工場に監視カメラを導入するメリットとは? 機能や活用事例をご紹介
公開日:2024.12.26 更新日:2024.12.26
製造業では、人手不足・後継者不足などが大きな課題とされています。そこで、IoTやAIなどのデジタル技術を工場に導入した「スマートファクトリー」化が求められているのです。工場における監視カメラの設置も、スマートファクトリー化の一種です。
実際に、製造業界において監視カメラの需要は年々増えています。工場に監視カメラを導入すると、現場作業の効率化や製品の品質向上などさまざまな効果が期待できるでしょう。
この記事では、工場に監視カメラを導入するメリットや、役立つ監視カメラの機能、導入事例をご紹介します。
工場における監視カメラの役割とは?
まずは、工場に監視カメラを設置するメリットや注意点を押さえておきましょう。
工場に監視カメラをつけるメリット
工場に監視カメラを設置するメリットとして、以下の4つが挙げられます。
- 品質管理の徹底
- 現場作業の効率化
- 盗難対策
- 作業中の事故防止
生産ラインの様子をカメラで監視することで、製品のクオリティを逐一チェックすることが可能です。映像データを保管しておけば、万が一クレームが発生した際などに証拠として活用できます。また、AIが搭載されたカメラの中には、自動で不良品を検知し品質を保持してくれるものもあります。
工場内の監視カメラでは、現場の作業状況をリアルタイムで確認することができます。作業者の動きをチェックして指導したり、勤怠管理に活用したりすることも可能です。こうした監視業務をカメラに任せることで作業の効率化が叶います。
また、盗難対策や事故防止も、工場に監視カメラを導入する大きなメリットです。動体検知機能や音声検知機能を活用し、不審者の侵入や機材・資材の盗難を検知することもできます。接近検知機能を用いれば、車両と作業員が接触しそうな時にアラートを出すなどして、事故の防止が可能です。
設置するときの注意点
工場に監視カメラを設置する際は、いくつか注意点もあります。
まず、製品の製造や搬入出に関係ない場所には、カメラを設置しないことです。監視カメラの設置台数は、多ければ多いほど良いというわけではありません。製品の生産に関係ない場所にカメラを設置すると、無駄なコストがかかってしまいます。
また、従業員が安心して働けるような配慮も必要です。監視カメラで作業中の様子を撮影・録画していることは、事前に必ず従業員に伝えましょう。加えて、録画した映像が外部に流出しないよう徹底的な管理も重要です。
最新監視カメラの仕様・機能を紹介
監視カメラの録画方法は大きく分けて4種類存在します。また、最近の監視カメラには多彩な機能が備わっています。自社の工場に必要な機能があれば、ぜひご活用ください。
録画方法のご紹介
監視カメラの4種類の録画方法と多彩な機能をご紹介します。
本体内録画タイプ
本体内録画は、これまで多くのカメラで採用されてきた録画方法です。本体に内蔵されているハードディスクやメモリーカードに映像データが直接記録されます。別途、録画機器やサーバーを用意しなくてよいことがメリットです。
しかし、カメラが設置してある施設内でしか映像を確認できない点に注意しましょう。遠隔地からリアルタイムで確認したい場合は、ネットワークカメラを導入する必要があります。
NVRタイプ
NVRとは「ネットワークビデオレコーダー」の略で、NVRタイプは最新の監視カメラでよく採用されている録画方法です。監視カメラをインターネットに接続し、ハードディスクに映像データを記録します。
インターネットへの接続方法には、Wi-FiやBluetoothで接続する無線タイプと、LANケーブルで接続する有線タイプがあります。
NVRタイプのカメラはインターネットを通じて映像を記録するため、離れた場所から映像を確認できることがメリットです。複数の工場の映像を一括で監視することもできます。また、万が一カメラが壊れても、映像データはハードディスク上に残っているため安心です。
クラウドNVRタイプ
クラウドNVRタイプの仕組みやメリットは、基本的にNVRタイプと同じですが、映像データの保存場所が異なります。クラウドNVRタイプでは、録画した映像がクラウドサーバーに保存されます。
このタイプは記録媒体を設置する必要がないため、ハードディスクの破損や盗難の心配もありません。
無線機記録タイプ
無線機記録タイプは、カメラと受信機を無線で接続し、受信機に内蔵されたSDカードに映像データを記録する録画方法です。監視カメラのタイプとしては主流ではありませんが、インターホンなどで使用されています。
ワイヤレスで映像を送受信するため、配線が不要で手軽に設置できるメリットがあります。
マイク搭載型
監視カメラの中には、マイクを搭載している機種もあります。マイク搭載型の監視カメラは、映像と同時に音声も記録します。特にネットワークカメラはマイク搭載型が多いです。音声を記録することで、さまざまなメリットが生まれます。
まず、音声検知機能が利用できるようになります。音声検知機能とは、音をセンサーが検知して自動録画する機能です。物音や人の声をセンサーが検知すると同時に、ユーザーに通知されるように設定することもできます。音が発生した時だけ録画を開始するため、電力と録画容量を節約できることがメリットです。
また、盗難などの被害が発生した場合、映像に加えて犯人の声が記録されていれば、より有力な証拠となります。
防水機能付きカメラ
屋外に監視カメラを設置する場合は、雨による故障を防げる防水機能付きのものがおすすめです。監視カメラの防水機能は、大きく分けて3つのタイプがあります。カメラの設置場所によってタイプを選択しましょう。
- 防滴型
- 防雨型
- 完全防水型
防滴型は、耐水性がやや低いタイプで、直接雨が当たらない場所に設置するのに適しています。例えば軒下や屋根の端など、多少雨が吹き込む程度の箇所に設置しましょう。
防雨型は、防滴型より耐水性が高く、雨が直接当たる箇所に設置することができます。例えば屋根がない壁面や、駐車場などには防雨型がおすすめです。
完全防水型は、最も耐水性が高いタイプで、水中でも撮影が可能です。
AI搭載カメラ
最近では、AIを搭載した監視カメラも一般的になってきています。AI搭載カメラを導入すると、以下のように便利な機能が使えるようになります。
- セキュリティー対策
- 動線分析による効率化
- 不良品の自動検知
例えば、顔認証機能によって、AIは従業員とそれ以外の人物の顔を識別することができます。これにより、従業員の勤怠管理や、セキュリティー対策をより効率化できます。顔認証機能と自動ドアセンサーを連動させれば、従業員の顔を鍵とする自動ドアの開閉も可能です。
また、監視カメラとAIによって動線分析を行う工場も増えています。従業員の動きを分析・学習することによって、最適な人員配置ができ、生産性を高めることができます。
AI搭載カメラは、工場で生産される製品の品質保持にも役立っています。カメラで撮影された生産ラインや出荷前の製品の映像・画像から、AIが不良品を自動で見つけることも可能です。検品に割く人員を削減できるため、人件費も抑えられるでしょう。
活用事例① AI搭載カメラによる危険行動の自動検知
ここからは、実際の工場に監視カメラを導入したよくある事例を見ていきましょう。
例えばある食品工場では、AI搭載カメラの画像認証機能を、安全管理に活用しています。もし立ち入り禁止エリアや重機に作業員が近付いた時、アラートが出され生産ラインがストップします。この機能により、従業員がより安全に働けるようになりました。
また、従業員の技能習得にもAIが役立ちます。あるAI搭載カメラは、作業員の技能の習得状況を解析することができます。優秀な作業員の映像をAIに学習・解析させることで、他の作業員への指導に活用できるのです。
活用事例② 360度カメラによる死角のない作業エリア監視
360度カメラは、1台で全方向を撮影できるカメラです。死角が少なく、カメラの設置台数とモニターの台数を減らせるため、コストを抑えられることが大きなメリットです。この360度カメラは、工場や建築現場で大いに活躍しています。
例えばある建築現場では、以下のような課題を抱えていました。夜間作業時の効率が悪く、原因もよくわからない。そこで360度カメラを導入したところ、課題解決につながりました。
360度カメラは一度で現場全体を撮影できるため、隅々までチェックでき、確認漏れを防げるでしょう。施工中の様子も常時撮影することで、後で見直してさらなる効率化を目指すことができます。
活用事例③ リモートカメラを活用した遠隔監視システム
リモートカメラ(ネットワークカメラ)の大きなメリットの1つは、複数の場所を一括で確認できることです。製造業ではリモートカメラを活用し、複数の工場や装置を1つの拠点から監視するケースが増えてきました。
例えばある製造工場では、製造工程で出た汚水をポンプで複数のタンクに溜め、浄化した後に排水しています。このポンプ付近にリモートカメラを設置し、複数の排水ポンプを同時に監視しています。
従来は監視員が工場内を歩き回り、ポンプの稼働状況を1つずつ目視で確認していました。しかしリモートカメラを導入したことで、ポンプの様子をリアルタイムで遠隔監視できるようになります。これにより、巡回の手間が減り従業員の負担が軽減されました。
さらに、AI搭載タイプのカメラであれば、事故防止や予防保全にも役立ちます。この工場では、ポンプや排水システムに異常が発生した場合、いち早く検知し対応することが可能になりました。
活用事例④ メーターの数値をデジタル情報に変換して活用
AI搭載カメラを導入すると、工場内のアナログなデータをデジタルに変換し、便利に活用することも可能です。例えば装置のメーターの値などがこれにあたります。
アナログ・デジタルを問わず、さまざまな装置のメーターの値をカメラで撮影したら、AIがデジタル情報に変換して保存します。以前は従業員が巡回し、目視でメーターの値を確認・記録していました。これをカメラとAIが担うことで、従業員の負担が減るだけでなく、人為的ミスもなくすことができます。
例えばある半導体工場では、この機能を温度管理に活用しています。
この工場では、AI搭載カメラによってメーターの数値の読み取りを自動で行うシステムを導入しました。メーターの数値をAIがデジタル化して解析するほか、メーターそのものの画像をリモートで見ることもできます。また、炉の温度があらかじめ設定した数値以上になるとAIがアラートを出し、炉を停止することも可能です。
メーターの値をデジタルなデータとして保存することで、さまざまなメリットがあります。例えば、従業員が目視でメーターを確認する場合、回数に限界がありますが、監視カメラとAIは「10秒に1回」など、こまめに確認することも可能でしょう。このように詳細なデータを取得することで、温度変化の傾向を正確に分析したり、変化を予測したりすることができます。
工場の安全強化と運営効率化を最新の監視カメラで実現!
工場に監視カメラを設置することで、品質管理や作業効率化、盗難対策、事故防止など数多くのメリットが得られます。特に、リモートカメラ(ネットワークカメラ)やAI搭載カメラであれば、大幅な効率化や生産性向上も望めます。
監視カメラの録画方法や機能は機種によってさまざまです。監視カメラの設置目的や場所に合わせ、適切なカメラを選びましょう。監視カメラの導入によって、IT化・スマートファクトリー化を前向きにご検討ください。
カナデンでは、お客様のニーズに最適な工場用監視カメラの導入から導入後のアフターサポートまで、ワンストップでお手伝いいたします。最新のIoTやAI技術を活用したソリューション提案も可能です。工場用監視カメラについてお悩みごとがあれば、まずはお気軽にご相談ください。
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