産業用スマートグラスとは?製造業での活用例と解決できる課題

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産業用スマートグラス

人手不足や技術継承など、製造業を取り巻く課題は多岐にわたります。こうした課題の解決につながるテクノロジーの1つとして注目されているのが「産業用スマートグラス」です。

本記事では産業用スマートグラスの活用によって解決できる製造業の課題や、具体的な活用例についてわかりやすく解説しています。産業用スマートグラスを選ぶ際のポイントや、おすすめ製品も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

産業用スマートグラスとは

はじめに、産業用スマートグラスの基本的な仕組みやARグラスとの違いを確認しておきましょう。製造業で注目が集まっている背景とともに把握しておくことが大切です。

スマートグラスの仕組み

スマートグラスとは、通信機能やセンサ、カメラ、マイク、スピーカー、ディスプレイなどを備えたメガネ型デバイスのことです。いわゆるウェアラブルデバイスの一種で、メガネをかけた状態でさまざまな情報を確認したり、コミュニケーションを取ったりできます。

メガネ型のため装着中も両手が空き、手作業を伴う製造業に適したデバイスです。たとえば、作業を進めながら画像や動画を確認したり、ベテラン作業員からアドバイスを受けたりできます。

ARグラスとの違い

AR(拡張現実)とは、現実世界の視界にデジタルデータを重ねることによって、得られる情報量を拡充させる技術のことです。ARグラスは、現実の世界や立体物を認識し、連動するバーチャル情報を視野に重ねて映し出します。

ARグラスもメガネ型デバイスであることから、スマートグラスに含まれます。一方、すべてのスマートグラスがAR機能を備えているとは限りません。一例として、メガネ型デバイスに内蔵されたカメラを通じて映像をリアルタイムで確認しながら、離れた場所から作業員が指示を出す、といった仕組みのデバイスもスマートグラスの一種です。

製造業でスマートグラスが注目されている背景

少子高齢化に伴う人手不足が深刻化する中、デジタル化やDX推進は課題解決につながる方策として期待が高まっています。スマートグラスに注目が集まっているのも、こうした流れの一環と考えてよいでしょう。

とくに熟練技術者の高齢化や定年退職に伴う技術継承は、早急に解決策を見いだす必要に迫られている課題の1つです。産業用スマートグラスの活用は、技術継承をスムーズに進めるためのツールとしても注目を集めています。

工場の人手不足問題や製造業DXについては、次の記事もあわせて参考にしてください。

▶工場が人手不足に陥る主な理由と解消に必要な対策を解説

▶製造業DXとは?推進する必要性やメリット、進め方、事例をまとめて紹介

スマートグラスに解決が期待される製造業の課題

産業用スマートグラスを使用する人

前述のとおり、産業用スマートグラスは製造業が抱えているさまざまな課題を解決するデバイスとして期待されています。スマートグラスを活用することで解決できる可能性のある主な課題は次の5点です。

人手不足の解消

産業用スマートグラスは、製造業の人手不足問題の解消に役立つツールといえます。熟練作業員の退職や新規採用者の不足は、製造業にとって解決しておくべき喫緊の課題の1つです。

熟練作業員の知見やスキルをスマートグラスに映し出すことで、作業を進めながら業務に必要な知識を習得できます。人材育成に要する時間を短縮するとともに、現場投入の早期化を可能にする技術といえるでしょう。

コスト削減

産業用スマートグラスの活用は、コスト削減策としても効果的です。設備や機器の操作方法をその場で確認しながら作業を進められるため、作業員数の削減や作業時間の短縮につながります。また、遠隔地からアドバイスが可能になるため、指導にあたる人員の出張費抑制にも寄与するでしょう。

さらに、作業手順や注意点が随時表示されることによって、作業効率の改善やミスの抑制にも効果を発揮します。結果として生産性が向上し、製造コストが抑えられることも大きなメリットです。

安全性の向上

作業の安全性が高まることも、産業用スマートグラスの導入によって得られる効果の1つです。スマートグラスは両手が空いた状態で装着できるため、作業の手を止めてタブレットやパソコンなどを参照する場合と比べると、目の前の作業に集中して取り組みやすくなります。たとえば作業上の注意点や、事故発生につながる要因を随時ディスプレイに表示することで、事故の未然防止に役立つでしょう。

トラブル対応

スマートグラスを通じて遠隔で作業支援ができれば、トラブルの予兆にもいち早く気づける可能性が高まります。操作ミスや手順の誤りをその場で指摘し、是正してもらえるからです。

万が一トラブルが発生した際にも、ベテラン作業員のアドバイスを得ながら適切に対処できるでしょう。実務経験の浅い作業員にとっては、常にベテラン作業員に質問ができる環境が整備されることが大きな安心材料になります。

技術継承

産業用スマートグラスは、製造業における技術継承の課題解決につながる技術としても注目されています。実作業を通じて操作方法や作業上の注意点といったアドバイスを得られるため、常にベテラン作業員がそばについているような感覚で業務に取り組めるからです。

また、業務に必要なノウハウを蓄積し、自社の資産として将来にわたって活用できるというメリットもあります。従来は製造ラインごと・作業員ごとに属人化しやすかったノウハウを人材育成に活用することで、技術継承をスムーズに進めやすくなるでしょう。

製造業でのスマートグラス活用例

製造現場でのスマートグラス活用イメージ

産業用スマートグラスは、製造業の現場において具体的にどのように活用できるのでしょうか。主な活用例を見ていきましょう。

遠隔作業支援

産業用スマートグラスを通じて、ベテラン作業員が現場に立ち会うことなく作業を支援する活用方法です。現場作業者の視野を離れた場所にいるベテラン作業者と共有することで、リアルタイムでやり取りしながらアドバイスできます。実際に操作している様子を見ながらやり取りできるため、一般論ではなく個別に具体的なアドバイスをしやすい点も大きな強みです。製造拠点が複数ある場合も、ベテラン作業員が各地へ出張することなくタイムリーな作業支援が可能になるでしょう。

文書・映像参照

操作手順などを示したマニュアルや映像をスマートグラスのディスプレイに映し出すことにより、作業を進めながら必要な情報を得られます。作業工程に合わせて技術ドキュメントの該当箇所を示したり、作業と並行して手順書を確認したりすることも可能です。映像など視覚的にわかりやすいコンテンツを用意すれば、実務経験の浅い作業員でも安全かつ効率的に作業を進められる可能性があります。

人材育成

スマートグラスを人材育成に活用する方法もあります。製造工程や検査工程の手順をスマートグラスに映し出すことによって、慣れない作業も手順に沿ってミスなく進めやすくなるからです。作業員にとっては、実地で操作を体験しながら手順を覚えられるほうが、座学のみで学ぶよりも理解が深まるでしょう。結果として人材育成に要する期間が短縮され、現場投入の早期化を実現しやすくなります。

IIoTとの連携による点検保守

産業用スマートグラスとIIoTを連携させることで、点検保守を効率化する方法もあります。IIoT(Industrial Internet of Things)とは、産業を対象とした「モノのインターネット」のことです。設備や機器に設置したセンサでデータを収集することで、稼働状況をリアルタイムでモニタリングできます。トラブルの予兆が見られる箇所をデータにもとづいて常時確認できるため、不具合や故障が発生する前に部品交換や修理などの対策を講じられるでしょう。

製造業におけるIoTや予知保全関連製品については次の記事もあわせてご参照ください。

▶製造業におけるIoTとは?データの見える化のメリットから導入ステップまでを解説

▶カナデン取り扱い 予知保全関連製品ラインアップ

スマートグラスを選ぶ際のポイント

産業用スマートグラス選定のポイント

スマートグラスを選ぶ際には、自社の用途や導入目的に合ったデバイスかどうかを慎重に見極める必要があります。とくに次の7点に関しては、デバイスやシステムを選定する際に必ずチェックしておきましょう。

チェック項目 検討しておきたいポイント
ディスプレイ 高解像度のモデルほど細部まで鮮明に映せる。
目安として500万画素以上がおすすめ。
マイク スマートグラス本体にマイクが内蔵されているか。
音声認識機能は搭載されているか。
通信規格 BluetoothやWi-Fiに対応しているか。
ストレージ容量 スマートグラスのカメラで撮影する可能性があれば、容量に余裕のある本体ストレージを備えたモデルがおすすめ。もしくはSDカード対応モデルを選ぶ。
連携性 専用アプリで使用するのか、一般的なアプリと連携できるのか。
装着感 作業中にずれたり落下したりしないか。
長時間装着していても負担を感じにくい本体重量か。
耐久性 防水・防塵・防爆など耐久性に関わる条件を満たしているか。

スマートグラスのおすすめ製品

製造業で導入するスマートグラスとして、おすすめの3製品を紹介します。

産業用スマートグラス・現場支援ソフトウエア『REMOTE NAKAMA(リモートナカマ)』

物理的な距離を超えてリアルタイムな遠隔作業の支援を可能にする産業用スマートグラスです。軽量ヘッドマウント、LTE通信機能、防塵・防水性能など、現場での利用を想定したデザインと機能に特長があります。

リアルタイムコミュニケーションとハンズフリー操作に対応していることに加え、シンプルで使いやすいUIにより、製造現場で直面しやすい課題解決をサポートします。

【製品例】

スマートグラスNavigator Z1

石油、ガス、化学産業など、防爆エリアでの作業を強力にサポートするスマートグラスです。ノイズキャンセリング機能を備えており、最大100dBAの騒音下でもクリアな音声通話が可能。手ブレ補正機能付きの48MPカメラで、現場の状況を正確かつ鮮明に共有できます。危険を伴う現場において作業に集中しつつ、熟練作業員のアドバイスをまるでそこにいるかのように受けられることが大きなメリットです。

【製品例】

アイトラッキングスマートグラス『Tobii Glasses X』

視線データを取得することにより、遠隔指導による人材育成や現場改善に活かせるクラウド型ソリューションです。スマートフォンに接続するだけの簡単なセットアップで使い始められます。目視検査や設備点検、安全確認といったシーンで、熟練者が無意識に行っている視線の動きを可視化し、「見方のスキル」を培える点が大きな特長です。視線解析ソフトウエア「Tobii Proラボ」を活用することにより、注視時間や注視回数、視線軌跡、瞳孔径といった指標の分析も可能。人材育成にスマートグラスを活用したい事業者様におすすめです。

【製品例】

産業用スマートグラスを現場の課題解決に活用しよう

産業用スマートグラスは、人手不足への対応やコスト削減、安全性向上、トラブル対応、技術継承といった製造業が直面しやすい課題解決に役立つデバイスです。両手が空いた状態で業務に必要な情報を得られ、熟練作業員のアドバイスをリアルタイムで受けられることは、実務経験の浅い作業員にとって心強い支えとなるでしょう。人手不足にお悩みの事業者様はもちろんのこと、将来的な技術継承を見据えて対策を講じておきたい事業者様は、産業用スマートグラスの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

産業用スマートグラスは、製造現場の生産性向上や人材育成、技術継承の効率化に大きく貢献するデバイスです。カナデンでは、遠隔作業支援や点検業務に活用できるスマートグラスをはじめ、現場課題に応じたソリューションをご提案しています。導入目的に合わせた製品選定や活用方法の検討など、詳細なご相談にも対応可能です。産業用スマートグラスの導入をご検討中の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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