人力での重量物運搬は危険!安全対策で効率化を目指そう

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段ボールを運ぶ作業員

工場や倉庫などの作業現場では、重量物を人力で運搬しなければいけない場面が多々あります。しかし、実は人が運搬できる重量物の重さには制限があり、人力での作業が難しいケースも珍しくありません。

今回は、重量物を運搬する際の安全対策から、効率化するための4つの方法までご紹介します。

あわせて、労働基準法で定められている、人力で運搬できる重さの制限についても要点をまとめていますので、ぜひ参考にしてください。

重量物を運搬する際の安全対策

重量物を運搬する際は、腰痛や転倒事故などの労働災害が発生する危険性があります。事故を防止するためには、重量物を運搬する際の安全対策を徹底することが重要です。

ここからは、厚生労働省が公表している「人や重量物の運搬作業の基本」を参考にして、重量物を運搬する際の安全対策について詳しく解説していきます。

※厚生労働省「人や重量物の運搬作業の基本」(https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/000957787.pdf)

運搬する重量物の重さを把握する

重量物を運搬する際は、荷物の重さを把握することが重要です。

工場や倉庫で取り扱う重量物は段ボールなどで囲われており、目視だけで重さを把握することが難しいです。しかし、重量物の重さを把握せずに運搬作業を行うと、荷物を持ち上げる際にぎっくり腰になったり、転倒事故が発生したりする可能性が高くなります。

運搬する重量物の重さを把握する方法としては、荷物ごとに重量を明示することが挙げられます。荷物に重量を明示すれば、作業員は重量を把握した上で運搬作業に取りかかれるため、「人力での運搬は危険性が高いため台車を使用する」などの危険予知を行えます。

運搬する重量物の重さを把握して、適切な運搬方法を選択するようにしましょう。

作業経路を確保する

重量物を運搬する際は、作業経路を確保した上で作業するようにしましょう。

作業経路に物があったり、段差があったりすると、転倒事故につながる可能性が高くなるため注意が必要です。重量物運搬時に転倒事故が起こると、重量物と床の間に作業員が挟まれるなど、重大な事故に発展する危険性があります。

作業経路を確保するには、作業開始前に経路の確認や清掃の時間を設けることが効果的です。

安全靴で運搬を実施する

重量物を運搬する際は、安全靴を着用して運搬を実施するようにしましょう。

安全靴とは、日本工業規格(JIS)において「主として着用者のつま先を先芯によって防護し、滑り止めを備える靴」と定義されている靴のことです。

重量物運搬時は、以下のような要因で足に荷物が落下し、労働災害が発生する可能性があります。

  • 手を滑らせて荷物を落としてしまう
  • 作業経路が悪く途中で荷物を落としてしまう
  • 2人作業時、息が合わずに荷物を落としてしまう

重量物の荷物が足に落下すると骨折などの事故に発展する可能性がありますが、安全靴を着用していれば、重症となるケガを回避できる可能性が高まります。

重量物の荷物を落下してしまった場合に備えて、重量物の運搬時には安全靴を着用するようにしましょう。

腰への負担に配慮した持ち方を意識する

重量物運搬時は、腰への負担に配慮した持ち方を意識することがポイントです。

腰への負担を軽減する方法は以下のとおりです。

  • 荷物を体に近づける
  • 腹筋に力を入れて荷物を持ち上げる
  • 片足を前に出して荷物を抱える
  • 腰をひねらず、背筋を伸ばした姿勢を保つ

上記の方法を実践することで、重量物の運搬時に発生しやすい腰痛を予防しやすくなります。

重量物の持ち方として一番避けたいのは、腰を重心にして、背中を丸めて荷物を持ち上げる方法です。この方法で荷物を持ち上げると、体と荷物の距離が遠くなってしまい、腰への負担が強くなってしまいます。

工場や倉庫では重量物を運搬する機会が多いため、腰への負担に配慮した持ち方を意識するようにしてください。

2人作業時は声かけを徹底する

2人で重量物を運搬する場合は、声かけを徹底するようにしてください。

2人作業時に声かけを行わずに重量物の運搬を始めると、お互いのタイミングが合わずに荷物を落としてしまう可能性があります。また、無理な体勢になってしまい、腰痛を引き起こしてしまうケースも考えられるでしょう。

しかし、声かけを徹底した上で重量物の運搬を行えば、お互いの認識を合わせた上で運搬作業に取りかかることができるため、安全に作業を進められます。

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人力で運搬できる重量には限界がある

段ボール積み上げの様子

すべての運搬作業を人力で行おうと考えている企業も多いかもしれませんが、実は人力による重量物の取り扱いには限界があります。

また、無理に重量物を人力で運搬しようとすると、労働災害に発展する可能性があるため注意が必要です。

運搬できる重量物が労働基準法で定められている

人力で運搬できる重量物の重さは、労働基準法およびそれに関連する規則によって制限されています。

運搬できる重量物の重さは、男性か女性か、断続作業か継続作業かによって異なるため、十分な理解が必要です。

〇断続作業・・・作業の途中にほかの作業や休憩を挟むこと

〇継続作業・・・一つの作業が中断なく行われること

なお、人力で運搬できる重量物の重さはあくまでも法令であり、体調や作業時間に応じて自己判断しなければいけません。

男性が運搬できる重量物の重さ

項目 継続作業 断続作業
満16歳未満 15kg 10kg
満16歳以上満18歳未満 30kg 20kg
満18歳以上 制限なし 制限なし

※出典:厚生労働省「年少者労働基準規則」https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=73029000&dataType=0&pageNo=1

一般的に、工場や倉庫で重量物の運搬に関わる作業を行っている「満18歳以上の男性」に関しては、運搬できる重量物の重さに制限がありません。

厚生労働省が公表している「職場における腰痛予防対策指針」において、「体重のおおむね40%以下」という目安はあるものの、明確な決まりはないため、体調や作業内容に応じた判断が重要となります。

※出典:厚生労働省「職場における腰痛予防対策指針」https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000034et4-att/2r98520000034pjn_1.pdf

女性が運搬できる重要物の重さ

項目 継続作業 断続作業
満16歳未満 12kg 8kg
満16歳以上満18歳未満 25kg 15kg
満18歳以上 30kg 20kg

※出典:厚生労働省「女性労働基準規則」https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=73031000&dataType=0&pageNo=1

女性の場合は男性と異なり、どの年齢であっても運搬できる重量物の重さに制限があります。

「満18歳以上の女性」の場合、継続作業では30kg、断続作業では20kgという制限があるため、現場の責任者は制限の重さを目安に運搬作業を依頼するように心がけましょう。

なお、女性に関しては妊娠中、産後1年間の重量物運搬は禁止されているため注意が必要です。

重量物を運搬する際のケガは労災認定される場合も

重量物運搬時は、以下のように従業員がケガをしてしまうケースがあります。

  • 重量物である荷物を足に落として骨折してしまった
  • 重量物を運搬する際に腰を痛めてしまった
  • 重量物を運搬する際に転倒して足や腰を痛めてしまった

このように、重量物運搬中に起きた事故に関しては、労災認定される可能性が高いです。

特に上記で解説した「運搬できる重量物の重さ」に配慮していなかった場合は、企業や現場が労働基準法に違反しているのではないかと疑われることになります。

重量物運搬中の事故は、時として社会的な信頼性を失うことにもつながりかねないので、企業や現場の責任者は安全対策を徹底する必要があります。

重量物を効率的に運搬する4つの方法

フォークリフトでの荷物運搬

重量物運搬をもっと安全に、そして効率的に行いたい方は、これからご紹介する機械・設備の導入がおすすめです。

ここからは、重量物を効率的に運搬する4つの方法について詳しく解説していきます。

AGV(無人搬送車)、AMR(自立走行搬送ロボット)を導入する

重量物を効率的に運搬する方法として、自走ロボットの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

自走ロボットとは、搭載しているセンサーをもとに周囲の状況を認識し、操作なしで指定の位置まで重量物を運搬してくれるロボットのことです。近年では、従業員のケガ防止や人材不足の解決策として、自走ロボットを導入する工場や倉庫が増加傾向にあります。

自走ロボットを導入すれば「重量物を運搬する際にケガをしないかな」という心配をする必要がなくなり、安全に目的地まで重量物を運搬できます。

ただ、日本の物流ロボット市場は急成長を遂げており、毎年さまざまな自走ロボットが登場しているため、どの自走ロボットを導入すればいいか分からないという人も多いのではないでしょうか。

そんなときは、便利な機能満載で大量輸送が可能な 物流支援ロボット『CarriRo(キャリロ)シリーズ』がおすすめです。

単純な操作で扱えるため、機械が苦手な人でも導入後すぐに活用できます。

▶物流関連(AGV・AMR・AGF他)製品ラインアップ

ハンドリフト・フォークリフトを活用する

重量物を効率的に運搬する方法として、ハンドリフト・フォークリフトを活用することも一つの手段です。ハンドリフト・フォークリフトを活用すれば、重量物でも軽々と運搬することができるため、従業員がケガをしてしまう心配がありません。

ただ、場合によっては重量物を上の階や下の階へ運搬しなければいけないケースもあるでしょう。このようなケースにおいては、一般的なハンドリフト・フォークリフトを活用することは難しく、結局のところ人力で運搬しなければいけないといった悩みを抱えている現場も多いです。

そんなときは、多階層への運搬を効率的に行える垂直搬送システム『パレットフリーオートレーターVシリーズ』がおすすめです。

エレベーター様にカゴ部(昇降ゲージ)を往復(上昇・下降)させることで荷物を運ぶ搬送機で、台車であれば、そのままフロアパレットに載せ込みができます。パレットであれば、フォークリフトまたはハンドリフトを使用してフロアパレット上に載せることが可能です。

バランサーを導入する

重量物を効率的に運搬する方法としては、バランサーの導入も有効です。バランサーとは、重量物の上げ下げや移動をサポートする機器で、作業員の負担軽減や人員の省人化を目的に導入されるケースが多くあります。

バランサーを活用すれば、重量物を本来よりも軽い重さで運搬できるため、作業員の腰痛を予防できます。また、重量物はバランサーのフックで釣られているため、足などに落下する危険性もありません。

工場・倉庫に導入するバランサーとしては、下方・前方からもアプローチできるバランサー『パワフルアーム』がおすすめです。

床設置型で場所を取らない上に、アームバリエーションにより最大80kgまでの重量物を運搬できます。

バランサーの導入コストを抑えたい場合は、重量物搬送の機能を最適化することで低価格を実現したパワフルアーム『PAW Type S』がおすすめです。

アタッチメントはフックに限定されていますが、重量物を小型ボックスのボタンで簡単に運搬できます。

可動範囲の広さも魅力的で、さまざまなシチュエーションに合わせて活用できます。

補助アイテムを使用する

ここまで重量物を効率的に運搬する方法をご紹介していますが、中には「今は予算がない」という企業や、現場の責任者の方もいるかもしれません。

そのような方は、比較的低予算で導入できる補助アイテムの使用がおすすめです。

重量物を運搬する際の補助アイテムはさまざまありますが、今回は身体への負担を減らすアシストスーツ『レイボ エクソスケルトン』と服を着るように簡単に装着できるアシストスーツ『DARWING ABC Lift』をご紹介します。

アシストスーツ『レイボ エクソスケルトン』は、骨格構造にフィットする設計で、かがむ時に蓄えた力を体を起こす時に利用する「エネルギー回生システム」により、重量物運搬時の負担を軽減してくれます。

30秒で装着でき、バッテリー・電源も不要なので、導入後はすぐに活用可能です。

アシストスーツ『DARWING ABC Lift』には、背部から太ももにかけて高反発ゴムが配置されており、重量物を持ち上げる動作に必要な腰や背面をサポートしてくれます。本体の一部はメッシュ生地となっており、長時間使用しても蒸れにくいため、衣服のように着用することが可能です。

装着したまま座り仕事をするなど、複合的な動きもストレスなくできるため、重量物運搬の補助アイテムとして導入を検討してみてはいかがでしょうか。

まとめ

今回は、重量物を運搬する際の安全対策から、効率化するための4つの方法まで解説しました。

重量物の運搬は労働災害のリスクがあるだけでなく、従業員にとってもストレスのかかる作業内容の一つです。

職場によっては毎日行わなければいけない作業となるため、企業は効率化する方法を一刻も早く考えなければいけません。

「どのような方法を採用すればいいか分からない」という方は、ぜひ本記事で紹介した「重量物を効率的に運搬する4つの方法」を参考にしてみてください。

重量物の運搬を安全対策によって効率化し、労働災害が発生しない職場環境を構築しましょう。

カナデンでは、工場や倉庫における重量物運搬の課題に対し、安全対策と効率化を両立するソリューションをご提案しています。現場のお困りごとについて、まずはお気軽にご相談ください。

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