現場の安全を守る!今日からできる基本の安全対策10選
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工事現場は、足元の状況が悪い、重量物を扱う機会が多いなどの理由から、死亡事故につながる労働災害の危険性が高いです。
各現場では、安全を守るためにさまざまな対策が取られていますが、十分な安全対策が取られていない現場も少なくありません。
今回は、事故防止に役立つ安全対策をご紹介します。
工事現場における事故発生状況や安全対策に活用できるグッズについても紹介するので、ぜひ参考にしてください。
工事現場における労働災害発生状況
工事現場では、「高い場所で作業する」「不安定な場所を移動する」などの特性上、毎年さまざまな労働災害が発生しています。
厚生労働省が令和7年に公表した「令和6年における労働災害発生状況(確定)」によると、令和6年に工事現場(建設業)で多発した労働災害は以下のとおりです。
- 1位:墜落・転落(4,351件)
- 2位:転倒(1,658件)
- 3位:はさまれ・巻き込まれ(1,563件)
- 4位:切れ・こすれ(1,201件)
- 5位:飛来・落下(1,139件)
特に1位の墜落・転落に関しては年間4,351件と、2位の転倒の約3倍の数値となっているため注意が必要です。
適切な安全対策を講じるためにも、労働災害の発生件数が多い「墜落・転落」の事故事例について見ていきましょう。
※出典:厚生労働省労働基準局安全衛生部安全課「令和6年における労働災害発生状況(確定)」https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei11/rousai-hassei/xls/24-16.xlsx
ダム建設工事現場での事故事例
ダム建設工事現場での事故事例をご紹介します。
被災者Aさんは、ダム建設工事現場で擁壁上の手すりを撤去する作業を行っていました。
墜落防止用具を別の手すりに装着して安全に作業をしていましたが、墜落防止用具を装着していた手すりの固定方法に問題があり、手すりとともに約10m下の水路に落下してしまいました。
その後、被災者Aさんは病院に搬送されましたが、死亡しました。
ビルの工事現場での事故事例
ビル工事現場での事故事例をご紹介します。
被災者Bさんは、高さ23.5mの6階建てのビル屋上にて解体用の防音シートを張るために足場を組み立てる作業をしていました。
Bさんは壁つなぎの部材を壁つなぎ増設作業中の鷲工に橋渡ししようとして、屋上床スラブを移動していたところ、解体ガラ投下用の開口部から地上まで墜落し、死亡しました。
工場内の工事現場での事故事例
工場内の工事現場での事故事例をご紹介します。
被災者Cさんは他2名の作業者と同乗して工事現場である工場に到着しました。
工場内の工事現場に到着した一同でしたが、被災者Cさんは忘れ物に気づき、先ほど駐車した車まで忘れ物を取りに行くことにしました。
工場内には危険箇所としてピットの周囲に規制線が張られていたものの、工場内には照明がなく、規制線が見えない状況になっていました。
結果、被災者Cさんは規制線の存在に気づかず、ピットに墜落し死亡しました。
※出典:厚生労働省「職場のあんぜんサイト 労働災害事例」https://anzeninfo.mhlw.go.jp/anzen/sai/saigai_index.html
工事現場の事故防止に役立つ安全対策10選

労働災害が多発している工事現場においては、事故を防止するための安全対策を施すことが重要です。
ここからは、今日からできる工事現場の事故防止に役立つ基本の安全対策を10個ご紹介します。
作業前の体調確認
工事現場では、一つのヒューマンエラーが重大な事故を招く可能性があります。
作業員が自ら体調管理を行うのはもちろんのこと、工事現場の責任者は各作業員の体調を正確に把握し、事故を防ぐことが重要です。
また、作業員の疲労もヒューマンエラーの原因になりかねないため、作業員の負担を軽減する機器やアイテムの導入を検討するのも一つの手段です。
使用機器の定期点検
工事現場ではさまざまな機器が使用されています。
工事現場で使用する機器は、作業を効率化してくれるものが大半ですが、しっかりとしたメンテナンスを行わなければ、事故の原因になりかねません。
そのため、工事現場で使用する機器は、始業前後に点検を行うことが重要です。
使用機器の定期点検を実施することで、機器の誤作動や故障による事故を防ぐことができます。
5S活動の実施
工事現場の安全対策の一環として、5S活動の実施も効果的です。
5S活動とは「整理・整頓・清掃・清潔・しつけ」のことで、安全対策の基本となる活動だといえます。
5S活動を実施すれば、工具を蹴って下に落としてしまう、モノにつまずいて転倒するなどの事故の減少につながります。
定期的な安全パトロール
工事現場では、危険箇所を改善するために、定期的な安全パトロールを実施することが重要です。
安全パトロールとは、工事現場内に危険箇所がないか見回りを行うパトロールのことです。
基本的に工事現場における安全衛生責任者が見回りを行いますが、作業員を数名同行させると作業員の安全意識向上にもつながります。
安全パトロールを通して、安全対策が施されているか、危険箇所はないかを確認することで、事故を未然に防ぐことができます。
危険予知活動の実施
労働災害が多い工事現場では、作業前にどのような危険があるのか、どのような対策が適切なのかを考える、危険予知活動に取り組むことが重要です。
作業前に危険予知活動を実施することで、作業員のリスク回避能力が向上し、事故の可能性を軽減できます。
危険予知活動は作業前に行うのが効果的です。
ヒヤリハットの報告・共有
ヒヤリハットの報告・共有は、工事現場で欠かせない安全対策の一つです。
ヒヤリハットとは、事故には発展しなかったものの、危険性が高かった事象のことを指します。
例えば、「高所作業で足を滑らせてしまった」、「手すりの固定が甘く転びそうになった」などが挙げられます。
ヒヤリハットの報告・共有は作業員の安全意識向上をはじめ、危険箇所の改善など、さまざまな面で役に立ちます。
ただし、誰でも自分のミスをありのまま報告することには気が引けます。そのため、自分のミスを報告しやすいような環境づくりに努めることが重要です。
例えば、事例をすぐに報告できる簡単な手段を用意しておく。報告に対して小さなインセンティブを与える等の方法が挙げられます。
労働災害事例の共有・注意喚起
労働災害事例の共有・注意喚起も安全対策の一つです。
実際に工事現場で発生した労働災害事例を共有することで、「自分もこうなるかもしれない」と作業員の危機意識を向上させることができます。
また、実際に発生した労働災害事例に対して、何が原因か、どのような対策が必要かについて注意喚起をすることも重要です。
厚生労働省の「職場のあんぜんサイト」では、様々な労働災害事例を知ることができます。
高所作業時の安全対策
建物をつくる工事現場では、高所で作業をする機会が多いです。
高所での作業は工事現場(建設業)でもっとも発生件数の多い「墜落・転落」が発生しやすい作業内容であるため、工事現場の責任者は特に安全対策を徹底する必要があります。
高所作業時の安全対策としては以下のようなことが挙げられます。
- 安全帯を装着して作業を行う
- 落下防止用ネットを設ける
- 作業員同士の声掛けを行う
「墜落・転落」事故は死亡事故につながりやすいため、工事現場に応じた安全対策を実施するようにしてください。
安全衛生管理計画の作成・実施
安全衛生管理計画とは、職場の安全を確保するために事業者が実施する、安全衛生活動の内容をまとめた計画書のことです。
安全衛生計画には、以下のような内容を記載します。
- 安全衛生基本方針・年間目標
- リスクアセスメントの実施内容
- 安全衛生活動の具体的な内容
- 実施スケジュール
安全衛生計画の作成は法的に義務化されているものではありませんが、厚生労働省をはじめとする公的機関が作成を推奨しており、工事現場の安全レベル向上のためには欠かせません。
安全衛生管理計画を作成する際は、誰が、何を、いつまでに実施するのかなど、可能な限り具体的に内容を記載することがポイントです。
安全対策グッズの導入
工事現場の安全対策を万全にするには、安全対策グッズの導入が必須です。
安全対策グッズの導入には一定のコストがかかるものの、命に係わる労働災害発生のリスクを軽減する対策として非常に有用です。
工事現場で労働災害を発生させないためにも、安全対策グッズの導入を検討してみてください。
工事現場の事故防止に役立つ安全対策グッズをご紹介!

ここからは、工事現場の事故防止に役立つ安全対策グッズをご紹介していきます。
各企業、工事現場の責任者の方は、ぜひ参考にしてください。
暗所作業の安全対策をサポート
工事現場の暗所作業では、作業員同士や重機との接触、足元の障害物による転倒・墜落といった重大事故のリスクを高めます。
そこで、この問題を解決し、安全性を向上させるヘルメット用360°マルチワークライト『HALO SL(ヘイローエスエル)』がおすすめです。
この製品は、ヘルメット周囲360°全方位を照らすLEDリングを搭載しており、400m先からでも作業者がいることを視認できます。暗闇で作業員の位置を明確に周囲に知らせることで、接触事故や災害リスクを大幅に軽減します。
さらに、手元・足元用のタスクライトや最大15m先を照らすスポットライトも搭載。IP67の防水防塵性能とコードレス設計で、過酷な現場でも使用でき、作業効率も高めます。
センサーが異常を感知!作業員のSOSに素早く気づける
工事現場で転倒事故が発生した際、周りに作業員がいなければ事故に気づくのが遅れてしまいます。
場合によっては、事故に気づくのが遅れてしまったことが原因で、被災者の症状が重篤化してしまう可能性も考えられるでしょう。
このようなリスクに備えて、各作業員がBluetooth式転倒検知送信機『EXH-BTTK2』を装着するのがおすすめです。
対象者に異常(転倒・静止)が発生すると、端末本体から大音量の警報音が発せられると同時に、あらかじめ登録されている連絡先に緊急通報が行われる仕組みとなっており、対象者の異常にいち早く気づけます。
端末本体は8cm×5cmの手のひらサイズです。
現場のDX化を加速させるコミュニケーションツールで作業を効率化!
工事現場では工程や現場状況を責任者・作業員間で共有しなければいけない場面が多々あります。
多くの工事現場では朝一、昼休み後など、決まったスケジュールでミーティングなどを開きますが、工事現場は足場が不安定なことが多いので、作業員の移動は危険を伴うことになります。
このようなリスクに備えて、現場のDX化を加速させる建設業界向けコミュニケーションプラットフォーム『direct(ダイレクト)』がおすすめです。
directでは工程確認や現場状況をメッセージ・写真で共有できるので、作業員が離れた場所にいてもミーティングなどを行えます。
作業の効率化にもつながるので、ぜひ導入を検討してみてください。
まとめ
今回は、今日からできる基本の安全対策をご紹介しました。
安全対策を徹底し、作業員の健康を守りましょう。
工事現場(建設業)は各業種の中でも特に労働災害による死亡事故が発生しやすい業種なので、安全対策を徹底することが重要です。
工事現場での安全対策としては、本記事で紹介した内容に加え、ヘルメット用360°マルチワークライト『HALO SL(ヘイローエスエル)』、Bluetooth式転倒検知送信機『EXH-BTTK2』や建設業界向けコミュニケーションプラットフォーム『direct(ダイレクト)』などの安全対策グッズ・ツールを導入することも一つの手段となります。






