防爆カメラとは?防爆カメラの選び方とおすすめ製品3選
工場やプラントにおいて、監視カメラは作業員の安全確認や防犯などに役立ちます。しかし可燃性物質が存在する「危険場所」では、一般的な監視カメラは使用できません。電子機器の電源部分から火花が散ったり、機器本体が発熱したりすることがきっかけで、火災や爆発が起こってしまうおそれがあるためです。
危険場所で思わぬ事故を起こさないためにも、適切な技術的対策を施した「防爆カメラ」を設置しましょう。本記事では、防爆カメラの選び方やおすすめの製品をご紹介していきます。
防爆カメラとは?
可燃性のガスや蒸気、粉じんなどが一定の濃度で空気中に存在する場所で、監視カメラなどの電子機器を使用すると、その電子機器が発する火花や静電気、熱などが原因で火災や爆発が起きてしまう可能性があります。
防爆カメラとは、上記のような危険場所でも安全に使用できるように、技術的対策を施したカメラのことです。近年では以下のような目的で、防爆カメラの需要が高まってきています。
防爆カメラの使用目的 | 使用例 |
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作業員の安全確認 |
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チェック作業の効率化 |
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防犯対策 |
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防爆カメラの選び方
ここからは、防爆カメラの設置を検討している方へ向けて、防爆カメラの選び方を解説していきます。正しく選ぶことで、危険場所でも安全にカメラを使用できます。
日本の防爆規格の認証を受けている製品を選ぶ
労働安全衛生法第44条により、防爆カメラを含む防爆機器は、国が定める防爆規格に適合している必要があります。日本の防爆規格は、以下の2つです。
・電気機械器具防爆構造規格(昭和44年労働省告示第16号) ※ 通称「構造規格」
・工場電気設備防爆指針(国際整合技術指針 Ex2015,Ex2018,Ex2020) ※ 通称「整合指針」
防爆カメラの製造元・販売元は、国から認可を受けた登録検定機関による「防爆構造電気機械器具に係る型式検定」を受け、上記2つの規格のうちどちらか一方の認証を受けなければなりません。検定に合格すれば、日本国内で使用可能です。
なおIECExやATEX、UL規格など、海外の防爆規格も複数ありますが、日本で使用する場合は必ず構造規格もしくは整合指針の認証を受ける必要があります。
設置場所で使用できる防爆構造の製品を選ぶ
危険場所は、可燃性物質の濃度(危険度の高さ)によって3段階に分類されます。詳細は以下の通りです。
危険場所の分類 | 詳細 |
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特別危険箇所 (0種場所、Zone0) |
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第一類危険箇所 (1種場所、Zone1) |
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第二類危険箇所 (2種場所、Zone2) |
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また危険場所の分類によって、防爆カメラに必要な技術的対策(防爆構造)が異なります。まずは防爆カメラの設置を検討している場所が「危険場所のどの分類に当たるのか」を確認し、危険場所に適した防爆構造の製品を選びましょう。
各危険場所に対応している防爆構造は以下の通りです。なお構造規格と整合指針で、同じ防爆構造でも、対応している危険場所が異なる場合があります。
危険場所の分類 | 防爆構造(構造規格) | 防爆構造(整合指針) |
---|---|---|
特別危険箇所 (0種場所、Zone0) |
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第一類危険箇所 (1種場所、Zone1) |
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第二類危険箇所 (2種場所、Zone2) |
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製品の防爆構造を確認するには、仕様書や防爆構造電気機械器具に係る型式検定の合格証の写しなどを、製造元・販売元からもらいましょう。それらの書類に記されている記号によって、防爆構造などを確認できます。
危険場所の分類について詳しく知りたい方は、以下のページを参考にしてください。
設置場所で使用している可燃性物質に対応している製品を選ぶ
該当の危険場所に存在し得る可燃性物質の種類によっても、防爆カメラに必要な性能が変わってきます。製品ごとの性能については、前述した仕様書や防爆構造電気機械器具に係る型式検定の合格証の写しなどに記された記号で確認可能です。なお、構造規格と整合指針で記号が異なります。
構造規格の場合
構造規格の場合は以下の要素を確認し、該当の危険場所に適した防爆カメラを選びましょう。
要素 | 詳細 |
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爆発等級 |
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発火度 |
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また爆発等級と発火度ごとの代表的な可燃性ガスの種類は以下の通りです。
発火度 G1 | 発火度 G2 | 発火度 G3 | 発火度 G4 | 発火度 G5 | |
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爆発等級1 |
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- |
爆発等級2 |
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- | - | - |
爆発等級3 |
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- | - |
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整合指針の場合
整合指針の場合は以下の要素を確認し、該当の危険場所に適した防爆カメラを選びましょう。
要素 | 詳細 |
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グループ記号 | 電子機器を使用する場所に存在する可燃性物質の分類 |
温度等級 | 該当の電子機器の最高表面温度 |
またグループ記号と温度等級ごとの代表的な可燃性ガスの種類は以下の通りです。
温度等級 T1 | 温度等級 T2 | 温度等級 T3 | 温度等級 T4 | 温度等級 T5 | 温度等級 T6 | |
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グループ記号 ⅡA |
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- | - |
グループ記号 ⅡB |
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- | - |
グループ記号 ⅡC |
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- | - |
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なお、それぞれの要素の詳細や記号の見方について詳しく知りたい方は、以下のページを参考にしてください。
おすすめの防爆カメラ3選
防爆カメラの選び方が分かったところで、おすすめの防爆カメラを3つご紹介します。防爆カメラの設置を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
オールステンレス製耐圧防爆パンチルトカメラ
スペースが限られた危険場所にも設置できる小型の防爆カメラです。自動焦点ズーム機能、首振り機能などを搭載しています。またオールステンレス製なので、沿岸部や化学工場など塩害対策が必要な場所での使用にも適しています。整合指針の認証を受けており、第一類危険箇所(1種場所、Zone1)と第二類危険箇所(2種場所、Zone2)で使用可能です。
▼製品の詳細ページはこちら
全天候型CCTVカラーカメラ『FIELDEYEⅡ』
『FIELDEYEⅡ』は、さまざまな気象条件下で使用できる防爆カメラです。プラント内での利用を想定した防水・防塵性能も備わっています。強度、耐食性に優れたステンレス外装とコンパクトなサイズ、そして高感度、高倍率、高解像度を併せ持つ高性能カメラが特長です。整合指針の認証を受けており、第一類危険箇所(1種場所、Zone1)と第二類危険箇所(2種場所、Zone2)で使用できます。
▼製品の詳細ページはこちら
耐圧防爆形Webカメラ
水素防爆対応の防爆カメラです。電源が無くても設置可能なPoE給電によって、配線の必要がありません。3種類のモデルがあり、1.3メガピクセル対応の光学ズームレンズを搭載しているものや、周囲の温度が-20〜40度でも対応可能なものなどがあります。整合指針の認証を受けており、第一類危険箇所(1種場所、Zone1)と第二類危険箇所(2種場所、Zone2)で使用可能です。
▼製品の詳細ページはこちら
防爆カメラの導入を検討している方はカナデンにお問い合わせください
本記事では、防爆カメラの選び方やおすすめの防爆カメラをご紹介しました。
危険場所で火災や爆発を起こさないために、必ず該当の場所の危険度をチェックし、その場所に適した防爆カメラを設置するようにしましょう。適切に防爆カメラを設置できれば、より安全で働きやすい環境になるはずです。
カナデンでは、今回ご紹介した4つの防爆カメラの他にも、さまざまな防爆機器を取扱っています。
また防爆カメラを利用する際には、電源の確保やWi-Fiのアクセスポイントの設置が必要です。カナデンは周辺機器の導入までまとめて対応できますので、防爆機器の導入を検討している方や防爆機器に関して不明点がある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。