今さら聞けない「取適法」とは?製造業が守るべき新ルールと対応のポイント
2026年2月13日
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2026年1月1日から、これまでの「下請法」が「中小受託取引適正化法(以下、取適法(とりてきほう))」へと新しく生まれ変わりました。製造業界や工事業界に従事する皆さまにとって、この法改正は日々の取引に直結する極めて重要な変更です。
「法改正があったのは知っているけれど、具体的に何が変わったのか実はよく分かっていない」という方も多いのではないでしょうか。本記事では、現場リーダーや管理職の方々が「今さら聞けない」取適法の重要ポイントを、製造業の視点から分かりやすく解説いたします。
1. 下請法から取適法への名称変更と目的
令和7年(2025年)5月23日に公布された改正法により、法律の題名が「製造委託等に係る中小受託事業者に対する代金の支払の遅延等の防止に関する法律」に変更されました。略称は「中小受託取引適正化法」または「取適法」となります。
この変更の背景には、昨今の労務費や原材料費、エネルギーコストの上昇があります。サプライチェーン全体で適切な価格転嫁を定着させる「構造的な価格転嫁」を実現し、共存共栄を目指す対等なパートナーとして取引適正化を推進することが目的です。
2. 製造業者が押さえるべき「適用対象」の拡大
今回の改正で、最も注意すべき点の一つが適用対象の基準変更です。従来の資本金基準に加え、新たに従業員数による基準が追加されました。
従業員基準の新設
資本金が基準以下であっても、常時使用する従業員数が以下の区分に該当する場合、取適法の対象となります。
特定運送委託の追加
これまで対象外だった「発荷主から運送事業者への委託」が、新たに「特定運送委託」として規制対象に加わりました。自社製品の販売先への運送を外部に委託している場合、その取引も取適法のルールを守る必要があります。
3. 製造現場で特に注意すべき禁止行為の追加・変更

法改正により、委託事業者が守るべき義務や禁止行為がより厳格化されました。特に実務への影響が大きいポイントは以下の通りです。
手形払等の禁止
製造委託等代金の支払手段として、手形を交付することが禁止されました。また、電子記録債権や一括決済方式(ファクタリング等)についても、支払期日までに満額の金銭を得ることが困難なものは禁止の対象となります。これは、受注側に資金繰りの負担を押しつける商慣習を一掃するための措置です。
協議に応じない一方的な代金決定の禁止
中小受託事業者から価格協議の求めがあったにもかかわらず、協議に応じなかったり、必要な説明や情報の提供をせずに一方的に代金を決定したりすることは禁止されました。コスト上昇分を反映させるための対等な交渉プロセスが義務付けられたと言えます。
振込手数料の負担ルール変更
運用基準の変更により、合意の有無にかかわらず振込手数料を受注側に負担させ、代金から差し引いて支払うことは「減額」として禁止されます。
4. 製造業の「型」に関する規制も強化
製造現場で欠かせない金型に加え、木型や治具などの「工作物保持具」も製造委託の対象物品として明記されました。
特に注意が必要なのが、不要になった型の保管です。
- 製品の発注を長期間行わないのに、無償で型を保管させること
- 受注側が型の廃棄や引き取りを希望しているのに、無償で保管させ続けること
これらは「不当な経済上の利益の提供要請」として違反になるおそれがあります。
5. 効率的な取引適正化のためにできること
取適法への対応は、単なる法令順守にとどまらず、サプライチェーン全体の生産性を向上させるチャンスでもあります。例えば、価格協議の際に「なぜこの価格設定なのか」を説明するためのデータがあれば、よりスムーズな交渉が可能になります。
製造現場の稼働状況や品質管理データをデジタル化し、透明性の高い取引を行うことは、取適法が目指す「共存共栄」の第一歩です。
弊社では、製造現場の効率化を支援する、さまざまな生産性向上ソリューションを取り扱っております。現場のデータを正確に把握することで、コスト算出の根拠を明確にし、適正な取引を実現するためのサポートをいたします。
取適法への対応を機に、現場のデジタル化を検討してみてはいかがでしょうか。
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※出典:公正取引委員会「中小受託取引適正化法ガイドブック」https://www.jftc.go.jp/file/toriteki002.pdf
※出典:公正取引委員会「2026年1月施行!~下請法は取適法へ~ 改正ポイント説明会」資料 https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/2025/251014_01.pdf







