省エネ補助金とは?支援制度の概要やメリット、申請方法について解説

公開日:2024.05.14 更新日:2024.05.14

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日本で省エネ法が制定されて以降、エネルギー効率は、企業や個人に関係なく国を挙げて取り組み、解決すべき課題となっています。

省エネに向けた取り組みを支える施策として政府が企業に対して行っている施策が、省エネ補助金です。企業は補助金を利用することで、省エネ設備の導入費用を抑えられます。そのためこれから導入を考えている企業は、制度の詳細や申請方法などについて、十分に理解しておくことが大切です。

この記事では省エネ補助金の概要やメリット、申請方法などについて分かりやすく解説します。ぜひ最後まで読んで、省エネ設備を導入する際の参考にしてください。

※2024年2月時点の情報です

省エネ補助金とは

まずは省エネ補助金支援制度の概要や、制定された背景、申請方法などについて解説します。省エネ補助金に関する理解を深め、スムーズな申請を行いましょう。

省エネ補助金支援制度の概要

省エネ補助金とは、省エネ設備導入の支援を目的とし、補助金という形で国が費用の一部または全部を支援する制度のことです。経済産業省や環境省などの公共機関が、企業に対して実施しています。省エネ補助金は返済不要で、省エネ設備導入に対する自己資金の不足分を補う用途で使えます。

支援の対象となるのは、制御機能付きLEDライトや高効率空調などの設備導入の他、既存設備の入れ替え、エネマネ機器の導入で発生する、設計費・設備費・工事費などの経費です。

省エネ補助金が制定された理由・背景

省エネ補助金が制定された主な背景には、1970年代に起きたオイルショックがあります。日本の高度成長期当時は化石燃料で支えられていたため、原油の供給制限と大幅な値上げが行われたことが、国内の産業に打撃を与えました。

オイルショックによるダメージを受けた経済産業省は、エネルギー資源を効率的に活用するための機関として、資源エネルギー庁を発足させました。その後1979年に制定されたのが、省エネ法(エネルギーの使用の合理化等に関する法律)です。そこから現代に至るまで、資源エネルギー庁は省エネ法に基づいて、改正を繰り返しつつ国内のエネルギー問題に取り組んでいます。

また1998年には温対法(地球温暖化対策推進法)の施行に伴い、経済産業省だけでなく環境省も共同で、省エネ補助金を実施するようになりました。

省エネ補助金の申請方法

省エネ補助金の申請から施行までは、以下の手順で進めます。

  1. 補助金に関する情報の収集・申請の下準備をする
  2. 対象となる設備を選定する
  3. 複数業者に設備・工事費の見積もりを依頼する
  4. 申請書を作成して提出する
  5. 採択後に施工開始される

場合によっては、申請書類を作成する際に説明会への参加や面接が必要だったり、書類収集準備などに時間がかかったりすることも考えられます。そのため遅くとも、設備導入の3カ月前には準備を始めておくのが理想的です。

なお補助金は、省エネ設備施工が完了した後に振り込まれます。先に業者に工事費用を支払う必要がある場合は、自己資金で支払いを済ませてかなければならない点も理解しておきましょう。

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省エネ補助金を活用する3つのメリット

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ここからは、省エネ補助金の活用によって企業が得られるメリットについて解説しましょう。省エネ補助金には、返済の必要がないということ以外にも、3つのメリットが存在します。

1.省エネ性能に優れた設備を導入できる

省エネ性能に優れた設備の導入には大幅な費用がかかるものの、省エネ補助金で導入費用の一部を賄うことができれば導入コストを抑えられます。

最新技術を搭載しているような優れた機能を持った省エネ設備の導入には、設備投資として高額な費用が必要となりがちです。また設備投資には、導入費用だけでなく、工事費用やメンテナンス費用なども含まれます。省エネ補助金を活用し省エネ性能に優れた設備を導入することで、エネルギー効率の向上に加え、生産性の向上や運用コスト削減にもつながるでしょう。

2.設備の改修計画が進めやすくなる

他の設備と同様、省エネ設備は長年使用していくうちに劣化します。省エネ設備を導入した後は、定期的なメンテナンスや改修が必要ですが、メンテナンスや改修には一定の費用がかかるでしょう。

省エネ補助金の中には省エネ設備の改修に対応しているタイプのものがあります。この補助金を活用すれば、改修コストを下げられるため、設備の改修計画を進めやすくなるはずです。省エネ補助金の活用は、設備導入後に必要なコストを減らし、改修計画のスムーズな進行につながります。

3.設備投資回収年数を短縮できる

省エネ設備への投資には多くの費用が必要ですが、省エネ補助金の活用は初期投資の軽減につながり、設備投資回収年数(設備導入から黒字化するまでの期間)を短縮できます。
設備投資回収年数が長い場合、それだけ実現が難しい事業計画になるため、出資者や株主から承認を得にくい傾向があります。経営状況の悪化にもつながりかねません。

省エネ補助金の活用で設備投資改修年数が短縮できれば、結果的にステークホルダーからの承認を得やすくなるでしょう。

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先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金とは

ここからは、『先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金』の目的や概要などについて解説します。対象となるのは全業種の国内の法人と個人事業主です。補助対象事業については支援内容によって異なり、先進事業・オーダーメイド型事業・指定設備導入事業・エネマネ事業の4つに分けられます。それぞれの要件・対象経費・補助率・補助額について紹介します。

なお、2024年現在は公募を締め切られていますが、7月上旬ごろを目安に公募が開始される可能性があるので、検討している方は経済産業省のホームページをご確認ください。

※2024年2月時点の情報です。

(A) 先進事業

省エネ補助金の対象となる事業の一つが先進事業です。外部審査委員会で採択した、技術の先進性や省エネ性能が高く、今後の導入ポテンシャルの拡大等が見込まれる設備・システムを導入する際は、省エネ補助金を活用できます。
先進事業に対する補助金は、申請単位において原油換算量ベースで以下いずれかの条件を満たしている事業が対象です。

【省エネ効果の要件】

  1. 省エネ率が30%以上
  2. 省エネ量が1,000kl以上
  3. エネルギー消費原単位改善率が15%以上
対象経費 設備費・設計費・工事費
補助率
  • 中小企業:2/3以内
  • 大企業、その他:1/2以内
補助額
  • 上限額:15億円
  • 下限額:100万円
※年度単位

※2024年2月時点の情報です。

※出典:一般社団法人環境共創イニシアチブ「令和4年度補正予算省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金」https://sii.or.jp/senshin04r/uploads/panflet_gaiyou_A_4.pdf

(B) オーダーメイド型事業

事業者の使用用途や目的により、個別設計が必要な特注設備の導入や改修を行うオーダーメイド型事業も省エネ補助金制度の対象です。オーダーメイド型事業に対する省エネ補助金の要件・対象経費・補助率・補助額について紹介します。

【要件】

原油換算量ベースで以下いずれかの条件を満たしている事業が申請対象です。

  1. 省エネ率+非化石割合増加率が10%以上
  2. 省エネ量+非化石使用量が700kl以上
  3. エネルギー消費原単位改善率が7%以上
対象経費 設備費・設計費・工事費
補助率
  • 中小企業:1/2以内
  • 大企業、その他:1/3以内
補助額
  • 100万~15億円
※年度単位

※2024年2月時点の情報です。

※出典:経済産業省「各種支援制度|省エネ関連情報|省エネポータルサイト」https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/enterprise/support/

(C) 指定設備導入事業

省エネ性能の高い生産設備やプラントの運転に必要なユーティリティの設備の導入・更新も省エネ補助金制度の対象となる事業に含まれます。指定設備導入事業に対する省エネ補助金の要件・対象経費・補助率・補助額について紹介します。

【要件】 申請対象となるのは、一般社団法人環境共創イニシアチブが定めたエネルギー消費効率などの基準を満たし、補助対象設備として登録および公表した指定設備を導入する事業です。

対象経費 設備費
補助率 1/3以内
補助額 30万~1億円
※年度単位

※2024年2月時点の情報です。

※出典:経済産業省「各種支援制度|省エネ関連情報|省エネポータルサイト」https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/enterprise/support/

(D) エネマネ事業

EMS制御や高効率設備の導入・運用改善など、エネマネ事業者と共同で作成した計画に基づいた効率的な省エネ事業も補助金の対象です。エネマネ事業に対する省エネ補助金の要件・対象経費・補助率・補助額について紹介します。

【要件】 申請対象となるのは、EMSの制御効果と省エネルギー診断などによる運用改善効果に基づき、原油換算量ベースで省エネルギー率2%以上という条件を満たしている事業です。

対象経費 設備費・設計費・工事費
補助率
  • 中小企業:1/2以内
  • 大企業、その他:1/3以内
補助額 100万~1億円

※2024年2月時点の情報です。

※出典:経済産業省「各種支援制度|省エネ関連情報|省エネポータルサイト」https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/enterprise/support/

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省エネ補助金を活用し導入コストを抑えよう

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省エネ補助金とは、経済産業省と環境省が共同で実施している支援制度の一つです。企業が省エネ設備を導入する際に利用でき、補助金という形で費用の一部または全てを国に負担してもらえます。

省エネ補助金の一つである先進的省エネルギー投資促進支援事業費補助金には、先進事業・オーダーメイド型事業・指定設備導入事業・エネマネ事業と対象となる事業が4つあります。それぞれ、要件や対象となる経費、補助率、補助額などが異なるため、あらかじめ確認しておきましょう。

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