トレーサビリティとは?RFID・バーコードの違いやおすすめ製品を解説

「取引先からトレーサビリティ対応を求められた」「自社製品の品質トラブルが心配」——そんな悩みを抱える製造業の品質管理担当者の方に向けて、本記事ではトレーサビリティの基本の意味から種類、RFIDと2次元コード・バーコードの違い、導入メリットやおすすめの製品ラインアップまでわかりやすく解説します。
この記事は、東証プライム市場上場企業として、三菱電機をはじめ400社以上の製品を取り扱い、「製造業のDXソリューション提案」もしている株式会社カナデンの知見とノウハウを元に解説しています。
トレーサビリティの基本
まずはトレーサビリティの基本の仕組みを押さえておきましょう。ここでは言葉の意味や定義、そして近年ビジネスシーンで注目を集めている背景について、わかりやすく解説していきます。
| 項目 | 詳細な説明 |
|---|---|
| 言葉の由来 | 英語のTrace(追跡)とAbility(能力)を組み合わせた造語。日本語では「追跡可能性」。 |
| 主な対象分野 | 製造業(自動車・電子部品・機械など)、食品産業、医療・医薬品など幅広い業界 |
| 実現する状態 | 原材料の調達から製品の消費に至るまでの過程をいつでも確認できる状態 |
| 注目される理由 | 消費者の安全意識の高まりと、グローバル化によるサプライチェーンの複雑化 |
トレーサビリティの意味と定義
トレーサビリティとは、英語の「Trace(追跡)」と「Ability(能力)」を組み合わせた造語で、日本語では「追跡可能性」と訳されます。製品が「いつ、どこで、誰によって作られたのか」という移動履歴をデータとして記録し、いつでも追跡・確認できるようにする仕組みを指します。
製品を作る過程では、数多くの部品や材料が使われます。原材料の調達から生産、流通、消費に至るまでの履歴を正確に残すことで、製品の透明性を高めることが主な役割です。
万が一不良品や品質問題が発生した場合でも、どの工程・どのロットに原因があったのかを素早く特定できる点が大きなメリットです。特に製造業においては、部品単位・ロット単位での履歴管理が品質保証の土台となるため、多くの企業で導入されています。
トレーサビリティが注目される背景
近年、消費者の安全に対する意識が以前よりも高まっていると言われています。特に食品や医薬品などの分野では、製品の安全性が企業価値に影響するとされます。過去に発生した異物混入やデータ改ざんといった社会的な問題が、その流れを加速させたと考えられるでしょう。ビジネスのグローバル化によってサプライチェーンが複雑になったことも、大きな要因の一つです。製造業では、自動車・電子部品・産業機械などで一つの製品を完成させるために、国境を越えて多くの企業が関わるケースが増加しています。複雑な経路をたどる製品の品質を保つには、関係する各工程を幅広く監視する体制が求められます。
トレーサビリティの主な種類
トレーサビリティには、管理する範囲によって大きく2つの種類があります。ここでは、企業間をまたぐ「チェーントレーサビリティ」と、自社内で完結する「内部トレーサビリティ」の違いを見ていきましょう。
表は左右にスクロールできます
![]()
| 種類 | 管理の範囲 | 目的と特徴 |
|---|---|---|
| チェーントレーサビリティ | 複数の企業間(原材料調達から小売・消費まで) | サプライチェーン全体の透明性確保と消費者への安全証明 |
| 内部トレーサビリティ | 一つの企業内または一つの工場内 | 自社の製造工程における品質管理と不良品の原因特定 |
チェーントレーサビリティ(外部トレーサビリティ)
チェーントレーサビリティとは、サプライチェーン全体をまたいで製品の履歴を追跡する仕組みです。外部トレーサビリティと呼ばれることもあり、複数の企業が協力して情報を共有します。原材料の生産者から部品メーカー、組み立て工場、物流業者、小売店に至るまでの道のりをつなぎ、製品が消費者に届くまでの流れの把握が主な目的の一つです。異なる企業間でデータを共有するためには、共通のルールやシステムが求められます。現在は、バーコードや2次元コード(QRコード等)、ICタグ(RFID)といった国際的な標準規格を用いるケースが一般的となっています。社会全体で製品の安全性を守るための重要な枠組みとして機能しており、「この製品はどこから来たのか」を明確に提示するための基盤にもなっているのです。
内部トレーサビリティ
内部トレーサビリティとは、一つの企業や工場の中だけで製品の履歴を管理する仕組みを指します。外部の企業とは連携せず、自社の責任範囲内でのみ情報の追跡を行う点が特徴です。たとえば製造業の工場では、原材料が納品されてから、加工され、最終製品として出荷されるまでの工程を細かく記録します。どのロットの材料を使い、どの機械で、誰が作業したのかを紐づけた管理が求められます。導入できれば、品質のばらつきを抑える効果も期待でき、現場の作業効率や生産性の向上にも貢献するでしょう。また、工程ごとのデータが蓄積されるため、無駄な作業やエラーが発生しやすい箇所を特定しやすくなります。
トレーサビリティを導入する目的とメリット
なぜ多くの企業がトレーサビリティを導入しているのでしょうか。特に製造業では、部品点数の多さや取引先要件の厳格化を背景に、導入が進められています。ここでは、品質向上や安全性の確保、トラブル発生時の迅速な対応、企業の信頼性向上という3つの主なメリットについて詳しく解説します。
| メリットの項目 | 期待できる具体的な効果 |
|---|---|
| 品質向上と安全性の確保 | 不良品の発生原因を特定して歩留まりを向上。作業漏れを防ぎ、安全基準の遵守を強化する |
| 迅速な対応 | トラブル発生時に対象ロットを即座に特定し、リコールの被害とコストを最小化する |
| 信頼性の向上 | 製品の透明性を高めることで消費者や取引先からの評価を高め、ブランド価値を向上させる |
品質向上と安全性の確保
トレーサビリティを導入する大きな目的の一つは、製品の品質を高め、安全性を確保することです。製造過程のあらゆるデータを記録できれば、品質に影響を与える要因を細かく分析できるようになります。たとえば、「特定の機器を使用した際に不良率が上がる」といった傾向の早期発見が可能です。
分析結果をもとに設備のメンテナンスや作業手順を改善すれば、より安定した品質を保ちやすくなります。また、ヒューマンエラーによる作業の抜け漏れを防ぐチェック機能としても有効です。安全基準や業界ガイドラインの遵守を仕組み化することで、自社製品の安全性を高めると同時に、現場全体の品質意識の向上にも寄与します。
トラブル発生時の迅速な対応
どれだけ品質管理を徹底していても、予期せぬトラブルが発生するリスクはゼロではありません。万が一、市場に出回った製品に欠陥が見つかった場合、対応のスピードが企業の死活問題となります。
履歴管理の仕組みが整っていれば、問題のあるロット番号を速やかに特定し、影響が及ぶ製品の正確な範囲を割り出せます。これにより、回収(リコール)の規模を最小限に抑え、膨大な対応コストや二次被害の拡大を防ぐことが可能です。危機的な状況に陥ったときこそ、正確なデータの裏付けが企業を守るリスクマネジメントの支えとなります。
企業としての信頼性向上
製品の履歴をクリアに示せる体制は、社会や取引先に対する誠実さの証明になります。特に食品・化粧品・医療分野など、直接人体に触れる製品や、グローバルな厳格基準への対応が求められる分野では欠かせない要素です。
安全性を客観的なデータで証明できる企業は、消費者からのブランド価値が高まり、長期的な顧客獲得につながります。また、厳しい品質基準を設けている大手企業や海外企業との取引においても、トレーサビリティの確立は事実上の前提条件です。体制を整えておくことで、新規案件の獲得や継続的な取引維持を有利に進められます。
製造業のトレーサビリティを支える識別技術
製造業でトレーサビリティを実現するには、一つひとつの部品や製品に「識別情報」を付与し、工程ごとに読み取ってデータへ紐づける必要があります。現場で広く使われている識別技術は、大きく分けて「RFID(ICタグ)」と「2次元コード・バーコード」の2つです。それぞれの得意な領域を理解しておくと、自社に合った方式を選びやすくなるでしょう。
表は左右にスクロールできます
![]()
| 識別技術 | 主な特徴 | 向いている現場 |
|---|---|---|
| RFID(ICタグ) | 非接触・複数一括読み取り・遮蔽物にも比較的強い | 大量ロットの棚卸、入出荷検品、金属部品の個体管理 |
| 2次元コード・バーコード | 低コスト・印刷/刻印で恒久付与できる・目視でも確認可 | 基板や小型部品の個体識別、段ボール外装のロット表示 |
RFIDによるトレーサビリティ
RFIDは、ICチップとアンテナを内蔵したタグに情報を書き込み、電波で読み書きする技術です。バーコードのように1枚ずつ読み取る必要がなく、複数のタグを一括で、しかも非接触で読み取れる点が大きな特徴です。
製造業の現場では、以下のような用途で採用が広がっています。
- 完成品や仕掛品の棚卸を短時間で完了させたい倉庫・物流拠点
- 通い箱やパレットに付与して、工程間の位置情報や履歴を自動で更新したい生産ライン
- 金属部品や工具の個体管理・持ち出し管理
一方で、タグ単価がバーコードより高く、金属や液体の近くでは電波が反射・吸収されやすいという特性もあります。導入時は、UHF帯/HF帯といった周波数帯や、金属対応タグの選定など、現場環境に合わせた設計が求められます。
2次元コード・バーコードによるトレーサビリティ
2次元コード(QRコード・DataMatrixなど)とバーコードは、印刷やレーザー刻印によって恒久的に識別情報を付与できる、広く普及した識別技術です。タグ本体のコストが非常に低く、既存の印字機器・ハンドヘルドスキャナと組み合わせやすいことから、製造業で広く使われています。
主な活用シーンは以下の通りです。
- プリント基板や電子部品へのレーザーマーキングによる個体識別
- 段ボール外装へのロット番号・出荷情報の印字
- 生産ライン上での全数読み取りによる工程進捗管理
2次元コードは、バーコードよりも情報量が多く、部品の一部が汚れても読み取れる冗長性を持つため、製造業の個体トレースで採用が進んでいます。ただし、読み取りには基本的に「見える」状態が必要で、金属コンテナの中身をまとめて識別するような用途にはRFIDが推奨されます。
RFIDと2次元コード・バーコードの使い分け
どちらか一方を選ばなければならない訳ではないため、多くの製造業の現場では両者が組み合わせて運用されています。判断軸の目安は次の通りです。
- 一括読み取りしたい/目視できない場所で読みたい:RFIDがおすすめ
- 単価を抑えたい/小型部品や基板に個体識別を打ちたい:2次元コード・バーコードがおすすめ
- 段ボール外装や出荷単位のロット表示:インクジェット等での印字(バーコード)がおすすめ
- 樹脂・金属部品の恒久的な個体識別:レーザーマーカーによる2次元コード刻印がおすすめ
- 通い箱・仕掛品・工具の位置管理:RFIDがおすすめ
まずは「何を、どこで、どの粒度で追いかけたいのか」を整理し、それぞれの工程に適した識別技術を割り当てていくのが、失敗の少ない設計手順につながるはずです。
トレーサビリティ導入を支えるおすすめ製品ラインアップ
トレーサビリティの実現には、識別・印字・読み取り・データ管理といった複数の要素を現場環境に合わせて組み合わせる必要があります。 ここでは、複数のメーカー製品を取り扱うカナデンの知見をもとに、統合システムから各種リーダ・プリンタ・専用装置まで、現場の課題解決に役立つおすすめ製品をご紹介します。
FAトータルインフォメーションシステム『FAtis』
![]()
FAトータルインフォメーションシステム『FAtis』(フェイティス)は、カメラ映像とPLCやMES、SCADA等のデータを連携させて現場の情報を一元管理し、工場全体のトレース基盤を構築できるカナデンの統合パッケージです。複数設備から集めたデータを見える化し、履歴として蓄積する役割を担います。
本製品は、トレーサビリティに加えてトラブルの早期復旧や原因分析までを1つのパッケージでカバーしている点が強みです。カメラ映像と紐づけられるため、トラブル発生時にデータだけでなく、当時の「映像」で原因を即座に特定することができます。複数メーカーの設備を使用しているマルチベンダー環境にも対応するため、なるべく既存設備を使ってトレーサビリティを実現したい企業におすすめです。
UHF RFIDスレッド『Zebra RFD9030』
![]()
UHF RFIDスレッド『Zebra RFD9030』は、お手持ちのスマートフォンや業務用モバイル端末をカチッと装着して一体化させることで、高精度な「ハンディ型RFIDリーダー」として活用できる業務用の拡張端末です。
毎秒1,300タグという高速一括読み取り性能を誇り、遠く離れた場所や遮蔽物がある環境でもタグを素早く検知します。既存のスマホ資産を活かしながら導入できるため、コストを抑えてRFIDによる一括読み取りを始めたい企業に最適です。
さらに、過酷な現場に耐える優れた防水・防じん性と高い耐衝撃性能を備えており、油やホコリが舞う工場内や、大量の部材・完成品を迅速に棚卸・検品したい物流倉庫のトレーサビリティ強化に大きく貢献します。
ハンドヘルド型スキャナ『DS82シリーズ』
![]()
ハンドヘルド型スキャナ『DS82シリーズ』は、高性能な2メガピクセル(200万画素)光学システムを搭載し、印字の掠れたコードや小型の2次元コード(DPM等)も瞬時に読み取る、高い堅牢性を備えたスキャナです。
水滴や粉塵が舞う工場内や、頻繁な落下リスクがある過酷な作業環境にも耐える設計となっており、製造ラインでの工程進捗記録や倉庫でのロット管理など、現場のハードな日常運用を強力に支えます。
さらに、ラインアップにはバーコードスキャンとRFID読み取りを1台でこなせるRFID内蔵モデルも用意されています。2次元コードとRFIDタグを両方運用している現場において、デバイスを複数持つことなく1台でスマートにデータ収集を行いたい企業に最適な製品です。
段ボール用インクジェットプリンター『Cxシリーズ』

段ボール用インクジェットプリンター『Cxシリーズ』は、ライン上を流れる段ボール箱の側面に、ロット番号やバーコード、ロゴなどを高精細に直接印字できる産業用プリンターです。
ひとつひとつの段ボール箱へダイレクトに可変情報を印字できるため、これまで手作業で行っていたラベルの作成・貼り付け作業が不要になり、出荷準備の省人化と作業効率の大幅な向上を実現します。また、あらかじめ品名などを印刷した専用段ボールを多品種分用意する必要がなくなり、無地段ボールに集約することで資材管理コストや保管スペースを削減できる点も大きなメリットです。
高精度なピエゾヘッドと滲みにくい専用インクにより、非接触でありながら搬送ラインを止めることなく高い読み取り精度を保った印字が可能です。ラベル代の削減や作業自動化によって出荷トレーサビリティの精度を高めたい現場に最適なソリューションとなります。
CO2レーザーマーカー『D310シリーズ』
![]()
CO2レーザーマーカー『D310シリーズ』は、紙パッケージから樹脂、ガラス、フィルムまで多様な素材に対して、高精細な2次元コードや文字を非接触で刻印できる小型のレーザーマーカーです。
インクやリボンなどの消耗品を必要としないため、インク補給の手間やランニングコストを大幅に削減できます。また、熱で製品表面に直接刻印を施す仕組みのため、擦れや薬品によって印字が消える心配がなく、改ざん防止や長期保管が必要な製品のトレース管理に適しています。
小型コントローラー・印字ヘッドを採用しているため、既存の生産ラインやスペースに限りのある現場へも容易に後付け設置が可能です。コストを抑えながら、確実で消えない個体識別体制を構築したい製造現場におすすめの製品です。
レーザ式基板マーキング装置『ML-PM20F3/ML-PM30C3』
![]()
レーザ式基板マーキング装置『ML-PM20F3/ML-PM30C3』は、プリント基板の任意の位置へシリアルナンバーや2次元コードを高速かつ微細にダイレクト印字できる専用装置です。
従来のスタンプ方式と異なり、インクのかすれやつぶれが発生しない高品位なマーキングが可能です。ファイバレーザ搭載モデルを選択することで金属やセラミックなど多彩な基板素材に対応できるほか、高精度な位置決めによって基板上の限られた実装スペースにも確実に刻印を施せます。
さらに、オプションの内蔵反転機構によって両面マーキングに対応できる点や、上位の生産管理システム・トレーサビリティシステムとスムーズに接続できる点も大きな特徴です。印字プログラムの一元管理や製造情報のリアルタイム追跡を実現し、厳格な品質管理や不良流出防止を追求する電子部品・基板製造ラインを強力に支えます。
固定式コード&ビジョンシステム『MCV-F1000』
![]()
固定式コード&ビジョンシステム『MCV-F1000』は、生産ライン上での1D/2Dコード読み取り、賞味期限やシリアル数字等の文字認識(OCR)、パーツの有無や外観チェックといった画像処理検査を1台で同時に行える統合型ビジョンシステムです。
オートフォーカスと光学3倍ズームを搭載した可変焦点(バリフォーカル)システムを採用しているため、高さの異なるワークや遠く離れた位置のコード・印字も高精度に撮像できます。従来はコードリーダーと画像処理センサを別々に設置していた現場においても、機器を本製品1台に集約することで設備コストと設置スペースを大幅に削減可能です。
さらに、刻印された文字や難読コードの同時読み取り・照合機能も備えており、誤出荷防止やコンポ誤り防止など、トレーサビリティと全数検査を高レベルで両立したい製造・物流ラインに最適なソリューションとなります。
製造工場向けRFIDソリューション
![]()
製造工場向けRFIDソリューションは、RFIDタグの選定や専用プリンタによるエンコード(データ書き込み)から、現場での自動読み取り、上位システムとのデータ連携までをワンストップで手掛ける総合支援サービスです。
現場の過酷な環境(金属部材・高温・水蒸気など)に対応した特殊タグの選定を含め、現場の業務フローに寄り添ったシステム構築を行える点が大きな特徴です。部品や仕掛品へのタグ貼り付けとデータ読み取りを自動化・簡略化することで、手作業でのスキャン作業や記帳・手入力に伴うヒューマンエラーを激減させます。
単なる機器導入にとどまらず、現場での実証実験(PoC)から運用定着まで伴走支援を受けることができるため、知識やノウハウが不足している状態からでも安心して導入を進められます。作業工数の削減と内部トレーサビリティの精度向上を同時に実現したい製造現場に最適なアプローチです。
RFID対応 入出荷・在庫管理システム『IritoDeⓇ』
![]()
RFID対応 入出荷・在庫管理システム『IritoDeⓇ』(イリトデ)は、入出荷検品や棚卸、ロケーション管理などの現場業務をRFIDの一括読み取りによって劇的に効率化する、サトーの在庫管理パッケージシステムです。
個体ごとのバーコードスキャンを不要にし、ゲートやハンディ端末による一括読み取り(ノー検品化)を実現することで、検品作業時間を従来の数分の1に削減します。また、誰が作業しても誤検品やカウントミスが発生しない仕組みを構築できるため、高精度なリアルタイム在庫把握が可能となり、サプライチェーン全体を通じたチェーントレーサビリティの起点となる確実なデータを蓄積できます。
ゼロからの特注開発(スクラッチ開発)と異なり、現場で必要な基本機能が標準搭載されたパッケージソフトであるため、初期投資コストを抑えて短期間でスムーズに運用を開始できます。手作業による検品工数の削減や、人員不足・手入力ミスに悩む工場・倉庫の物流改善に適したソリューションです。
トレーサビリティ導入の課題と注意点
数多くのメリットがある一方で、トレーサビリティの導入にはいくつかの課題も存在します。ここでは、コストや現場の手間の増加、そしてシステム連携や標準化の難しさといった注意したいポイントを解説します。
| 課題の項目 | 具体的な内容と対策のヒント |
|---|---|
| コストの増加 | システム開発や専用機器の導入に費用がかかるため、規模に見合った投資計画を立てる |
| 現場の手間 | 新たな入力作業が発生するため、使いやすい機器を選定し、事前の研修を徹底する |
| システムの連携 | 取引先間でデータ形式が合わないことがあるため、業界の標準規格に沿って構築する |
| 情報セキュリティ | ランサムウェアや不正アクセスによるデータ改ざん・漏洩に備え、アクセス権限の管理やバックアップ・ネットワーク分離を行う |
導入コストと現場の手間の増加
メリットが多い一方で、導入には相応の費用と労力がかかる点に注意が必要です。システム構築の初期費用やサーバー維持費が継続的に発生するほか、バーコードリーダやICタグなどの専用機器も揃える必要があるため、事前の予算計画が求められます。費用対効果を見極め、自社の規模に合ったシステムを選びましょう。現場の作業員にとっても、これまで不要だったスキャンやデータ入力が業務に加わり、慣れるまでは一時的に作業効率が落ちる可能性があります。負担を抑えるには、直感的に操作できるシステムを選び、導入前に現場の意見を聞きながら無理のない運用ルールを設計するのがおすすめです。また、RFIDタグと2次元コード・バーコードでは初期投資と運用コストのバランスが大きく異なります。RFIDはタグ単価が高い反面、読み取り工数を削減しやすく全体ではコストダウンにつながる場合もあります。一方、2次元コード・バーコードは付与コストを抑えやすいものの、1点ずつ読み取る運用がボトルネックになりがちです。どの工程にどちらを適用するかを事前にシミュレーションしておくことが、投資判断の重要なポイントと言えるでしょう。
システム連携と情報セキュリティの確保
企業間をまたぐチェーントレーサビリティを実現する場合、システム連携のハードルが高くなる傾向があります。取引先ごとにシステムやデータ形式が異なると情報をスムーズに受け渡せないため、フォーマットの統一や接続調整が必要です。関係企業が多いほどルールのすり合わせに時間がかかるため、業界の標準規格に準拠したシステム設計を行うことが解決の近道となります。
また、トレーサビリティを推進するうえで欠かせないのが情報セキュリティ対策です。取引先とデータを共有する際は、企業のノウハウや機密情報が漏洩しないよう、共有範囲と社外秘のルールを明確にし、厳密なアクセス権限設定を行う必要があります。
さらに近年では、工場や倉庫のネットワーク化に伴い、ランサムウェア等のサイバー攻撃によるデータ暗号化・システム停止のリスクも高まっています。重要な製造履歴やトレースデータを保護するためにも、アクセス制限だけでなく、定期的なバックアップやネットワーク分離といった強固なセキュリティ基盤を整えておくことが重要です。
導入コストや現場の手間、システム連携の難しさなど、トレーサビリティ導入にはさまざまな検討ポイントがあります。エレクトロニクス技術商社であるカナデンは、複数メーカーを横断した製品と長年にわたって培ったノウハウ・ソリューションでお客様の課題解決を支援しています。トレーサビリティで悩んだら、まずはご相談ください。
※現状やお悩み、質問等お気軽にご記入ください。
トレーサビリティの導入ステップ
実際に自社へトレーサビリティを取り入れるには、どのような手順で進めればよいのでしょうか。ここでは、目的の明確化からシステム選定、現場への定着までの流れを4つのステップに分けて解説します。
| ステップ | 主な作業内容 |
|---|---|
| ステップ1 | 何のために導入するのか(目的)を定め、追跡する製品や工程の範囲を決定する |
| ステップ2 | 記録するデータ項目や識別コードの付け方など、現場の運用ルールを設計する |
| ステップ3 | 設計したルールや現場環境(必要に応じて標準規格)に合ったシステム・機器を選び導入する |
| ステップ4 | 従業員への教育を行いながら運用を開始し、定期的なレビューで改善を重ねていく |
ステップ1:導入目的と対象範囲の明確化
トレーサビリティ導入の第一歩は、「なぜ導入するのか」という目的を明確にすることです。品質改善のためか、取引先からの要請に応えるためかによって必要な仕組みは変わるため、まずは自社の課題を洗い出し、解決したいゴールを言語化することから始めましょう。目的が定まったら、次に追跡する製品や工程の範囲を決めます。すべての製品を一度に対象にすると負担が大きいため、優先度の高い品目から段階的に広げるのが現実的です。また、社内で完結する内部トレーサビリティにするのか、取引先とつなぐチェーントレーサビリティを目指すのかも重要な判断となります。関係する部署や取引先を早い段階から巻き込み、認識をそろえておくと後々の混乱を防げます。経営層の理解を得るためには、投資に見合う効果を具体的に説明できる資料の準備も求められます。時間をかけてでも関係者全員が納得できるゴール設定を行いましょう。
ステップ2:管理項目とルールの設計
導入の目的と範囲が固まったら、次は具体的にどのような情報を記録するかを設計するステップに入ります。原材料の産地やロット番号、加工日時、担当者、使用した設備など、追跡に必要な項目を洗い出しましょう。記録項目が多いと現場の負担が増えすぎる懸念があるため、目的達成に必要なものだけを厳選するのが理想的です。あわせて、製品や部品を一意に識別するためのコード体系もこの段階で設計しておきます。識別方法にはバーコード・QRコード・ICタグなどがあり、選択によって現場のオペレーションが変わります。RFIDタグか2次元コード・バーコードか、あるいは併用かを早めに仮決めしておくと、後工程の検討がスムーズに進むでしょう。さらに、記録したデータを誰が・いつ・どのように入力するかというルール作りも求められます。既存の業務フローに新しい作業を組み込むため、現場の意見を丁寧に吸い上げ、無理のない運用ルールを設計しておくと、導入後のトラブルや形骸化を防ぎやすくなります。異常発生時の対応フローもあらかじめ決めておくと安心でしょう。
ステップ3:システム・機器の選定と導入
管理項目とルールが固まったら、決定内容を実現するシステムや機器を選定していきます。市販のパッケージソフトを使うか、自社向けにカスタマイズ開発するかを、コストと拡張性の両面から検討しましょう。チェーントレーサビリティを見据える場合は、GS1などの業界標準規格に対応していると、将来的に取引先とのデータ連携もスムーズです。現場で使うリーダーや印字機器も、作業環境と識別方式に合ったものを選びましょう。たとえば、大量ロットや通い箱の管理にはRFIDリーダー、基板や小型部品の個体識別にはレーザーマーカーと2次元コード対応スキャナ、段ボール外装にはインクジェットとバーコードスキャナといった組み合わせが考えられます。工程ごとに最適な機器構成を検討するとよいでしょう。水や油を扱う現場では、防水性や耐久性の高い機器も必要です。選定にあたっては、ベンダーから提案を受け、機能・価格・サポート体制を確認した上で、既存の生産管理システムや基幹システムとの連携も考慮しましょう。一度に全社展開せず、まずは一部の工程やラインで試験導入を行い、効果や課題を検証したうえで調整を加え、本格展開へ進むのが一般的な進め方とされます。
ステップ4:現場運用と継続的な改善
システムや機器の準備が整ったら、現場での運用を開始します。最初のうちは入力ミスや作業漏れが起こりやすい傾向にあるため、フォロー体制を手厚くしておくと安心です。なぜトレーサビリティが必要なのかという背景を丁寧に伝えると、現場のモチベーションも高まりやすくなるでしょう。運用を続けるなかで、当初想定していなかった課題や改善点が見えてくることも多いです。現場からの声を定期的に吸い上げ、ルールやシステムに反映する仕組みを整えておきましょう。蓄積されたデータは品質改善や業務効率化のヒントにもなるため、定期的に運用状況をレビューし、目的の達成度合いを数値で振り返る機会を持つのがおすすめです。成果を見える形で共有できれば、経営層や現場の協力も得やすくなります。トレーサビリティは一度導入して終わりではなく、育てていく仕組みとして捉える姿勢が、成功の鍵になるでしょう。
まとめ
トレーサビリティの基本的な意味や種類、導入のメリットと課題について解説してきました。最後に要点を整理し、自社への導入を検討する上で押さえておきたいポイントを振り返っていきましょう。
- トレーサビリティとは、製品の原材料調達から消費までの履歴を追跡できる仕組み
- 自社内で完結する内部トレーサビリティと、企業間をまたぐチェーントレーサビリティの2つの種類がある
- 識別技術は、一括読み取りに強いRFIDと、恒久付与・低コストに強い2次元コード・バーコードを使い分けること
- 導入により、品質向上・迅速なトラブル対応・企業の信頼性向上が期待できる
- 一方で、導入コストやシステム連携・標準化の難しさといった課題への事前計画が求められる
まずは自社の目的と対象範囲を明確にするところから、トレーサビリティ導入の第一歩を踏み出してみましょう。
トレーサビリティの導入に向けた要件整理を行っても、現場の環境や扱う製品によって、最適な識別技術(RFID/2次元コード)や機器の選定は大きく異なります。
エレクトロニクス技術商社であるカナデンでは、自社パッケージ『FAtis』をはじめ、各種RFID機器、スキャナ、プリンター、レーザーマーカまで、複数メーカーの製品を組み合わせた最適なトレーサビリティ基盤のご提案が可能です。「何から着手すればよいかわからない」「自社に合った機器構成を知りたい」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。
※現状やお悩み、質問等お気軽にご記入ください。














