現場に合い、将来拡張しやすい“見る・運ぶ・保管する”物流ロボットの導入設計

2025年10月31日

製品・サービス紹介

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ロボットAGV

多様化する市場と生産現場の課題

近年、消費者のニーズはますます多様化し、製造業においては少量多品種生産が主流となりつつあります。これにより、一品あたりの生産ロットが縮小し、生産計画や在庫管理は複雑化しています。
さらに、需要予測が困難になり、急な変動に迅速に対応できる柔軟な物流体制が不可欠です。
この状況下で、人手不足は依然として大きな課題です。こうした背景から、物流ロボットを「見る(認識して正しく動かす)」「運ぶ(自動で搬送する)」「保管する(自動で保管・取り出しする)」という複数の役割で組み合わせることが、安定した生産と物流の実現につながります。

“運ぶ”を強くするには:AGVとAMRの使い分け

  • 屋外や段差がある場所での搬送には、雨や傾斜(こう配)にも対応できる無人搬送車(AGV)が向いています。たとえば、6%ほどの坂道や金属格子の溝(グレーチング)の上も走れるタイプであれば、屋外の移動で止まりやすいポイントを減らせます。走り方(誘導の方式)は、現場の設備や保守の体制に合わせて選びます。
  • 倉庫内や工場内のように、ルートを柔軟に変えたい場所には、自律走行の台車(AMR)が適しています。周りの様子をレーザで測り、地図と照らし合わせて自分で走るため、レイアウトを変えても対応しやすいです。全方向に動ける特別なタイヤを使うタイプなら、その場で回転したり、横移動したりでき、狭い通路でも効率よく動けます。
  • 重いパレットや大きな治具を運ぶ場合は、重い荷物に対応できるAMRを使うと、フォークリフトに頼る場面を少しずつ減らせます。人が多い場所でも安全に作業しやすいです。
  • 荷物の積み下ろしまで自動にしたい工程では、低い高さでリフトアップできるAMRが役立ちます。これにより、自動で荷物の受け渡しが可能となり、現場での待ち時間を大幅に短縮できます。

“見る”で速さと品質を両立する:カメラでの制御とバラ積み対応

カメラでの制御とバラ積み対応

ロボットアームで品物をつかむ、差し込む、柔らかい物を扱うといった作業には、カメラで見た情報をもとに、手先の動きを常に微調整する制御が有効です。
この制御方法には、主に3つの特長があります。

精度の高い作業: 対象物とロボットの手先の「位置や向き」の関係に注目して軌道を自動で修正するため、ロボットとカメラの細かな位置合わせ(キャリブレーション)の手間を省くことができます。
高速な作業: 揺れやガタつきが小さくなるため、作業にかかる時間を短縮しやすくなります。
環境への柔軟性: ロボットを台車やAGVに載せて移動しながら使う場合でも、環境を固定する必要がないため、さまざまな場所での使用に適しています。

“保管する”を賢くする:人にやさしい自動保管・ピッキング

限られた床面積で保管量を増やしたい場合は、ロボットがグリッド(格子)の上を動き、箱(コンテナ)を出し入れするタイプの自動保管・ピッキングシステムが有効です。通路がいらないため、高い密度で収納できます。建物の形や柱の位置に合わせてレイアウトを工夫でき、あとから必要に応じてロボットや箱を足すだけで能力を増やせます。多くの種類を少しずつ扱う現場(通販の倉庫や保守部品の拠点など)に向いており、在庫の正確さと作業の効率の両方に貢献します。

協働と自律のハイブリッド:すぐ始められて安全

できるだけ早く使い始めたい、現場の導線を大きく変えたくない場合は、人の後ろをついて走る「追従走行」と、覚えたルートを自動で走る「自律走行(メモリトレース)」を切り替えられる協働型の運搬ロボットが便利です。手元のジョイスティックで簡単に操作でき、レーザセンサで人や障害物を見つけると自動で止まります。ピッキング作業の補助や、工程間の運搬の初期自動化に適しています。

ピッキングロボット

導入のメリット

生産性と安定稼働:ロボットは休憩なしで動けるため、繁忙期の出荷増にも対応しやすいです。決まった作業を繰り返し正確に行い、作業のムラを減らします。

労働環境の改善:重い荷物運びや単調な作業をロボットに任せることで、体への負担を減らせます。働きやすさの向上は、人材が長く働くことにもつながります。

品質と見える化:カメラや在庫の自動記録によって、人のミスを減らし、どの工程で何が起きているかを把握しやすくなります。

自動ロボット

導入前に考えるべきこと

費用と回収の計画:初期費用に対して、人件費の削減や作業時間の短縮など、どれくらい効果が出るかを試算します。段階的に導入して、投資を回収する流れを事前に考えます。

システム連携:倉庫管理システム(WMS)や生産管理システムとロボットを双方向でつなぐ設計が重要です。ロボットの台数管理(フリート管理)やデータの集約方法も決めておきます。

運用とメンテナンス:保守の体制、部品の手当て、遠隔での監視、サービス水準(SLA)の取り決めを明確にします。トラブルが起きた時の代替ルートも用意します。安全規格の順守や、危険の洗い出し(リスクアセスメント)を定期的に更新し、運用に組み込みます。

センサの活用:運搬中の破損を防ぐには振動センサ、温度管理が必要な品物には温度センサを使い、品質維持と異常の早期発見につなげます。

段階的な導入の例

ステップ1:協働運搬ロボットを使い、手押し台車の作業を置き換えます。現行レイアウトはそのままにします。

ステップ2:全方向に動けるAMRで狭い区画の運搬を自動化し、低床リフト型で受け渡しも自動化します。重い荷物は重対応AMRに集約します。

ステップ3:カメラ制御を使ったピッキングや挿入作業の自動化を進め、バラ積み対応も加えます。

ステップ4:自動保管・ピッキングシステムを入れて、保管密度と入出庫能力を高めます。WMSと統合します。

支援できること

現場の調査から要件整理、機器の選定、シミュレーション、システム連携の設計、立ち上げ、運用の定着まで、一貫して支援いたします。
カメラを使った高精度で速い制御、屋外対応の搬送、全方向に動ける自律走行、低床リフトでの自動受け渡し、重い荷物の自律搬送、バラ積みピッキング、自動保管・ピッキングなどを、現場の指標(KPI)に合わせて最適に組み合わせます。
ロボットとカメラの細かな位置合わせを減らす工夫、レイアウト変更時の素早い経路更新、ワイヤレス充電による連続稼働など、導入と運用の負担を減らす点も重視します。

これからの物流は、効率だけでなく「安全・品質・柔軟性」をまとめて高めることが大切です。第一歩は、今の課題を見える化すること。
カナデンは、現場診断から設計、導入後の定着支援までトータルでサポートします。物流ロボットの導入・高度化は、私たちにお任せください。

物流

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