【令和6年度】非常用電源の導入時に使える補助金とは?補助基準額や適用条件を解説

公開日:2024.05.14 更新日:2024.05.14

非常用電源

災害時でも継続して事業を行うには、電気やガスなどのライフラインの確保が欠かせません。東日本大震災をきっかけに、災害時でも事業の継続や早期復旧に向けて対策を強化する企業が増えています。

本記事では、非常用電源設備の導入を検討している企業の経営幹部の方や管理担当の方へ向けて、導入時に活用できる補助金制度を解説します。各種補助金制度の補助基準額や適用条件なども詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。

※2024年2月時点の情報です。

非常用電源の導入が求められている背景

非常用電源の導入に関する補助金制度を設置していることからも分かるように、政府は国を挙げて非常用電源の普及に力を入れていります。まずは、非常用電源の導入がなぜ重要なのか、背景を詳しく解説します。

日本の災害が増えている

内閣府の『防災情報のページ』によると、日本は地形や地質、気象などの自然的な条件から見ても災害が発生しやすい国土とされています。主な自然災害は、台風や地震、津波、火山噴火などです。

内閣府の『令和4年版 防災白書』には、自然災害が起こった際の緊急避難場所をはじめとする、具体的な災害対策が記載されています。緊急避難場所は、人命の安全確保を目的とした緊急時に非難できる施設や場所のことです。災害時に設置される緊急避難場所には非常用電源の設置が必要で、導入に関する補助金制度を活用できます。

※出典:内閣府「災害を受けやすい日本の国土:防災情報のページ」https://www.bousai.go.jp/kaigirep/hakusho/h18/bousai2006/html/honmon/hm01010101.htm#

※出典:内閣府「令和4年版 防災白書|第1部 第1章 第2節 2-3 指定緊急避難場所と指定避難所の確保:防災情報のページ」https://www.bousai.go.jp/kaigirep/hakusho/r04/honbun/1b_1s_02_03.html

災害時の被害拡大防止が求められている

大規模な災害が起こると、道路が陥没して車が走れなくなったりライフラインが途絶えたりと、甚大な被害が発生する恐れがあります。実際に東日本大震災では、東北電力管内を中心に広く停電が発生し、その後の完全復旧までに3カ月近くかかりました。災害時に暖房や冷房、調理などを継続させて人命を守るには、非常用電源の設置が不可欠です。

災害が起こる時期を正確に予測するのは難しく、労働者を抱える企業や団体は、災害対策を行う必要があります。政府は災害対策で非常用発電機を導入する企業のために、補助金を準備しています。

BCP対策が求められている

BCPとは、Business Continuity Planの頭文字を取った略語で、事業の継続計画を意味する言葉です。BCPは災害時などの緊急事態に自社の損害を抑え、事業の継続または早期復旧を目指すための方法や、手段をまとめた計画を指します。

内閣府は、災害時でも特定の重要業務が中断しないように対策を練り、万が一事業が継続できなくても早期復旧を実現できる体制を整えておくことを推奨しています。例えば、社内システムの復旧には電力の確保が必要なため、発電機の導入を計画に盛り込むことなどです。

※出典:内閣府「知る・計画する:防災情報のページ」https://www.bousai.go.jp/kyoiku/kigyou/keizoku/sk.html

カナデン取り扱いの非常用電源は以下のボタンからご確認いただけます。

非常用電源一覧

非常用電源の導入に使える3つの補助金

事業継続計画

企業が非常用電源の導入に当たって活用できる補助金は、主に3つあります。それぞれの補助金がどのような制度なのかを把握するためにも、補助金制度の目的や概要などを詳しく解説します。

1.災害時に備えた社会的重要インフラへの自衛的な燃料備蓄の推進事業費補助金

経済産業省が運用する『災害時に備えた社会的重要インフラへの自衛的な燃料備蓄の推進事業費補助金』を解説します。

※2024年2月時点の情報です。

目的・概要

『災害時に備えた社会的重要インフラへの自衛的な燃料備蓄の推進事業費補助金』は、災害対策として石油製品タンクを導入したり、施設に石油ガス災害バルクの設置を行ったりする民間団体などを募集し、対象者に設置費用の定額または一部を助成する事業です。避難者や避難困難者が集まる施設のインフラ確保を促進するための、資金面でのサポートを目的としています。

補助金の対象施設は医療施設や福祉施設、公的避難所などの災害時に指定された避難所、避難先になり得る施設、避難困難者がいる施設です。補助金の対象設備は、非常用発電機や石油タンク、LPガスタンクなどが挙げられます。

※2024年2月時点の情報です。

適用条件・補助基準額

補助金の適用条件は、以下5つの要件を満たす民間団体です。

  1. 日本に拠点がある
  2. 本事業を遂行する組織があり、必要な人員を確保している
  3. 本事業を円滑に進められる強い経営基盤があり、十分な資金や管理能力がある
  4. 経済産業省から補助金交付等停止措置または指名停止措置を受けていない
  5. 経済産業省の公式ホームページへの採択結果の公表に同意している

補助基準額などは以下のとおりです。

補助基準額 補助率(10/10)定額補助
補助金の支払い 事業終了後(事前の承認を得られれば前払いが可能)
申請期間 2024年2月14日~2024年3月6日12時まで

※2024年2月時点の情報です。

申請方法

補助金の申請は次の手順で進めます。

  1. 経済産業省の公式ホームページにある公募要領や提出書類の様式をダウンロードして内容を確認する
  2. 提出書類を用意し、Jグランツ・電子メール・郵送のいずれかの方法で申請する

Jグランツとは補助金申請システムのことです。Web上で補助金の申請を行え、ログイン先は公募要領に記載されています。電子メールで申請する場合は、公募要領に記載のメールアドレス宛に必要書類を添付し、締切日の12時までに送信します。郵送の場合は公募要領にある担当部署宛てに必要書類を郵送します。

※2024年2月時点の情報です。

※出典:経済産業省「令和6年度「災害時に備えた社会的重要インフラへの自衛的な燃料備蓄の推進事業費補助金(災害時に備えた社会的重要インフラへの自衛的な燃料備蓄の推進事業のうち石油製品タンク等の導入に要する経費を助成する事業及び石油ガス災害バルク等の導入に要する経費を助成する事業)」に係る補助事業者(執行団体)の公募について」https://www.enecho.meti.go.jp/appli/public_offer/2023/0214_01.html

※出典:経済産業省 資源エネルギー庁「令和6年度「災害時に備えた社会的重要インフラへの自衛的な燃料備蓄の推進事業費補助金(災害時に備えた社会的重要インフラへの自衛的な燃料備蓄の推進事業のうち石油製品利用促進対策事業に係るもののうち石油製品タンク等の導入に要する経費を助成する事業及び石油ガス災害バルク等の導入に要する経費を助成する事業)」に係る補助事業者(執行団体)募集要領」https://www.enecho.meti.go.jp/appli/public_offer/2023/data/0214_01_01.pdf

2.BCP実践促進助成金

次に、公益財団法人東京都中小企業振興公社が運用する『BCP実践促進助成金』の概要を確認してみましょう。

※2024年2月時点の情報です。

目的・概要

BCP実践促進助成金は、企業が策定したBCPを遂行するために必要となる、物品や設備の導入費用の一部を助成する制度です。BCPの策定や緊急事態時の対策用品の備蓄を目的としています。

助成金は物品や設備だけでなく、防災力を強化するための基幹システムのクラウド化にかかる経費の一部も対象に含まれます。助成金を申請できるのは、BCPを策定して実践に必要な物品や設備などを導入する中小企業です。ただし、特定非営利活動法人や財団法人、医療法人といった団体は、助成金の対象から外れます。

※2024年2月時点の情報です。

適用条件・補助基準額

BCP実践促進助成金の適用条件は、次のいずれかの要件を満たしている、BCPを策定した中小企業者または小規模企業者です。

  1. 2017年度以降に公益財団法人東京都中小企業振興公社 総合支援課(公社)が実施するBCP策定支援事業の支援を受け、受講内容に従ったBCPを策定している
  2. 中小企業強靭化法の『事業継続力強化計画』として認定され、内容に即したBCPを策定している
  3. 2016年度以前の東京都または公社が実施したBCP策定支援事業を活用し、BCPを策定している

補助基準額などは以下のとおりです。

補助基準額
  • 中小企業者など:対象経費の1/2以内
  • 小規模企業者:対象経費の2/3以内
  • 助成額:10~1,500万円(クラウド化の助成上限額450万円)
補助金の支払い時期 助成対象期間内
申請期間 2024年2月現在の募集は終了

※2024年2月時点の情報です。

申請方法

申請は以下の手順で進めます。

  1. 公社の公式ホームページから募集要項をダウンロードし、内容を確認する
  2. BCP策定支援事業の支援を受け、講座を受講する。または事業継続力強化計画の認定を受ける
  3. 申請に必要な書類を公社の公式ホームページからダウンロードする
  4. 申請書を作成し、添付が必要な書類を用意する
  5. 申請エントリーを行う
  6. Jグランツで申請書類を電子申請する

申請エントリーは助成金の申請を行う上で必須条件です。公社の公式ホームページからネットクラブ会員登録を行い、助成金の申請エントリーを進めましょう。申請に必要な書類の提出は、Jグランツを活用した電子申請に限られます。Jグランツを利用するには、GビズIDの発行が必要です。GビズIDの発行には2~3週間かかるため、申請の締切日に間に合うように事前登録を済ませましょう。

※2024年2月時点の情報です。

※出典:公益社団法人 東京都中小企業振興公社「BCP実践促進助成金」https://www.tokyo-kosha.or.jp/support/josei/setsubijosei/bcp.html

3.石油ガス災害バルク等の導入事業費補助金

最後に、一般社団法人エルピーガス振興センターが運用する『石油ガス災害バルク等の導入事業費補助金』の詳細を解説します。

目的・概要

『石油ガス災害バルク等の導入事業費補助金』は、該当施設にLPガス災害バルクなどの導入を支援するため設置された、補助金制度です。LPガス災害バルクとは、日常生活でも利用できる、バルク貯槽と供給設備が一体となった設備を指します。

補助金の目的は、大規模災害が発生した際に重要な施設のライフラインを維持することです。大規模災害が起きると、電力や都市ガスの供給が途絶えてしまい、ライフラインを失った施設が正常に機能しなくなる恐れがあります。

補助金の対象になる施設は、医療施設や福祉施設などの災害時に避難困難者が生じる可能性が高い施設です。また自治体が避難所に指定した公共施設も、補助金の対象となります。

※2024年2月時点の情報です。

適用条件・補助基準額

補助金の適用条件は、以下のとおりです。

  1. 補助金の対象施設を所有または管理し、購入またはリースした石油ガス災害バルクを対象施設に設置して管理している
  2. 購入した石油ガス災害バルクを補助金の対象施設の所有者または管理者にリースし、設置している 補助基準額などは以下のとおりです。
補助基準額
  • 避難困難者が生じる施設:1/2以内(中小企業が運営する場合は2/3以内)
  • 補助上限額:1,000万円
補助金の支払い時期 事業完了日まで
申請期間
  • 令和5年度の公募の申請期間:2023年5月31日~6月30日
  • 令和6年度:未発表

なお、中小企業の定義は、中小企業基本法が準用されます。中小企業庁のホームページで確認可能です。

※2024年2月時点の情報です。

申請方法

補助金を申請する方法は次の手順で行います。

  1. 災害バルクホームページから募集要項をダウンロードし、内容や提出書類を確認する
  2. 申請書を作成し、Jグランツまたはホームページの機能を利用して添付書類と一緒に申請する

申請方法は、Jグランツで電子申請する方法と、災害バルクの公式ホームページにある補助金申請手続きページのリンクから申請書類一式を提出する方法があります。リンクから申請書類を提出する場合は、ファイルの保管や共有を行えるDropboxを利用するため、操作方法を把握しておくことが大切です。

申請書類の提出後は、一般社団法人エルピーガス振興センター内で書類審査が行われます。修正が必要な場合は修正依頼のメールが届きます。

※2024年2月時点の情報です。

※出典:一般財団法人エルピーガス振興センター「LPガス災害バルク等申請ガイドブック」https://saigaibulk.net/pdf/2023_guidebook.pdf

※出典:一般財団法人エルピーガス振興センター「令和4年度第2次補正予算・令和5年度石油ガス災害バルク等の導入事業費補助金」https://saigaibulk.net/submission/index.html

※出典:中小企業庁「中小企業・小規模企業者の定義」https://www.chusho.meti.go.jp/soshiki/teigi.html

※出典:一般財団法人エルピーガス振興センター「令和4年度第2次補正予算令和5年度LPガス災害バルク等の導入補助金 申請の手引き」https://saigaibulk.net/dl/dl/document03.pdf

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大災害が発生するとライフラインが途絶える恐れがあるため、災害時でも事業を継続するには非常用電源を導入し、電力を確保することが大切です。企業が非常用電源の導入に活用できる補助金は、主に3つあります。目的に合わせて自社に適した補助金を選ぶことで、導入費用を軽減できるでしょう。

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