【令和7年度】省エネ補助金とは?支援制度の概要やメリット、申請方法について解説

公開日:2024.05.14 更新日:2025.04.30

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日本で省エネ法が制定されて以降、エネルギー効率は、企業や個人に関係なく国を挙げて取り組み、解決すべき課題となっています。

省エネに向けた取り組みを支える施策として政府が企業に対して行っている施策が、省エネ補助金です。企業は補助金を利用することで、省エネ設備の導入費用を抑えられます。そのためこれから導入を考えている企業は、制度の詳細や申請方法などについて、十分に理解しておくことが大切です。

この記事では省エネ補助金の概要やメリット、申請方法などについて分かりやすく解説します。ぜひ最後まで読んで、省エネ設備を導入する際の参考にしてください。

※2025年2月時点の情報です

省エネ補助金とは

まずは省エネ補助金支援制度の概要や、制定された背景、申請方法などについて解説します。省エネ補助金に関する理解を深め、スムーズな申請を行いましょう。

省エネ補助金支援制度の概要

省エネ補助金とは、省エネ設備導入の支援を目的とし、補助金という形で国が費用の一部を支援する制度のことです。経済産業省や環境省などの公共機関が、企業に対して実施しています。省エネ補助金は返済不要で、省エネ設備導入に対する自己資金の不足分を補う用途で使えます。

支援の対象となるのは、制御機能付きLEDライトや高効率空調などの設備導入の他、既存設備の入れ替え、エネマネ機器の導入で発生する、設計費・設備費・工事費などの経費です。

省エネ補助金が制定された理由・背景

省エネ補助金が制定された主な背景には、1970年代に起きたオイルショックがあります。日本の高度成長期当時は化石燃料で支えられていたため、原油の供給制限と大幅な値上げが行われたことが、国内の産業に打撃を与えました。

オイルショックによるダメージを受けた経済産業省は、エネルギー資源を効率的に活用するための機関として、資源エネルギー庁を発足させました。その後1979年に制定されたのが、省エネ法(エネルギーの使用の合理化等に関する法律)です。そこから現代に至るまで、資源エネルギー庁は省エネ法に基づいて、改正を繰り返しつつ国内のエネルギー問題に取り組んでいます。

また1998年には温対法(地球温暖化対策推進法)の施行に伴い、経済産業省だけでなく環境省も、省エネ補助金を実施するようになりました。

省エネ補助金の申請方法

省エネ補助金の申請から施行までは、以下の手順で進めます。

  1. 補助金に関する情報の収集・申請の下準備をする
  2. 対象となる設備を選定する
  3. 複数業者に設備・工事費の見積もりを依頼する
  4. 申請書を作成して提出する
  5. 採択後に工事を開始する

場合によっては、申請書類を作成する際に説明会への参加や面接が必要だったり、書類収集準備などに時間がかかったりすることも考えられます。そのため遅くとも、設備導入の3カ月前には準備を始めておくのが理想的です。

なお補助金は、省エネ設備施工が完了した後に振り込まれます。先に業者に工事費用を支払う必要がある場合は、自己資金で支払いを済ませてかなければならない点も理解しておきましょう。

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省エネ補助金を活用する3つのメリット

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ここからは、省エネ補助金の活用によって企業が得られるメリットについて解説します。省エネ補助金には、返済の必要がないということ以外にも、3つのメリットが存在します。

1.省エネ性能に優れた設備を導入できる

省エネ性能に優れた設備の導入には大幅な費用がかかるものの、省エネ補助金で導入費用の一部を賄うことができれば導入コストを抑えられます。

最新技術を搭載しているような優れた機能を持った省エネ設備の導入には、設備投資として高額な費用が必要となりがちです。また設備投資には、導入費用だけでなく、工事費用やメンテナンス費用なども含まれます。省エネ補助金を活用し省エネ性能に優れた設備を導入することで、エネルギー効率の向上に加え、生産性の向上や運用コスト削減にもつながるでしょう。

2.設備の改修計画が進めやすくなる

他の設備と同様、省エネ設備は長年使用していくうちに劣化します。省エネ設備を導入した後は、定期的なメンテナンスや改修が必要ですが、メンテナンスや改修には一定の費用がかかるでしょう。

省エネ補助金の中には省エネ設備の改修に対応しているタイプのものがあります。この補助金を活用すれば、改修コストを下げられるため、設備の改修計画を進めやすくなるはずです。省エネ補助金の活用は、設備導入後に必要なコストを減らし、改修計画のスムーズな進行につながります。

3.設備投資回収年数を短縮できる

省エネ設備への投資には多くの費用が必要ですが、省エネ補助金の活用は初期投資の軽減につながり、設備投資回収年数(設備導入から黒字化するまでの期間)を短縮できます。

設備投資回収年数が長い場合、それだけ実現が難しい事業計画になるため、出資者や株主から承認を得にくい傾向があります。経営状況の悪化にもつながりかねません。

省エネ補助金の活用で設備投資改修年数が短縮できれば、結果的にステークホルダーからの承認を得やすくなるでしょう。

省エネ関連製品一覧

「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金」・「省エネルギー投資促進支援事業費補助金」とは

ここからは、経済産業省の省エネ補助金の目的や概要などについて解説します。

令和5年度補正予算事業から、工場・事業場型の「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金」と、設備単位型の「省エネルギー投資促進支援事業費補助金」の2つの事業に分かれて実施されています。

対象となるのは全業種の国内の法人と個人事業主です。補助対象事業については支援内容によって異なり、工場・事業場型(工場全体の省エネ)、電化・脱炭素燃転型(製造プロセスの電化・燃料転換)、設備単位型(リストから選択する機器への更新)、エネルギー需要最適化型(エネルギーマネジメントシステムの導入)の4つに分けられます。それぞれの要件・対象経費・補助率・補助額について紹介します。

なお、2025年2月時点で公募は開始されていませんが、2024年度の実績を踏まえると、3月下旬を目安に公募が開始される可能性があります。申請を検討している方は経済産業省や補助金の執行団体である一般社団法人環境共創イニシアチブのホームページをご確認ください。

※2025年2月時点の情報です

(Ⅰ)工場・事業場型

生産ラインの更新等、工場・事業所全体で大幅な省エネを図る際に活用できます。事業区分には、先進設備・システムが補助対象となる「先進枠」、オーダーメイド設備または指定設備が対象となる「一般枠」および「中小企業投資促進枠」があります。

申請単位において原油換算量ベースで以下いずれかの条件を満たしている事業が対象です。あわせて、投資回収要件も定められています。

先進枠 【省エネ効果の要件】
  1. 省エネ率が30%以上
  2. 省エネ量が1,000kl以上
  3. エネルギー消費原単位改善率が15%以上
【投資回収要件】
投資回収年数が5年以上であること
一般枠 【省エネ効果の要件】
  1. 省エネ率が10%以上
  2. 省エネ量が700kl以上
  3. エネルギー消費原単位改善率が7%以上
【投資回収要件】
投資回収年数が5年以上であること
中小企業投資促進枠 【省エネ効果の要件】
  1. 省エネ率が7%以上
  2. 省エネ量が500kl以上
  3. エネルギー消費原単位改善率が5%以上
【投資回収要件】
投資回収年数が3年以上であること

以下に、事業区分ごとの対象経費、補助率、上限額をまとめました。

事業区分 先進枠 一般枠 中小企業投資促進枠
補助対象 先進設備・システム オーダーメイド設備または指定設備 オーダーメイド設備または指定設備
補助率
  • 中小企業:2/3
  • 大企業:1/2
  • 中小企業:1/2
    ※投資回収年数が7年未満の事業は1/3
  • 大企業:1/3
    ※投資回収年数が7年未満の事業は1/4
  • 中小企業:1/2
    ※投資回収年数が5年未満の事業は1/3
上限額
  • 15億円(非化石転換の場合は20億円)
    ※年度単位
  • 15億円(非化石転換の場合は20億円)
    ※年度単位
  • 15億円(非化石転換の場合は20億円)
    ※年度単位

※2025年2月時点の情報です

※出典:経済産業省「令和6年度補正予算案における省エネ支援パッケージ」https://www.enecho.meti.go.jp/appli/public_offer/2024/data/1204_01_06.pdf

※出典:経済産業省「令和6年度補正予算におけるGX支援対策費関係事業の概要(PR資料)省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金」https://www.meti.go.jp/main/yosan/yosan_fy2024/hosei/gx/pdf/r6_gx_pr.pdf

※出典:一般社団法人環境共創イニシアチブ「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金」https://syouenehojyokin.sii.or.jp/124business/

(Ⅱ)電化・脱炭素燃転型

化石燃料から電気への転換や、より低炭素な燃料への転換等、電化や脱炭素目的の燃料転換を伴う設備等の導入も省エネ補助金制度の対象です。電化・脱炭素燃転型の要件・対象経費・補助率・補助上限額について紹介します。

【要件】

申請対象となるのは、電化・低炭素な燃料への転換を伴う設備等への更新を行う事業です。

対象経費 工事費・設備費(電化の場合は付帯設備も対象)
※工事費は中小企業に限る
補助率 1/2
上限額 3億円(電化の場合は5億円)

※2025年2月時点の情報です

※出典:経済産業省「令和6年度補正予算案における省エネ支援パッケージ」https://www.enecho.meti.go.jp/appli/public_offer/2024/data/1204_01_06.pdf

※出典:経済産業省「令和6年度補正予算におけるGX支援対策費関係事業の概要(PR資料)省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金」https://www.meti.go.jp/main/yosan/yosan_fy2024/hosei/gx/pdf/r6_gx_pr.pdf

※出典:一般社団法人環境共創イニシアチブ「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金」https://syouenehojyokin.sii.or.jp/124business/

(Ⅲ)設備単位型

省エネ性能の高い生産設備やプラントの運転に必要なユーティリティの設備の導入・更新も省エネ補助金制度の対象となる事業に含まれます。設備単位型の要件・対象経費・補助率・上限額について紹介します。

【要件】 申請対象となるのは、一般社団法人環境共創イニシアチブが定めたエネルギー消費効率などの基準を満たし、補助対象設備として登録および公表した指定設備を導入する事業です。高効率省エネ設備への投資を促進する観点から、2025年度から省エネ要件が追加される予定です。

【省エネ効果の要件】以下のいずれかの要件を満たすこと

  1. 省エネ率が10%以上
  2. 省エネ量が1kl以上
  3. 経費当たり省エネ量が1kl/千万円
対象経費 設備費
補助率 1/3
上限額 1億円

※2025年2月時点の情報です

※出典:経済産業省「令和6年度補正予算案における省エネ支援パッケージ」https://www.enecho.meti.go.jp/appli/public_offer/2024/data/1204_01_06.pdf

※出典:経済産業省「経済産業省関係令和6年度補正予算の事業概要(PR資料)省エネルギー投資促進支援事業費補助金」https://www.meti.go.jp/main/yosan/yosan_fy2024/hosei/pdf/r6_pr.pdf

(Ⅳ)エネルギー需要最適化型

エネマネ事業者と「エネルギー管理支援サービス」を契約し、一般社団法人環境共創イニシアチブに登録されたEMSを用いて行う効率的な省エネ事業も補助金の対象です。エネルギー需要最適化型の要件・対象経費・補助率・上限額について紹介します。

デジタル技術を活用したエネルギー消費の見える化、最適化に取り組む事業者を支援するため、2025年度から従来の要件の見直しが行われる予定です。

  • 指定EMSを導入する範囲内において設備または工程単位のエネルギー消費状況を把握・表示・分析し、運用改善を実施する
  • EMSを活用した省エネの中長期計画を作成し、改善による成果の公表を行う(2%改善を目安)
  • EMSは、導入事業者自らが制御・運用改善に取り組める機能を具備していること など
対象経費 設備費・設計費・工事費
補助率
  • 中小企業:1/2
  • 大企業:1/3
上限額 1億円
※下限額は30万円となる予定

※2025年2月時点の情報です

※出典:経済産業省「令和6年度補正予算案における省エネ支援パッケージ」https://www.enecho.meti.go.jp/appli/public_offer/2024/data/1204_01_06.pdf

※出典:経済産業省「令和6年度補正予算におけるGX支援対策費関係事業の概要(PR資料)省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金」https://www.meti.go.jp/main/yosan/yosan_fy2024/hosei/gx/pdf/r6_gx_pr.pdf

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省エネ補助金は、経済産業省や環境省が実施する支援制度の一つです。企業が省エネ設備を導入する際に利用でき、補助金という形で費用の一部を国に負担してもらえます。

今回紹介した「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業費補助金」と「省エネルギー投資促進支援事業費補助金」には、工場・事業場型、電化・脱炭素燃転型、設備単位型、エネルギー需要最適化型と、対象となる事業が4つあります。それぞれ、要件や対象となる経費、補助率、補助額などが異なるため、あらかじめ確認しておきましょう。

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