BadUSBとは?BadUSBの脅威と情報漏洩を防ぐ現場の対策
2025年12月5日
製品・サービス紹介
- 製品・サービス

現場に潜むUSBの落とし穴「BadUSB」とは?
製造業や工事業の現場で働く皆さまは、日々の業務でPCや各種機器を扱われます。
その際、データのやり取りや充電などでUSBメモリやケーブルを利用される機会は多いことでしょう。
しかし、その便利なUSBに、非常に危険な「BadUSB(バッドユーエスビー)」と呼ばれる脅威が潜んでいることをご存知でしょうか。
BadUSBは、通常のUSB機器のファームウェア(内部プログラム)を不正に書き換えることで、本来の用途とは異なる悪意のある動作をさせるサイバー攻撃の1つです。
見かけはごく普通のUSBメモリや充電ケーブルと変わりません。
このブログ記事では、現場で働く皆さまが知っておくべきBadUSBの仕組み、具体的なリスク、そして何よりも大切な対策について詳しく解説いたします。
製造業のセキュリティ対策については以下の記事でもご紹介しています。
▶製造業を狙うサイバー攻撃から自社を守ろう―狙われる理由と対策を解説―
▶【わかりやすく解説】OT(Operational Technology)とは?ITとの関係や違い、セキュリティの重要性について解説
BadUSBの仕組み:なぜ見破られにくいのか?

BadUSBの大きな特徴は、OS(オペレーティングシステム)から「普通のUSB機器」として認識されてしまう点にあります。
一般的なマルウェア(悪意のあるソフトウェア)は、OS上でファイルとして認識されるため、アンチウイルスソフトなどで検知が可能です。
しかし、BadUSBはUSB機器のファームウェアそのものが改ざんされているため、PCに接続された際、PC側はそれを「キーボード」や「ネットワークアダプタ」などの正規の周辺機器として認識し、セキュリティソフトでも検知が困難なのです。
これが意味することは、たとえセキュリティ対策を施したPCであっても、BadUSBを接続するだけで、あたかも人間がキーボードを操作しているかのように、不正なコマンドを実行されてしまう可能性があるということです。
この特性が、BadUSBを厄介な脅威にしている要因です。
BadUSBがもたらす現場への具体的なリスク

BadUSBが実行する攻撃は、現場の業務に甚大な影響を及ぼす可能性があります。
具体的なリスクとして、主に以下の点が挙げられます。
- 情報漏洩のリスク
機密情報の窃取 ・接続されたPC内の機密性の高い設計データ、顧客情報、業務マニュアルなどを外部に送信するコマンドを自動で実行される可能性がある。 - 業務停止や重大な事故のリスク
システムの不正操作 ・製造ラインを制御するPCや、工事現場の管理システムに不正にアクセスし、設定変更やシャットダウンなどの操作を遠隔で行われる可能性がある。 - PCやネットワーク全体が機能不全に陥るリスク
マルウェアのインストール ・PCに気づかれずに、さらに高度なマルウェアやランサムウェア(身代金要求型ウイルス)をインストールされる可能性がある。
特に製造現場や建設現場では、システムの停止は即座に大きな損害につながります。
また、機密性の高い図面やノウハウの漏洩は、会社の信頼を大きく損なうことになります。BadUSBは、これらの深刻な事態を引き起こす物理的な入口となり得るのです。
現場で実践するBadUSB対策とセキュリティ強化のポイント
BadUSBの脅威から現場を守るためには、物理的な管理と技術的な対策の両面からアプローチする必要があります。
1.物理的なUSBポートの管理徹底
最も基本的かつ重要な対策は、「不審なUSB機器を接続しない」ことです。
見知らぬUSB機器の排除 ・落とし物や、出所が不明なUSBメモリ、ケーブルは絶対にPCに接続しないでください。
たとえ善意で拾得したものでも、悪意を持って放置された「罠」である可能性があります。
私物USB機器の持ち込み制限 ・業務に関係のない個人のUSB機器の持ち込みを原則禁止し、業務用のUSB機器のみを使用するルールを徹底します。
USBポートの物理的ロック ・特に重要性の高いPCについては、使用しないUSBポートを物理的にロックするカバー(キャップ)などを導入することも有効な対策の1つです。
2.技術的なセキュリティ強化
物理的な対策に加え、技術面からもリスクを低減させることが大切です。
USBデバイス制御ソリューションの導入 ・業務で許可された特定のUSB機器や特定のメーカーの機器以外は接続を拒否する「USBデバイス制御」機能を導入します。
これにより、未許可のデバイスが接続された際にPC側がBadUSBの挙動をブロックできます。
「充電専用ケーブル」の活用 ・スマートフォンやタブレットをPCや充電器で充電する際は、データ通信を遮断する機能を持つ「充電専用」のUSBケーブル(データブロッカー)を利用するようにルール化します。
これにより、悪意のある充電ケーブルを接続されても、PCとの間でデータ通信やコマンド実行が行われるのを防げます。
セキュリティは「人」と「ツール」の両輪で
BadUSBは、目に見えない脅威でありながら、企業の存続に関わる重大なリスクをはらんでいます。
製造業や工事業に従事されている皆さまの現場を守るため、改めてセキュリティ意識を高めていただくため、以下の2点を徹底してください。
- 「知らないものは接続しない」という現場のルールを厳守する。
- USBデバイス制御といった専門のセキュリティツールを活用する。
大切なデータやシステムを守るためにも、ぜひこの機会に現場のUSB利用に関するルールとセキュリティ対策を見直していただくようお願いいたします。

