失敗しないための監視カメラ選定のポイント
公開日:2024.12.26 更新日:2024.12.26
監視カメラは、商業施設や駐車場、工場のみならず一般家庭など、生活のさまざまな場面で活用されています。しかし、監視カメラは安価な機器ではないため、導入にあたって「失敗しない機種選び」をすることが重要です。
この記事では、失敗しないための監視カメラの選定ポイントを5つご紹介します。監視カメラの導入にあたってぜひお役立てください。
監視カメラ選びに失敗しないための事前準備
監視カメラを導入する際は、まず目的を明確化しましょう。監視カメラの導入目的や設置場所によって、必要とされるカメラの種類や機能が異なるためです。
例えば、防犯目的であれば、不審者の顔をしっかりと捉えるために十分な画質が必要です。
現在の監視カメラは多機能な製品も多いですが、必ずしも機能が多ければよいわけではありません。目的に応じて、必要な機能が備わっている機種を選びましょう。
選定ポイント① 設置場所と台数に適した性能
監視カメラの設置目的とともに、設置場所や台数によっても機器の選び方は変わってきます。
出入口
施設の出入口付近に監視カメラを設置すると、防犯効果を高めることができます。この方法は、不特定多数の人が訪れる商業施設や病院などで有効です。
しかし、出入口付近は雨やホコリが入りやすいため、防水・防塵機能は必須といえます。
また、夜間に不審者が侵入する可能性を考え、赤外線照射機能の付いたカメラがおすすめです。赤外線照射では通常、白黒映像で記録されます。ナイトビジョン対応のカメラなら夜間でもカラー撮影が可能です。
さらに、出入口付近に監視カメラを設置する場合、利用者や通りかかった人が偶然映り込むことも多いため、近隣住民のプライバシーにも配慮が必要です。防犯などの目的で監視カメラの映像を利用する場合、出入口にその旨を記載しておくとよいでしょう。
駐車場
駐車場に設置する監視カメラは、車両ナンバープレート認識システムを搭載した製品がおすすめです。これは撮影した映像からナンバープレートを読み取り、文字データ化して保存する機能です。
車両ナンバープレート認識システムによって、車両の出入り管理が容易になります。不審車両のナンバーと照合し、瞬時にアラートを出すことも可能です。
また、駐車場の監視カメラには、自動で異常を検知する動体検知機能も必要でしょう。動体検知機能については、記事の後半で詳しく解説しています。
工場
工場に監視カメラを設置すると、人が監視するケースよりも死角が減り、事故や設備故障の防止が可能です。また、監視のための人員を減らすことができ、人件費削減にもつながります。
AI搭載監視カメラを活用すると、より一層効果を高めることが可能です。AI搭載カメラは、設備の作動状況や作業員の動きを自動でチェックし、必要であればアラートを出します。この機能によって、より効率的な生産状況の進捗管理や事故防止につながります。
商業施設
万引きや強盗対策のため、商業施設や小売店でも監視カメラの設置が進んでいます。閉店後やスタッフの不在時にも証拠映像を残せるよう、動体検知機能や赤外線照射機能付きのカメラがおすすめです。また、ネットワークカメラなら、店内の様子を遠隔で確認することができます。
商業施設では、たびたび顧客とのトラブルも発生するでしょう。そのような時、録音機能の付いた監視カメラであれば、映像だけでなく音声も証拠として残すことができ、迅速なトラブル解決につながります。
AI搭載のカメラの中には、スムーズな店舗運営に役立つ製品もあります。時間帯ごとの混雑レベルや、品薄になっている商品などをリアルタイムで分析できるため、導入を検討してみましょう。
設置台数を少なく抑えたいのなら360°カメラ
死角のない場所を1台のカメラで撮影したい場合は、広範囲をカバーできる360°カメラを選択しましょう。設置台数を1台のみにすれば、予算も抑えることができます。
広範囲を360°カメラで撮影し、遠隔操作が可能な別のカメラで細かい場所を撮影するといった方法もあります。
選定ポイント② 画質・フレームレート
監視カメラを選ぶうえで、画質やフレームレートといった映像の品質も重要となります。
画素数とは
画素数とは映像の細かさを表す数値です。画素数が多いほど鮮明な映像を記録できます。特に夜間の監視が必要となる場合や、広い範囲を撮影する場合は、高画素数のカメラをおすすめします。以下を目安に画素数を選びましょう。
100万画素(HD) | 41万画素のカメラより高い解像度を誇り、一般的な用途をご希望の方にお勧めです。人の動きを確認したい場合に適しています。 |
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200万画素(フルHD) | 鮮明な映像が必要な環境に適しており広範囲の監視が可能で防犯カメラの一般的な画素数として広く採用されています。 |
400万画素(2K) | フルHDと比べ、より高い解像度を提供し、広い範囲や、重要な詳細範囲をとらえる必要がある場面で採用されています。ただし、解像度の維持のため、適切な容量とネットワーク環境が必要です。 |
800万画素(4K) | 非常に高い水準の画質を誇り、高度な識別が求められる場所に最適です。 |
フレームレートとは1秒あたりのコマ数を表す数値です。フレームレートが高いほど映像の動きが滑らかになります。画素数と同様、鮮明な映像が必要であれば、フレームレートも重視しましょう。
ただし、画素数やフレームレートが高い鮮明な映像であるほど、録画の容量を圧迫します。レコーダーの容量や、映像の記録方法にも注意して選ぶ必要があります。
選定ポイント③ 耐久性と信頼性
毎日稼働し続ける監視カメラには耐久性が必要です。また、何かあった際の証拠映像として提出するためには、映像の信頼性も求められます。
監視カメラの耐久年数
使用状況にもよりますが、監視カメラは基本的に24時間365日稼働しています。当然、機器への負担も大きく、使い続ければ故障や不具合のリスクも高まるでしょう。
メーカーや機種、使用環境などによって異なりますが、一般的な監視カメラの耐用年数は5~6年程度とされています。国税庁によると、監視カメラは「事務機器、通信機器」の「インターホーン、放送用設備」にあたり、法定耐用年数は6年と定められています。
このことから、監視カメラは5~6年を目安に交換やメンテナンスを行いましょう。
またカメラと同時に、映像を記録するレコーダーのメンテナンスも重要です。一般的に、ハードディスクの部品は3年程度で交換や修理が必要とされています。レコーダーのメンテナンスを怠ると大事な映像が破損してしまうリスクが高まるため、十分にご注意ください。
長く使い続けるには
いざ盗難や事故が起こった時、監視カメラが不具合を起こしていては意味がありません。そのような事態を避けるため、監視カメラのメンテナンスを定期的に行いましょう。カメラを設置して数年が経過したら、特に異常がなくとも点検することをおすすめします。
屋外や出入口付近、砂塵が発生する工場などに設置してある監視カメラの場合、こまめに掃除することも寿命を長持ちさせるコツです。
また、監視カメラの設置工事では、細かい専門知識や豊富な経験が求められます。設置工事の際は、監視カメラの工事実績が豊富な業者を選ぶとよいでしょう。
しかし、監視カメラを使用する中で、どうしても避けられない天災による故障も起こり得ます。特に近年はゲリラ豪雨が増加しているため、雷で監視カメラが故障する例が増えています。
落雷によりカメラが破損した場合は保険が適用されることもあるため、加入を検討してみてください。また、リースで監視カメラを使用する場合、通常は動産保険が付帯します。落雷が多い地域では、リースで監視カメラを導入すれば安心して使用できます。
証拠として使うには
商業施設などに不審人物が出没した場合、監視カメラの映像は重要な証拠として扱われます。この時、人物や車両ナンバーがはっきりと分かるよう、高画質な映像が求められるため、200万画素(フルHD)以上のカメラが望ましいでしょう。
ただし、監視カメラの映像は、刑事訴訟において証拠とならないケースがあるため注意が必要です。刑事訴訟で提出する証拠にはルールが定められており、「監視カメラの映像に証拠能力がない」と判断される場合もあるのです。
具体的に、以下のようなケースは「証拠能力がない」とみなされる可能性が高いでしょう。
- 映像が荒い場合:監視カメラ映像の解像度が低く、人物の顔や現場の様子が特定できないため
- 日時が記録されていない場合:犯行日時と照らし合わせ、同じ日時に撮影された映像と断定できないため
- プライバシーを侵害した映像である場合:他人のプライバシーを侵害する方法で撮影された映像は、証拠能力を持たないため
しかし、監視カメラの映像だけでは決定的な証拠とならなくても、他の物件と組み合わせれば証拠として活用できることがあります。民事訴訟の場合は「監視カメラの映像は証拠能力がある」として扱われます。あわせて覚えておきましょう。
出典:国税庁「耐用年数(器具・備品)(その1)」https://www.keisan.nta.go.jp/h30yokuaru/aoiroshinkoku/hitsuyokeihi/genkashokyakuhi/taiyonensukigu1.html
選定ポイント④ ネットワーク対応・録画データの保存方式
最近では、ネットワークカメラを使用する施設も増えています。また、監視カメラの録画にもインターネットを使用する方法があるため、録画方法それぞれの特徴を把握し、環境に適した機器を選びましょう。
ネットワークカメラのメリット
ネットワークカメラとは、個別にIPアドレスが割り振られ、インターネットに接続できるカメラです。ネットへの接続方法には、Wi-FiやBluetoothで接続する無線タイプと、LANケーブルで接続する有線タイプの2種類があります。
ネットワークカメラの大きなメリットは、撮影した映像をスマートフォンやタブレット、パソコンを用いて遠隔地からチェックできることです。これにより、警備員や監視員が施設にいなくとも監視できるようになり、人件費削減につながります。
録画データの保存方式
監視カメラの録画方法でよく用いられるのは、以下の4種類です。
- SDカード録画
- HDD録画
- クラウド録画
- ローカル録画
SDカード録画は、撮影した映像データをSDカードに保存する方法です。記録媒体を持ち運びやすく、コストも抑えられる点が魅力です。
HDD録画では、レコーダーに内蔵されたハードディスクに映像データが記録されます。比較的コストが安いうえ、容量が大きく長時間録画ができる点がHDD録画のメリットです。
クラウド録画は、監視カメラの映像をインターネットのクラウドサーバーに保存する方法です。記録媒体を設置する必要がなく、レコーダーの破損や盗難の心配がありません。
ローカル録画は、インターネットを使用しないローカル環境で、専用の録画機器に映像を記録する方法です。回線を圧迫しないことや、ランニングコストを抑えられる点がメリットといえます。
選定ポイント⑤ 業務用で必要とされる機能
業務の中で監視カメラを必要とする場合、目的に合わせてタイプや機能を選定しましょう。
例えば、万引きや盗難などの犯罪抑止が目的なら、ボックス型(バレット型)カメラが適しています。ボックス型カメラは、「監視カメラ」として広く想像されるような見た目で存在感があるため、防犯効果が高いのが特徴です。
耐久性を求めるのであれば、防水・粉塵対応の機種や、強化プラスチックを採用している機種を選びましょう。
また、画像認識(顔認識)機能、動体・音声検知機能、ズーム機能といった各種機能も、必要に応じて役立ちます。
AIを用いた画像認識機能を用いると、人の顔や車両ナンバーを自動で認識・検索します。この機能によって、不審者の特定などが容易になり、業務効率化につながるでしょう。
動体・音声検知機能は、人の動きや音などをセンサーが検知し、自動録画する機能です。これらをセンサーが検知すると同時に、ユーザーに通知されるように設定することもできます。施設内の状況が変化した時だけ録画することで、電力と録画容量を節約できます。
最後にズーム機能は、離れた場所をクロースアップして撮影できる機能です。フルHD以上の画質のカメラでズームすれば、人物の手元などの細かい部分も鮮明に確認できるでしょう。
目的に合わせた最適な監視カメラ選びを
監視カメラの設置目的はさまざまです。例えば、商業施設であれば防犯目的、工場であれば事故防止や業務効率化を目的とすることが多いでしょう。
防犯目的で監視カメラを導入する場合、目立つ場所にカメラを設置するだけでも効果があります。裏技として、ダミーのカメラを取り付ける方法も知られています。本物の監視カメラとダミーのカメラを組み合わせることで、コストカットにもつながるでしょう。
このように、設置する施設や目的によって、監視カメラに必要とされる機能は異なります。どんな機能が必要か事前に確認し、適した監視カメラを選んでください。
カナデンでは、お客様のニーズに最適な業務用監視カメラの導入から導入後のアフターサポートまで、ワンストップでお手伝いいたします。最新のIoTやAI技術を活用したソリューション提案も可能です。監視カメラについてお悩みごとがあれば、まずはお気軽にご相談ください。
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