で、解決していくべき課題もあります。主な課題と解決策を確認しておきましょう。
初期費用がかかる
1つめの課題は、設備の改修や機器の導入に初期費用がかかる点です。既存の製造ラインを大幅に変更する場合には、大規模な設備投資が必要になることも想定されます。
ただし、AI導入によって効率化やコスト削減といった効果がもたらされれば、長期的には初期投資を回収できる可能性は十分にあります。また、既存設備+αで設置できる機器を活用するなど、工夫次第で設備投資を最小限に抑えることも可能でしょう。
AI導入をはじめとする省力化・業務効率化施策は、補助金・助成金の対象になる場合があります。補助金・助成金については次の記事も参考にしてください。
▶【令和7年度】省力化・業務効率化に使える補助金・助成金とは?4つの支援制度を徹底解説
セキュリティ対策が求められる
AI活用はデータ収集やIoT連携を前提に考える必要があります。ネットワークセキュリティの強化は、必須の取り組みとなるでしょう。侵入検知システムの導入やパッチ適用による脆弱性対策など、講じられる対策は抜け漏れなく実施しておきましょう。とくに近年はサプライチェーンを狙ったサイバー攻撃が増加しつつあります。サイバー攻撃に備えたバックアップ体制も強化しておくことが重要です。
製造業がサイバー攻撃の標的となる理由と対策については、次の記事で詳しく解説しています。こちらもあわせてご参照ください。
▶製造業を狙うサイバー攻撃から自社を守ろう―狙われる理由と対策を解説―
製造業におすすめのAIを活用したシステム
AIを活用したシステムのうち、とくに製造業におすすめの製品を3つご紹介します。
巡回作業を自動化できるAI自動画像監視システム『EasyMonitoring2』
従来は目視で実施してきた巡回確認を、カメラと画像処理技術を駆使して自動化するためのシステムです。巡回に要する労力が削減されることに加え、見落としなどの人的ミス防止や巡回中の事故防止にも役立ちます。カメラは2~100台接続可能で、各カメラが撮影した複数の監視対象物の検知に対応。AIを活用することで、縦回転電力メーターの読取や難読文字の読取、禁止区域立入監視、部品・資材の計数、虫や動物の侵入などの検知も可能です。古い設備からでもデータが取れるため、現状の設備を活かしつつAIを導入したい事業者様にも適しています。
人の動きをリアルタイムに解析できるAI行動解析システム『VP-Motion』
カメラ映像に映った人物から得た骨格情報や画像情報を用いて、どのような行動や作業が行われているのかをリアルタイムで解析できるシステムです。大規模な学習済モデルが組み込まれているため、少量のデータ追加で高精度の解析に対応できます。さらに、学習時のアングルとは異なる視点からでも作業者の動きを検出可能。工具や部品など持っているものの違いや、製品・装置の種類など作業対象物の違いによって行動解析を分類できるため、幅広い作業内容の解析に役立ちます。
生産計画をAIが自動立案『最適ワークス』
製造量や納期をはじめ、設備稼働や人員配置などの計画をAIが瞬時に提案するSaaS型のサービスです。製造現場が無理なく実現できる生産計画を提案するため、均質な生産計画が誰にでも立てられます。生産キャパの可視化や生産計画の自動立案、自動リスケによる計画変更、製造進捗の把握にも対応可能。独自技術によりマスタ設定・修正を専任エンジニアでなくても行えるため、導入のコストを抑えつつスピーディーに導入できる点がメリットです。
AIを活用して製造現場の課題解決を図ろう
製造業は全業種の平均と比較してAI導入が進んでいるとはいえ、活用できる余地はまだ多く残されています。作業の自動化や標準化、人間の目や手作業では見分けるのが困難だった異常の検知など、AI導入によって解決できる課題は数多くあるでしょう。本記事を参考にAI導入に伴う課題対策を講じつつ、AIのメリットや強みを引き出す活用方法を模索してみてはいかがでしょうか。
製造業のAI活用には、導入分野や効果、課題を見極めながら、自社に最適なシステムを選ぶことが重要です。カナデンでは、画像監視・行動解析・生産計画など、製造現場の課題解決に役立つAIソリューションを幅広く取りそろえています。AI導入を検討している企業様は、まずはお気軽にご相談ください。









