電気自動車(EV)に欠かせないのが充電器です。特により短時間で多くの電力を充電できる「EV急速充電器」は、今後、サービスエリア(SA)や駐車場などさまざまな場所で設置数が増えると予測されています。EV急速充電器には「規格」が複数種類あり、日本では「CHAdeMO(チャデモ)」が主流です。この記事では、EV急速充電器を設置するうえで必ず知っておくべき規格と「CHAdeMO(チャデモ)」について解説します。

EV急速充電規格の「CHAdeMO(チャデモ)」とは?

CHAdeMO(チャデモ)は、2010年に日本が主導して規格化を実現した世界基準の電気自動車(EV)の急速充電方式です。 電気自動車(EV)の充電方法は、コンセントなどを使用する「普通充電」とEV急速充電器による「急速充電」の2種類がありますが、充電器に規格が設けられているのはEV急速充電器のみです。電気自動車(EV)は急速充電を行う際、普通充電器とは異なり急速充電器側と交信を行ってバッテリーの電力残量を確認した後、充電する仕組みになっているため、通信に必要な「統一言語」を定める必要がありました。この統一言語を世界に先駆けて、日本が規格化したのが「CHAdeMO(チャデモ)」なのです。日本で流通しているほとんどの電気自動車(EV)はCHAdeMOに対応しているため、多くのEV急速充電器がCHAdeMOを採用しています。そのため、EV急速充電器の設置を検討するときも、CHAdeMOを選択することが最も無難だと考えられます。

CHAdeMO(チャデモ)ロゴ

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CHAdeMOの規格

CHAdeMOはEV急速充電器だけでなく、電気自動車(EV)の電力を家電機器などに供給するための「V2L(Vehicle to Load) 充電器」やコネクタにも適用されている規格です。国内の自動車会社や充電器メーカー、電力会社といったさまざまな業種で構成する「CHAdeMO協議会」によって、技術規格の開発が行われています。また、CHAdeMOの標準仕様書は2010年4月に初めて発行されて以降、さまざまな機能拡張が行われてきました。

2010年4月 初版の仕様書Ver.0.9が発行される
2012年1月 新たに電源品質規定と車両保護機能が追加される
2015年11月 ダイナミックコントロール機能、互換性に関する詳細規定が追加される
2017年3月 最大電流が400Aに拡張され、マルチアウトレット構成が追加
2018年5月 最大電力が1000Vに。さらに最大出力400kWが可能になる
2021年4月 最大出力900kWが可能になる

電気自動車(EV)の開発が世界で活発化し、搭載される電池(バッテリー)の容量も年々、増加しています。このような状況のなか、EV急速充電器にも「大出力化」が求められています。従来、CHAdeMOは他の規格に比べると高出力化に課題があったものの、規格の改定により2021年には最大900kWの出力が可能になったほか、2022年現在は中国電力企業連合会(CEC)と超高速の次世代充電規格「ChaoJi」 として共同開発中です。2023年には「CHAdeMO 4.0(Ultra-ChaoJi) 仕様書発行(予定)」なので、さらなる大出力化が期待されています。

CHAdeMOの設置場所

CHAdeMOの主なEV急速充電器は、基本的に家などの拠点と自動車で移動する目的地の途中に立ち寄る経由地に設けられることが多いです。長距離運転が中心となる高速道路のサービスエリア(SA)やパーキングエリア(PA)を中心に、道の駅や商業施設などが主な設置場所として挙げられます。

充電場所コンセント
※100Vが中心普通充電器
※200Vが中心EV急速充電器>
充電場所 コンセント
※100Vが中心
普通充電器
※200Vが中心
EV急速充電器
プライベート
  • 戸建て住宅
  • マンション
  • オフィスビル
  • 屋外駐車場
  • マンション
  • オフィスビル
  • 屋外駐車場
ほとんどない
パブリック
  • カーディーラー
  • コンビニ
  • 病院
  • 商業施設
  • 時間貸しの駐車場
  • 道の駅
  • ガソリンスタンド
  • 高速道路
  • サービスエリア
  • カーディーラー
  • 商業施設

CHAdeMOのEV急速充電器は「経路充電」に用いられ、パブリックな場所に設置されることが多い一方、「拠点充電」が主な目的のコンセントや普通充電器はマンションやオフィスビル、屋外駐車場といったプライベートな場所が中心となります。

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CHAdeMOの充電の順序

充電のシーケンス(順序)は急速充電の規格によって異なります。CHAdeMOのEV急速充電器(充電ステーション)を使った充電の流れは以下になります。

■CHAdeMOの充電順序
1.電気自動車(EV)と充電ステーションを接続
2.EVと充電ステーションの互換性を確認し、EVが準備完了状態に移行
3.充電コネクタが電気自動車のプラグから離れないように「車両コネクタロック」を行う
4.給電開始
5.EVから充電停止命令を送ることで充電が終了する
6.車両コネクタロックが解除される
7.支払い手続きを行う

このシーケンスの間、充電ステーションとEVでは「出力可能電圧値」や「電池総容量」、「充電システム以上」、「充電器の状態」といったさまざまな情報の授受が行われています。CHAdeMOはこれらのデータを用いて充電状態をリアルタイムで監視することで、異常やトラブルが発生した際は迅速に停止できる仕組みとなっています。このため、他の規格と比べても安全面が優れているのです。

CHadeMO以外のEV充電規格

日本で普及しているのはCHadeMOのEV急速充電器ですが、世界では他の国や企業が定めているEV急速充電の規格が複数あります。そのなかでも代表的な「CCS(Combo)」、「GB/T」、「スーパーチャージャー(SC)」について紹介します。

CCS(Combined Charging System)

コンバインド充電システム(Combined Charging System)の略称で、「コンボ(Combo)」と呼ばれることもあり、主に欧州や北米の自動車メーカーや電力会社が中心となって標準化を進めている急速充電の規格です。1つの車両用充電インレットだけで、急速充電では主流の「DC(直流)充電」だけでなく、コンセントなどからAC(交流)をDC(直流)に変換して充電する「AC充電」にも対応可能です。 CHAdeMOとの充電シーケンスの違いは、充電前に支払方法や契約情報を電気自動車(EV)にセットしておく必要があることです。基本的には「充電ステーションへの直接支払い」と「EVへの自動課金」のどちらかを選択することが多く、電気自動車(EV)をEV急速充電器にセットしたタイミングで支払方法が送信されます。CHadeMOは充電ステーションでの支払いはできないため、複数の支払い方法が選択できるCCSはユーザーにとって利便性の高い規格といえるでしょう。

CCS(Combined Charging System)

GB/T

GB/TはGB(Guo jia Biao zhun)規格の一種です。GB規格は急速充電における「中国国家標準規格」のことで、中国全土が対象となっています。ちなみに中国の標準は対象ごとに業界標準、地方標準、企業標準などに分類されています。GB規格には「GB/T」と「GB」の2種類があります。GB/Tは中国政府(国家)が準拠を推奨している規格であり、強制力は高くはありません。一方、GB規格は「強制GB規格」といい、対象製品やサービスに対して強制的に適用されるため、中国国内で販売する際は必ず規定に準拠しなければなりません。電気自動車(EV)に対してはGB/T27930という標準規格が設けられており、接触式のコンンダクティブ充電に対応しています。

GB/T

スーパーチャージャー(SC)

スーパーチャージャーはテスラ車専用の急速充電の規格であり、EV急速充電器そのものを指すケースもあります。急速充電の規格のなかでは唯一企業が推進しています。CHadeMOの急速充電の出力が50kWと比較しても数倍の差がある「最高250kW」という高出力充電が可能で、電気自動車(EV)のメーカー自らが自社の製品に最適化した規格でEV急速充電器を製造していることが高く評価されています。

スーパーチャージャー(SC)

チャオジ(ChaoJi)

ChaoJi(チャオジ)は今後注目される大容量の充電を可能にする規格です。出力900kW(600A×1500V)という高出力にも関わらずコネクター部は従来より遥かにコンパクトで、接続ケーブルの径も小さいのが大きな特長です。また、ChaoJiの実証実験には欧州勢(CCS規格勢)も参加しており、ChaoJiの使用範囲は今後拡大していくと考えられます。日本は共同開発をしていたこともあり、OEM生産で日中共通モデルの設定、EVプラットフォームの共通化、グローバルモデルの開発がしやすくなるため、ChaoJiの普及に優位性があると言えそうです。今後、注目の充電規格です。

チャオジ(ChaoJi)

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CHAdeMOの対応機種

日本国内ではCHAdeMOに対応したEV急速充電機器が多数販売されています。今回はそのなかでもカナデンが取り扱う、おすすめの機種を紹介します。

株式会社ニチコン:EV・PHV用急速充電器

株式会社ニチコンの最新機種となる第3世代のEV・PHV用急速充電器は、設置面積の縮小化と本体の軽量化によって、設置工事が従来よりも安価にできるのが特長です。第2世代の機種と比べると、設置面積は17%も小さくなり「世界最小・最軽量クラス」を実現しました。小型のため設置できる場所も多く、ショッピングセンターやコンビニエンスストア、時間貸しの駐車場、タクシースタンド、小口配送荷捌き場などさまざまです。さらに小型ながら50kWの充電も可能なので、わずか30分で40kWhのバッテリーであれば約60%も充電できます。また、10kW、25kW、35kWの機種もラインナップされているので、低圧受電範囲で設置可能です。価格や場所が原因でEV急速充電器の設置が難しい場合では、特に検討する価値の高いCHAdeMOの対応機種です。

新電元工業株式会社:SDQC2F150シリーズ

最大出力350A、総出力150kWのCHAdeMO規格の機種のなかでも「大出力EV急速充電器」に分類されるのが、新電元工業株式会社が製造する「SDQC2F150シリーズ」です。約10分の充電でおよそ100kmの走行距離の回復が可能なうえ、350Aパワーブースト充電器であれば1回30分の充電で270kmの回復も実現できます。

株式会社東光高岳:B9シリーズ

豊富な容量帯のラインナップとシェアトップを走る実績を誇るのが株式会社東光高岳が製造するEV急速充電器です。 その中でも高速道路のSA・PA、コンビニエンスストア、道の駅など数多く設置されているのがB9シリーズ。50kW/30Kwの容量帯を選択でき、全国対応でメンテナンスも可能となっています。

設置場所に適したCHAdeMO規格の機種を選びましょう

日本においてはCHAdeMO規格の機種を選ぶことをおすすめします。また、CHAdeMOのEV急速充電器にはさまざまな種類があるため、設置する目的や場所によって最適な機種は異なります。カナデンには多様な大きさ、出力量などのEV急速充電器を用意しております。EV急速充電器の導入をご検討の際はぜひお気軽にお問い合わせください。

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