サプライチェーンマネジメント(SCM)とは?目的やメリットをわかりやすく解説

調達から生産、物流、販売、購買につながっているイメージイラスト

「調達先の部品遅延で製造が止まる一方で、別の完成品在庫は山積みになっている」「取引先や物流事業者との情報連携がうまくいかず、納期遅れや無駄な保管コストが発生している」——そんなサプライチェーン全体の悩みを抱える製造業・小売業・物流業の方に向けて、この記事ではサプライチェーンマネジメント(SCM)の基本をわかりやすく解説します。

SCMとは、原材料の調達から製造・物流・販売までを一連の流れとしてとらえ、モノ・お金・情報を統合的に管理する経営手法のことです。読み終えるころには、SCMが重要視される背景や導入のメリット・デメリット、失敗しにくい導入ステップまでを整理でき、自社への導入可否を判断したり社内で説明したりするための材料が揃うでしょう。

この記事は、東証プライム市場上場企業として、三菱電機をはじめ400社以上の製品を取り扱い、「製造業のDXソリューション提案」もしている株式会社カナデンの知見とノウハウを元に解説しています。

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サプライチェーンマネジメント(SCM)とは?押さえたい基礎知識

サプライチェーンマネジメント(SCM)は、企業の利益を向上させ、無駄なコストを削減するための重要なアプローチとして多くの企業に注目されています。ここでは、基本的な言葉の意味や、導入によって目指すべき本来の目的について詳しく解説していきます。

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項目 意味合い 目指す状態
サプライチェーン 原材料の調達から製造・販売を経て、消費者に商品が届くまでの「一連の流れ」 途切れることなく、スムーズに商品が届く状態
サプライチェーンマネジメント(全体最適) 自社だけでなく調達先から販売先まで、モノ・情報・お金の流れを一括で管理する手法 プロセス全体から無駄が省かれ、企業全体の利益が向上している状態
従来の手法(部分最適) 部署や企業ごとに、自社・自部門の目標達成だけを優先して管理する手法 担当部署内は効率的な状態(全体で見ると在庫やコストの無駄がある場合も)

サプライチェーンの意味と定義

サプライチェーンとは、原材料の調達から製造、物流を経て消費者の手元に届くまでの、一連のつながりやプロセスを指す言葉です。日本語では「供給連鎖」と訳され、調達、製造、在庫管理、物流、販売といった複数の工程が、鎖のようにつながっている様子を表しています。たとえば、スーパーに並ぶお弁当は、農家、食品工場、配送センター、店舗といった複数の企業や部門を経由して消費者のもとへ届きます。どこか一つでも情報が途切れたり作業が滞ったりすれば、消費者へ製品を届けにくくなりかねません。各工程がスムーズに連動する状態を常に保つことは、あらゆる企業にとって大きな課題の一つと言えるでしょう。トラブルを防ぐ基盤となるのが、サプライチェーンという概念です。

SCM(サプライチェーンマネジメント)の目的

サプライチェーンマネジメントの本来の目的は、一連の流れを「全体最適」の視点で管理し、効率化することにあります。従来の企業活動では、各部門が自分たちの目標達成だけを目指す「部分最適」に陥りがちでした。製造部門は生産効率を上げることを追い求め、営業部門は注文に応えるために多くの在庫を持とうとします。部門ごとに独自の目標を追いかけると、売れない在庫を抱えたり、急な配送に対応するためのコストが増加したりする原因になりかねません。モノ・お金・情報の流れを統合し、調達から販売までのバランスを整える仕組みが求められます。サプライチェーンマネジメントを導入すれば、部門間の壁を越えて情報を共有でき、会社全体の無駄を省きながら利益を追求できる土台になるでしょう。

具体的には、SCM(サプライチェーンマネジメント)とは、サプライチェーン間における現場の「トレーサビリティ」をはじめ、「MES(製造実行システム)」や「WMS(倉庫管理システム)」などの各種システムデータを一元的に繋ぎ、最適化を図る取り組みを指します。

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なぜ今SCMが重要視されているのか?背景にある3つの理由

サプライチェーンマネジメントという概念自体は以前から存在していましたが、近年再び強く注目されるようになりました。背景には、企業を取り巻く社会環境やビジネス環境の急激な変化があるとされます。ここでは、特に大きな影響を与えている3つの理由について解説していきます。

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背景となる要因 現場で発生している課題 SCMで得られる対応策
人手不足の深刻化 労働力不足による生産遅延や物流の停滞リスク 全体最適化による無駄な作業や輸送の削減
グローバル化とリスク増大 複雑な供給網におけるトラブル発生時の対応遅延 リアルタイムな情報共有と迅速な生産計画の変更
ニーズの多様化と短期化 予測外の需要変動による大規模な過剰在庫や欠品の発生 最新の販売データ連携による精度の高い需要予測

人手不足の深刻化と働き方改革

少子高齢化に伴う労働力不足は、物流や製造の現場において深刻な課題の一つになっています。特に日本では、トラックドライバーの高齢化や労働時間規制の強化により、「モノが運べない時代」の到来も指摘されるほどです。工場での熟練作業員の確保も難しくなるなか、従来の人海戦術や長時間の残業に頼った業務運営は限界を迎えつつあると考えられます。限られた人員で従来通り、あるいはそれ以上の生産性を維持するためには、業務の無駄を省き、効率良く製品を作る仕組みの再構築が求められます。情報を一元管理して無駄な輸送を減らしたり、急な計画変更による現場の混乱を防いだりする取り組みは、従業員の負担を減らし、働き方改革を推進する上でも有効な手段と言えるでしょう。サプライチェーンマネジメントは、今やコスト削減のためだけでなく、事業を継続するための重要な基盤の一つとなりつつあります。

グローバル化による競争激化とリスク増大

企業の活動拠点が世界中に広がるなかで、調達や販売のネットワークは以前より複雑さを増していると言われています。海外のサプライヤーから安い原材料を調達できるメリットがある一方、自然災害や国際情勢の変化、未知の感染症などによる供給遅延のリスクも高まる傾向にあります。どこか一つの拠点で部品の製造が止まってしまった際、全体の状況を把握できていないと、代替品の確保などの対応が遅れ、大きな損失につながりかねません。世界規模で広がる供給網をリアルタイムで把握し、予期せぬトラブルが発生した際にも迅速に対策を打てる盤石な体制を整える上で、情報を統合する仕組みが求められています。

消費者ニーズの多様化と製品ライフサイクルの短期化

現代の消費者は、インターネットやSNSを通じて常に多様な情報を得ており、求める商品やサービスの形も刻々と変化しています。一つのヒット商品が何年も売れ続ける時代は終わり、短いサイクルで新しい商品を企画し、市場に投入し続ける動きが求められます。変化の激しい市場環境では、過去の販売実績や担当者の経験と勘に頼った生産計画だけでは、過剰在庫や欠品を引き起こしかねません。店舗での販売状況やトレンドの変化を、製造や調達の部門にいち早く連携し、需要の波に柔軟に対応するための経営基盤として、サプライチェーンマネジメントが注目されつつあるのです。顧客が欲しいと思った瞬間に製品を提供できるスピード感が、企業の競争力を左右する時代になっていると言えるでしょう。

SCMを導入するメリットと期待できる効果

サプライチェーンマネジメントを自社に取り入れることで、具体的にどのような恩恵が得られるのでしょうか。企業が抱える様々な悩みを解決し、市場での競争力を高めるための効果について、実務の視点から詳しく解説していきます。

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期待できる主なメリット 現場で実感できる効果 企業経営に与える影響
在庫水準の最適化 過剰在庫の削減と欠品リスクの防止 保管費用の削減および手元資金(キャッシュフロー)の改善
リードタイムの短縮 受注から納品完了までの大幅な時間短縮 顧客への迅速な価値提供と販売機会の確実な獲得
トータルコストの削減 輸送費や原材料調達費の無駄の排除 利益率の向上と厳しい市場環境における競争力の強化
品質の安定とリスク管理 不良発生時の迅速な原因特定と影響範囲の最小化 企業ブランド(信頼性)の保護と製品保証コストの削減

在庫の最適化とキャッシュフローの改善

大きなメリットの一つとして挙げられるのが、企業にとって継続的な課題とも言える「適切な在庫水準」を維持しやすくなることです。

在庫が多すぎれば、倉庫の保管費用がかさむだけでなく、会社の資金が製品という形に固定され、自由に動かしにくくなるおそれがあります。一方で在庫が少なすぎると、顧客からの注文に応えられず、売上を立てるチャンスを逃すことにもつながりかねません。

社内はもちろん、調達先や販売先などのパートナー企業と情報をスムーズに共有できれば、市場の需要に合わせて必要なときに必要な量だけを生産し、無駄な在庫を抱えない体制を構築できます。過剰在庫が減れば保管スペースの無駄や廃棄ロスを削減できるだけでなく、手元に残る現金(キャッシュ)が増え、新しい事業への投資などへ資金を回せる健全な経営サイクルが生まれます。

リードタイムの短縮と機会損失の防止

製品の注文を受けてから実際に顧客へ納品するまでの時間(リードタイム)を短縮できる点も、重要な効果の一つです。

社内や取引先の間で情報が分断されていると、営業から製造への連絡待ちや、資材の到着待ちといった確認作業や無駄な待ち時間が頻繁に発生し、全体の遅延につながります。SCMシステムなどを通じて社内外で最新の注文状況や生産進捗を共有しておけば、次の工程を担当する部門やパートナー企業が事前に準備を進めやすくなります。

たとえば、注文が入った瞬間に調達先へ部品の発送指示が自動で連携されるような仕組みがあれば、手入力による連絡ミスや誤出荷といったトラブルも未然に防げます。

素早く確実に顧客へ製品を届けられるようになれば、顧客満足度が向上するだけでなく、納期の遅れを理由に競合他社へ顧客が流れてしまう「機会損失」のリスクも大幅に低減できるでしょう。

全体最適によるコスト削減

調達、製造、物流の各プロセスを横断的に見直し、全体としてコストを下げる効果が期待できる点も注目ポイントです。個別の部門ごとに行っていた小さな改善だけでは、限界がある場合も少なくないでしょう。

サプライチェーン全体を俯瞰すると、たとえば別々に手配していた輸送トラックを統合して積載率を高めたり、精度の高い需要予測に基づいて原材料を計画的にまとめ買いし単価を下げたりする取り組みが可能になります。緊急の追加生産に伴う特別輸送費や、休日の残業代といった予期せぬコストの抑制にもつながるはずです。無理な割り込み生産に伴う作業ミスや製品不良(手戻りコスト)の防止にもつながるでしょう。

部分的な視野では見落とされていた「プロセスの隙間の無駄」を発見・排除し、企業全体の利益率を構造的に向上させる上で、SCMは極めて強力なアプローチとなります。

品質の安定化とトラブル発生時のリスク管理

サプライチェーン全体の情報を一元管理することは、製品品質の安定化や、万が一のトラブル時におけるリスク軽減にも大きな効果を発揮します。

従来の部門ごとに分断された管理では、製品に不良や不具合が発生した際、「どの調達先の原材料に問題があったのか」「どの製造ロット・配送ルートでトラブルが生じたのか」の原因特定に膨大な時間と労力がかかっていました。

SCMを導入し、調達から製造・出荷までのプロセスを可視化(トレーサビリティを確保)しておけば、不具合の原因を迅速かつ正確に特定できます。影響のある対象商品をピンポイントで特定して回収(リコール)等の対応を最少範囲に抑えられるため、企業のブランド価値や顧客からの信頼失墜を最小限に防ぐことが可能です。

さらに、調達先ごとの品質データや事故履歴を共有・分析することで、重大な品質トラブルを未然に防ぐ「予兆管理」の体制づくりにも貢献します。

SCM導入にあたって知っておきたいデメリットと注意点

多くの利点がある一方で、サプライチェーンマネジメントの導入にはいくつかのハードルが存在します。期待通りの成果を出すためには、あらかじめ懸念される点とその対策をしっかりと理解しておく必要があります。

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デメリット・懸念点 現場で発生しやすい問題 失敗を防ぐための対応策
初期コストと工数の負担 システム導入費用の増大と移行期の現場の業務負荷 スモールスタートでの効果検証と段階的な導入計画
関係各所との合意形成の難しさ 部門間や取引先との利害対立・ルール統一の難航による計画の遅れ 経営陣による強力な後押しと、共通の目的・メリットの丁寧な共有
現場の心理的な抵抗感 新しい業務プロセスへの不満や定着の遅れ 現場の意見を吸い上げた運用設計と、丁寧なマニュアル作成・教育

システム導入に伴う初期コストと工数

情報を一元管理するためのシステムを構築するには、まとまった初期費用と時間が求められます。ソフトウェアのライセンス費用やサーバー費用に加え、既存システムとの連携開発費用、現場の従業員が新しい操作方法や業務フローを覚えるための教育コストや移行期の業務負荷も考慮する必要があります。費用対効果が不透明なまま見切り発車で進めると、システムが定着せず投資の効果が薄くなってしまうかもしれません。一度に大規模な投資を行うのではなく、後述するスモールスタートで効果を確かめながら段階的に進めるのが有効な対策の一つと言えるでしょう。

部門間および企業間における合意形成の難しさ

サプライチェーンには多くの社内部署や取引先が関わるため、立場や利害関係の調整に大きな労力と時間を要する点も注意が必要です。

製造・営業・物流といった部門ごとに優先したい目標が異なるだけでなく、外部の部品メーカーや物流事業者にも運用の変更やデータ連携の協力を仰ぐ必要があり、共通ルールの策定や仕組みづくりに数ヶ月から数年かかるケースも少なくありません。

利害対立による計画の滞りを防ぐには、経営方針としての後押しを背に受けながら、推進リーダーが中心となってプロジェクトの目的や導入メリットを各所に丁寧に説明し、泥臭く合意形成を図っていくプロセスが不可欠です。

現場の心理的な抵抗感と定着の難しさ

新しいシステムや業務プロセスの導入は、現場の従業員にとって大きな負担や不安の原因になりがちです。長年慣れ親しんだやり方を変えることへの抵抗感から、入力作業が形骸化したり、旧来の方法に戻ったりするケースも少なくないでしょう。この事態を防ぐためには、導入の企画段階から現場の意見を丁寧に取り入れ、無理のない運用フローを一緒に設計するのが理想です。現場が「やらされている」ではなく「自分たちの仕事が楽になる」と実感できる仕組みづくりが、定着を左右する鍵になるでしょう。

初期コストや部門間調整、現場定着など、SCM導入にはさまざまな懸念点があります。エレクトロニクス技術商社であるカナデンは、豊富な製品と長年にわたって培ったノウハウ・ソリューションでお客様の課題解決を支援し、お客様の状況に合わせた最適なDX・業務改善ソリューションで、そのお悩みを解決します。導入判断で迷ったら、まずはご相談ください。

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SCMを成功に導く具体的な導入プロセス

実際に自社でサプライチェーンマネジメントの構築を進める際、どのような手順を踏めば良いのでしょうか。ここでは、適切な段階を踏んで着実に進めるためのステップを解説します。順序立てて取り組むことで、失敗のリスクを大きく減らせるはずです。

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導入のステップ 取り組みたい目的 アクション例
1. 現状の課題把握 ボトルネックとなっている工程の特定 現場への丁寧なヒアリングと現状データの可視化
2. 目標(KPI)の設定 プロジェクトのゴールと評価基準を明確にする 在庫回転率やリードタイムなど、具体的な数値目標の策定
3. 業務要件の定義とシステム選定 課題解決と業務適合に最適なITシステムを選ぶ 業務フローの整理、必要機能の洗い出しと複数ツールの比較
4. スモールスタート リスクを最小限に抑えつつ効果と運用を検証する 特定の部署・主力製品・主要取引先に絞ったテスト運用
5. 全社・取引先への横展開 成功パターンを標準化し全体最適の範囲を広げる 業務マニュアルの整備、定期的な社内教育と取引先連携の拡大

ステップ1:現状の課題把握

まずは自社のサプライチェーンのどこにボトルネックがあるかを正確に特定します。在庫回転率や欠品率、各工程の所要時間といった実績データを収集し、プロセスマップとして可視化しましょう。数字の分析と並行して現場担当者へのヒアリングも行い、データだけでは見えにくい部門間の連携ミスや属人化した作業も洗い出すのが理想的です。事実に基づいた課題の特定が、以降のすべてのステップの精度を左右する鍵になるでしょう。

ステップ2:目標(KPI)の設定

課題が明確になったら、「在庫回転率を半年で1.5倍にする」「受注から出荷までのリードタイムを3日短縮する」など、測定可能な数値目標(KPI)を設定します。曖昧なスローガンではなく定量的なゴールを掲げると、プロジェクトの進捗を客観的に評価しやすくなるでしょう。設定したKPIは経営層から現場まで関係者全員で共有し、取り組みの方向性にブレが出ないよう共通の道標として運用するのがおすすめです。

ステップ3:業務要件の定義とSCMシステムの選定

課題と目標に合致する最適な仕組みを比較・検討します。ツールを選ぶ前段階として、まずは自社の業務フローを整理し、「どんな課題を解決するために、どの機能が必須なのか」という業務要件の定義(条件の明確化)を丁寧に行うことが大切です。要件が曖昧なまま選定を進めると、導入後に機能不足が判明したり、無駄なカスタマイズ費用が発生したりする原因になります。

SCMの実現には、情報を統合管理するITシステムだけでなく、生産現場の稼働状況をリアルタイムに可視化するIoTセンサや、物流工程を効率化するAGV(無人搬送車)、精度の高い計画立案を支えるソリューションなど、現場を動かすハードウェアやツールの連携も欠かせません。

選定時には、「既存の設備・システムとの連携性」「現場オペレーションへの適合性」「将来的な拡張性」「導入後のサポート・保守体制」も評価軸に据えると判断がブレにくくなります。

近年はクラウド型の生産管理サービスや、手軽にスモールスタートできるIoTソリューションも普及しており、大規模な初期費用をかけずに短期間で立ち上げられる選択肢が増えています。自社の規模や予算、そして現場で無理なく運用し続けられるかを見極めた上で、最適な組み合わせを選びましょう。

ステップ4:スモールスタートで効果を検証

システムが決まったら、全社一斉に切り替えるのではなく、影響範囲の小さい特定の拠点や製品ラインから試行導入を始めます。小さな範囲で実際に運用してみると、入力項目の過不足や現場のオペレーション上の課題を早期に発見し、修正しやすくなるでしょう。パイロット期間中にKPIの変化を記録しておけば、次のステップで横展開を提案する際の説得力ある根拠資料としても活用できます。

ステップ5:全社への横展開と継続的な改善

スモールスタートで効果が確認できたら、成功パターンを他の拠点や製造ラインへ段階的に広げていきます。横展開の段階では、パイロット運用で得た知見やつまずきやすいポイントを反映した業務マニュアルの整備と、定期的な社内教育の実施が求められます。導入後もKPIの達成度を継続的にモニタリングし、改善サイクルを回し続ける体制を構築することが、成果を一過性で終わらせないための鍵になるでしょう。

SCM導入で成果を上げた企業事例

理論やメリットを理解した後は、実際にサプライチェーンマネジメントを導入して成果を上げている企業の取り組みを知ることも大切です。ここでは、具体的な事例を交えて、どのような工夫が行われ、どのような結果につながったのかを紹介します。

日本の大手日用品メーカーは、サプライチェーンマネジメントの高度化に成功した企業として広く知られています。同社は、数多くの製品を日々市場に供給する中で、過剰在庫のリスクと店頭での欠品リスクという、相反する難しい課題に直面していました。

この課題を解決するため、小売店の店頭で収集される販売データをいち早く自社のシステムに取り込み、需要予測の精度を高める取り組みを行いました。今どの商品がどれだけ売れているかというリアルタイムな事実に基づいて、必要な製品を必要な分だけ計画的に生産する体制を整えました。

また、調達や生産および物流の各機能がデータを通じて密接に連携することで、急激な天候の変化やトレンドの移り変わりに対しても、非常にスピーディに対応できる柔軟な供給網を構築しています。この事例は、部門を超えた情報共有の重要性と、全体最適化の視点がもたらす競争力を鮮明に示していると言えるでしょう。

※参考:国土交通省「花王が目指すロジスティクス -商慣行への提言-(花王株式会社)」https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/content/001900245.pdf

まとめ

この記事の要点を振り返ります。

  • サプライチェーンマネジメント(SCM)とは、調達から販売までのモノ・お金・情報の流れを統合し、全体最適化する経営手法
  • 人手不足の深刻化・グローバル化・消費者ニーズの多様化を背景に、近年あらためて重要視されている
  • 在庫の最適化、リードタイム短縮、品質の安定、トータルコスト削減など、経営に直結するメリットが期待できる
  • 一方で、初期コストや部門間・企業間の調整、現場の心理的抵抗といったハードルへの備えが求められる
  • 導入は「現状把握→目標設定→システム選定→スモールスタート→全社展開」の5ステップで着実に進めること

まずは自社のサプライチェーンの課題を洗い出すところから、SCM導入の第一歩を踏み出してみましょう。

全体最適の実現には、部門や技術領域を越えた仕組みづくりが必要で、どこから手をつけるべきか迷いやすいテーマでもあります。「どこから始めればよいかわからない」「どこに相談すればよいかわからない」という場合は、カナデンにお気軽にご相談ください。カナデンは、エレクトロニクス技術商社として多彩なメーカーのFA機器を取り扱い、トレーサビリティをはじめとするソリューション提案も行っています。面談や現場のウォークスルーを通じて、課題の整理からご相談にのります。

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執筆者:カナデン編集部

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お役立ちコラムは株式会社カナデンのデジタルマーケティング課が運営する、エレクトロニクスと技術ソリューションの情報メディアです。当編集部には、長年お客様の課題に向き合ってきた元営業メンバーも在籍しています。エレクトロニクスソリューションズ・カンパニーとしての「現場の生の声」と「確かな専門知識」を活かし、モノづくりやビジネスの現場で使える役立つ情報を分かりやすくお届けします。

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