食品工場の衛生管理は服装が重要!基本ルールと事例

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白衣を着た男女

消費者が口にする食品を製造する食品工場では、衛生管理の徹底が欠かせません。中でも作業員の服装管理は、異物混入や細菌汚染を防ぎ、製品の安全性を守るための基本的かつ重要な対策です。服装にどのようなルールを定めれば、食品事故のリスクを効果的に減らせるのでしょうか。

本記事では、食品工場における服装管理の重要性と基本ルール、さらに服装と併せて実施すべき施設全体の衛生管理について解説します。「服装ルールが形骸化してしまっている」「衛生服装での作業中に熱中症リスクが心配」「集中力低下によるヒヤリハットが増えている」といった課題を抱えている方は、ぜひ本記事を参考にしてください。

【この記事で分かること】

  • 食品工場の衛生管理における服装の重要性
  • HACCPに基づいた服装の基本ルール
  • 施設全体の衛生管理を徹底する具体的な方法

食品工場の衛生管理は服装が重要!基本ルールと事例

食品工場の衛生管理で服装が重要な理由

食品工場の衛生管理の徹底のためには、作業員の服装の管理が重要です。

作業員の体毛や汗、体に付着した細菌などが食品に混入すると、異物混入や食中毒などの食品事故の原因になります。たった1本の髪の毛が混入するだけでも、消費者からの信頼を損ない、大きな問題に発展する可能性があります。そのため、正しい身だしなみを徹底し、人から発生する異物や細菌の混入を防がなくてはなりません。

国際的な衛生管理基準「HACCP(ハサップ)」に沿った衛生管理でも、作業員の服装に関する基準が定められています。日本では、2021年から食品等事業者を対象に、HACCPに沿った衛生管理が完全義務化されたので、この基準に沿った作業員の服装管理が求められています(※)。

※出典:厚生労働省「HACCP(ハサップ)」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/haccp/index.html

HACCPの考え方に基づく服装の基本ルール

白衣の人のイラスト

服装に関してどのような基準を満たせば、HACCPを遵守していることになるのでしょうか。

ここからは、HACCPの考えに基づいた服装の基本ルールを分かりやすく解説します。

【マスクの着用】鼻水・つばの飛散を防ぐ

食品工場で働く作業員は、必要に応じてマスクを着用し、鼻水・つばの飛散を防ぐことが求められます。

鼻水やつばには、多くの微生物が含まれているので、くしゃみや咳、会話などによって、見えない鼻水やつばが食品に混入すると食中毒のリスクが高まります。特に食中毒の原因となる毒素を作り出す「黄色ブドウ球菌」は、健康な人の約40%の鼻腔、咽頭、腸管などに常在しているため、マスクの着用による飛沫防止は必要不可欠です(※)。

マスクは口だけでなく鼻まで確実に覆えるタイプのものを選び、隙間ができないよう正しく着用します。これにより、飛沫の混入だけでなく、作業中に無意識に口や鼻を触る行為も防ぐことが可能です。

※出典:川越市「黄色ブドウ球菌」https://www.city.kawagoe.saitama.jp/kenko/shokuhin/1007038/1007039/1007049.html

【白衣の着用】汚れを見つける

作業員が着用するユニフォームは、汚れが目立つ白色のものを選びましょう。

白衣が汚れているということは、工場内の衛生環境が整っていなかったり、適切なタイミングで洗濯できていなかったりすると考えられます。どの作業員の服装もすぐに汚れてしまうなら、工場の環境を見直す必要があるでしょう。また白衣なら、髪の毛やほこりなどが付着してもすぐに見つけられるため、異物の混入防止にも効果的です。

白衣は体毛や皮膚片、汗などが食品に混入するのを防ぐ目的もあるので、袖口や裾を絞れるタイプのものが推奨されます。ボタンやファスナーなどのパーツは、破損による異物混入のリスクがあります。縫い付けボタンは避け、隠しファスナー・スナップなど異物リスクの低い仕様を選ぶとよいでしょう。また裁断・縫製方法が工夫されたものを選ぶと、糸くずの発生を防ぐことができるので、より衛生管理を徹底できます。

【帽子の着用】毛髪・ふけ・ほこりの混入を防ぐ

毛髪やふけ、ほこりの食品への混入を防ぐためには、帽子を正しく着用することが欠かせません。頭部が少しでも露出していると異物混入のリスクが高まるため、頭全体を覆えるタイプを選びましょう。

サイズが小さ過ぎると着用時に圧迫されて快適性が損なわれ、大き過ぎると隙間ができてしまう恐れがあるので、作業員ごとにサイズが合ったものを選ぶことも大切です。インナーキャップとアウターキャップの両方を着用することで、より異物混入防止効果を高められます。

【作業靴】微粒子やごみの混入を防ぐ

靴の中に蓄積した微粒子やごみが食品に混入するのを防ぐためには、履き口をしっかりと密閉できるタイプを選ぶことが大切です。また、水にぬれた状態では床の微粒子やごみが作業靴に付着しやすいので、防水性が高い素材のものが望ましいです。

作業靴は着用後必ず洗浄し、しっかりと乾燥させましょう。靴底の汚れが分かりやすいように、底を見せた状態で保管できるラックを利用するのもおすすめです。

また作業員の転倒を防ぎ、靴の早期の劣化を防ぐために、防滑性や耐久性に優れたものを選ぶことも大切です。

服装管理は衛生管理の重要な要素ですが、HACCPの基本や施設全体の衛生管理については、以下の記事で詳しく解説しています。

▶食品工場の衛生管理を徹底するには?HACCPや一般衛生管理、実践方法まで徹底解説

服装と併せた施設全体の衛生管理の実践方法

作業員の衛生管理を徹底するには、食品工場に適した服装を選び、正しく着用することが重要です。しかし、服装管理だけでは施設全体の衛生状態は維持できません。

ここからは、服装と併せて実践したい施設全体の衛生管理方法の例をご紹介します。

1.快適な空調服で食品工場の衛生環境を改善

前述した通り、衛生管理を徹底するには、衛生面に配慮した作業員の服装を選ぶことが重要です。

しかし、それだけを重視すると作業員の快適性が損なわれ、高温多湿になりやすい工場内では熱中症のリスクが高まります。作業員の健康を守り、集中力や業務効率を維持するためには、衛生面と併せて快適性にも配慮した作業服の導入が必要です。

例えばアタックベース株式会社の白衣型空調作業服『空調風神服 白衣』は、作業着内に強力な風を循環させることができるため、作業員の熱中症リスクを軽減できます。袖口と裾には体毛防止ネットが付いているので、風の循環による体毛の落下を防げるのが特長です。暑さ対策と衛生管理を両立できる作業着として、さまざまな食品工場で導入されています。

2.紫外線照射装置を使った衛生管理

紫外線照射装置とは、殺菌効果のあるUV-Cを照射できる装置のことです。工場内に存在するさまざまなウイルスや細菌を死滅させる効果が期待できるので、施設全体の衛生管理に役立ちます。

エアロシールド株式会社の紫外線照射装置『エアロシールド』は、水平に深紫外線(UV-C)を照射することで、人が活動する空間に影響を与えることなく、24時間空気環境対策を行える製品です。空気中の浮遊菌を約89.6%抑制(※)し、ウイルスの抑制にも効果が期待できるため、食品工場だけでなく、さまざまな大型施設、医療機関などでも導入されています。フィルターのないタイプなので、メンテナンスの手間を省いて、空間の衛生状態を向上できるのが特長です。

※【検査機関】株式会社ビー・エム・エル 【検査内容】エアロシールドUKP18浮遊細菌効果テスト【検査報告書発行日】平成22年6月11日。報告書書類2頁:エアロシールドUKP18(BML総合研究所ビジターズルーム))浮遊菌数検査結果 平成22年5月31日 の数値に基づく値/数値は1m³中に換算した浮遊菌数(cfu)。実空間の環境により効果は異なります。

3.空気清浄機で食品工場の衛生環境を守る

食品工場の衛生環境を維持するには、空気清浄機の導入も効果的です。

空気中には、ウイルスや細菌に加え、目に見えないほど小さなちりやほこりも含まれています。空気清浄機を導入すれば、それらを吸い込み、空気を浄化してくれるので、工場内の空気の質を向上させることが可能です。

アマノ株式会社の業務用空気清浄機『あまつかぜ』は、特許登録された電気集じん機能を搭載しており、効果的に空気中の浮遊物を吸い込みます。また、UV-C照射機能を兼ね備えており、集じん電極にUV-Cを確実に照射することで、集めたウイルスを効果的に抑制できるのが特長です。

衛生管理は服装から! 適切な方法を実施して品質向上を目指しましょう

白衣の男女のイラスト

食品工場ではさまざまな衛生管理対策が求められますが、中でも作業員の服装管理は、異物混入や細菌汚染を防ぎ、製品の品質と安全性を守る上で重要なポイントです。本記事を参考に自社の服装ルールを見直し、適切な対策を講じて、工場の衛生環境を整備しましょう。

カナデンでは、ご紹介した製品を含め、作業員の衛生管理や施設全体の衛生管理に効果的な製品を数多く取り扱っています。現状の課題に沿った改善策のご提案も可能なので、まずはお気軽にご相談ください。

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