デジタルサイネージの仕組みと活用メリット、導入の流れをわかりやすく解説
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デジタルサイネージを導入するにあたって、どのディスプレイサイズを選べばよいのか、どういった設備や機器が必要なのか知りたい事業者様は多いのではないでしょうか。
この記事では、デジタルサイネージの基本構成や導入時に準備するもの、ディスプレイサイズの選び方についてわかりやすく解説しています。デジタルサイネージ導入の基本的な流れもまとめていますのでぜひ参考にしてください。
デジタルサイネージとは
はじめに、デジタルサイネージとはどのようなものかを整理しておきましょう。
デジタルサイネージは、電子的な表示機器による情報発信メディアです。商業施設や公共施設にディスプレイを設置し、映像や静止画を表示して情報を伝える仕組みのことを指します。従来の看板やポスターに代わる情報伝達媒体として、店舗や医療機関、交通機関、役所といった幅広い場所で活用されています。
デジタルサイネージがもたらす広告効果や一般的なモニターとの違いについては、次の記事で解説していますのであわせてご参照ください。
▶デジタルサイネージとは?モニターとの違いや導入メリット・広告効果をわかりやすく解説
デジタルサイネージの基本構成

デジタルサイネージは以下の仕組みから構成されています。
- ディスプレイなどの表示装置
- 表示内容を制御するコントロール部
- 送受信機能を担うデジタル通信部
- 画像や動画を保存するストレージ
それぞれどのような役割を果たしているのか、詳しく見ていきましょう。
ディスプレイなどの表示装置
表示装置は、ユーザーの目に直接ふれる部分のことです。デジタルサイネージは不特定多数の人が行き交う場所に設置されたり、多くのユーザーによる操作が行われたりすることが想定されます。そのため一般的なディスプレイ(モニター)と比べて耐久性が強化されている製品も少なくありません。とくに屋外への設置が可能な製品に関しては、表示装置に防水機能などが備わっているタイプのものが多く見られます。
表示内容を制御するコントロール部
ディスプレイに表示されるコンテンツを制御するのがコントロール部です。デジタルサイネージのコントロール部には、デジタルサイネージ向けに開発されたシンプルでセキュリティレベルが高く、かつ価格を抑えたSTB(セットトップボックス)が用いられているケースが多く見られます。あらかじめ設定された配信スケジュールに沿ってコンテンツを切り替えるのも、コントロール部が果たす役割の1つです。製品によっては、コントロール部がディスプレイに組み込まれた一体型のタイプも見られます。
送受信機能を担うデジタル通信部
デジタル通信部は、サーバとコントロール部をつなぐ役割を担います。ローカルネットワークに接続するタイプのデジタルサイネージであれば、配信されるコンテンツをコントロール部で受信する仕組みが必要です。また、タッチスクリーン等でユーザーが自ら操作できるタイプの場合、ユーザーによる操作履歴などのデータをサーバへ送信する役割も果たします。
画像や動画を保存するストレージ
ストレージとは、ディスプレイに表示するコンテンツのデータを保存しておく領域のことです。配信するデータを保存しておくことで、映像や音声を遅延なく再生できます。後述するスタンドアロン型(ネットワークへの接続が不要なタイプ)は、USBメモリやSDカード、HDDのような外部ストレージを機材に差し込むタイプです。クラウド型の場合は、クラウド環境の中のストレージにデータが保存されます。
デジタルサイネージを導入する際に準備するもの
デジタルサイネージには、大きく分けて次の4種類があります。
- スタンドアロン型
- ローカルネットワーク配信型
- クラウド型
- インタラクティブ型
デジタルサイネージを導入する際に準備しておくべきものを種類別に確認しておきましょう。
スタンドアロン型の場合
【主な準備項目】
- 表示装置
- ストレージ
- 表示するコンテンツ
(機器によって)
- スタンドもしくはハンガー等、表示装置を設置するための器具
スタンドアロン型とは、機器単独で運用できるタイプのデジタルサイネージのことです。ネットワークへの接続は不要で、USBメモリやPCなどに保存された映像や静止画を表示する仕組みになっています。
ネットワーク接続の仕組みを整える必要がないため、コンテンツを表示する表示装置(ディスプレイ)とディスプレイを固定するためのスタンドやハンガー、USBメモリやSDカードなどのストレージ、表示するコンテンツを用意すれば基本的な準備は完了です。短期間で手軽に設置を完了させたい場合や、導入台数が限られている場合にはスタンドアロン型が適しています。
【製品紹介】
ローカルネットワーク配信型の場合
【主な準備項目】
- ローカルネットワークをつなぐデジタル通信部
- 表示装置
- ストレージ(サーバの構築)
- 表示するコンテンツ
(機器によって)
- コントロール部
- スタンドもしくはハンガー等、表示装置を設置するための器具
ローカルネットワーク配信型とは、組織内のローカルネットワークを通じてコンテンツを配信するデジタルサイネージのことを指します。運用を開始するには、既存のネットワークへの接続、もしくはサーバの構築が必要です。また、コンテンツを表示する表示装置(ディスプレイ)とディスプレイを固定するためのスタンドやハンガーのほか、表示するコンテンツを準備することで運用の準備が整います。
ローカルネットワーク配信型のデジタルサイネージにはコントロール部(STB)が必要です。一方で、「STBレス」と呼ばれる製品もあります。コントロール部に相当する機能がディスプレイ本体に内蔵されていたり、コンテンツ再生用のアプリケーションを本体に直接インストールできたりするのがSTBレスの特徴です。STBレス端末であれば、STBを別途導入・設置するための費用が不要になります。
クラウド型の場合
【主な準備項目】
- クラウドサービスとの契約
- 表示装置
- 表示するコンテンツ
(機器によって)
- コントロール部
- スタンドもしくはハンガー等、表示装置を設置するための器具
クラウド型は、クラウドサービス上のシステムを利用してコンテンツを配信するタイプのデジタルサイネージです。クラウドサービスとの契約が完了すれば、基本的にはコンテンツを配信するための準備が整います。表示するコンテンツを準備し、コンテンツを表示する表示装置(ディスプレイ)とディスプレイを固定するためのスタンドやハンガーを設置すれば、すぐに運用を開始できる点がメリットです。ローカルネットワークを利用できない施設への設置にも適しています。
【製品紹介】
インタラクティブ型の場合
【主な準備項目】
- ユーザー操作が可能な表示装置
- ローカルネットワークへの接続またはクラウドサービスとの契約
- 条件分岐の設定を施したコンテンツ
(機器・配信方法によって)
- コントロール部(STB)
- ストレージ
- スタンドもしくはハンガー等の設置器具
インタラクティブ型とは、タッチスクリーンやボタンでのユーザーの操作に応じて表示内容が変化するタイプのデジタルサイネージです。ローカルネットワーク配信型/クラウド型の準備物に加え、自社の目的やユーザーの用途を想定した分岐設計を施したコンテンツが必要になります。条件分岐の設計に不備があると、ユーザーが求める情報に到達できなかったり、操作性が低下したりするおそれがあることから、ユーザー目線に立って分岐設計を行うことが大切です。
【製品紹介】
デジタルサイネージの種類と特徴、用途別の選び方については次の記事で解説していますので、こちらもぜひ参考にしてください。
ディスプレイサイズの選び方

デジタルサイネージには幅広いディスプレイサイズがあります。どのサイズが適しているかは、設置場所や設置方法のほか縦型か横型かによっても異なるため、基本的な選び方を知っておくことが大切です。
設置場所・設置方法
設置場所として屋内/屋外のどちらを想定しているのかは、ディスプレイサイズを選ぶ際の重要なポイントです。一般的には屋外に設置する場合には遠くからでも視認できる必要があるため、屋内と比べてやや大きめのサイズを選ぶとよいでしょう。
設置方法に関しては、製品によってスタンド式や壁掛け式、吊り下げ式、埋め込み式などを選べます。設置予定の場所に確保できるスペースやユーザーの目線の高さを想定して、最適な設置方法を選ぶのがポイントです。
縦型・横型の違い
ディスプレイを縦方向に設置するか、横方向に設置するかに応じて、適したディスプレイのタイプやサイズを見極めることも重要なポイントといえます。
縦型はユーザーの目線の高さに合わせた表示領域を幅広くカバーできます。店舗の入り口付近などに設置するメニューや商品紹介に活用できるほか、設置スペースの幅が限られているような場所にも柔軟に対応しやすい点が特徴です。一方、横型は通路のように通行しながら見ることが想定される場所や、タッチ操作が可能なインタラクティブ型のディスプレイとして設置する場合に適しています。
このほか、配信するコンテンツの縦横比や、掲載する情報を確認する際のユーザーの視線の動きなど、総合的な観点から縦型・横型を選ぶとよいでしょう。
インチ数の目安
デジタルサイネージのディスプレイサイズには、32インチ、42インチ、46インチ、55インチ、75インチなどのバリエーションがあります。標準的な縦横比はやや横長の4:3ですが、近年はさらに横幅が広い16:9のディスプレイが採用されることもめずらしくありません。想定される用途と適したインチ数の目安は次のとおりです。
- 10〜20インチ:店内POPなど、比較的近距離で見る機会が多い場合
- 40〜50インチ:屋内での情報提供に活用する場合
- 50〜75インチ:屋外での情報提供に活用する場合
デジタルサイネージを活用するメリット
従来の看板やポスター、店内POPをデジタルサイネージに置き換えることで、具体的にどのようなメリットを得られるのでしょうか。デジタルサイネージならではのメリットについて解説します。
光や動き、音で訴求できる
ディスプレイは光を発するため、印刷物よりも目立ちやすく通行者の視界に入りやすい点が大きなメリットです。アニメーションを取り入れた動きのある表現や、音声などを駆使した表現も可能になることから、訴求力を高める効果が期待できます。
看板やポスターは、通行時に意識して目を向けなければ掲示されていること自体に気づかないケースも少なくありません。光や動き、音に反応する視覚の特性を踏まえると、デジタルサイネージによる訴求効果は決して小さなものではないでしょう。
表示内容を柔軟に差し替えられる
従来のポスター等は都度貼り替える必要がありましたが、デジタルサイネージはデータを入れ替えるだけで表示内容を柔軟に変更できます。あらかじめ配信スケジュールを設定しておくことで、時期や時間帯に応じて表示内容をタイムリーに切り替えられることは大きなメリットです。
例えば、飲食店であれば、ランチタイムとディナータイムで表示内容を自動的に切り替えたり、日替わりメニューを曜日ごとに表示したりする場合があるでしょう。データを入れ替えるだけで表示内容を変えられることは、管理や運用の効率化につながります。
目的や規模に合わせて導入できる
デジタルサイネージには多くの種類があるため、目的や導入規模に応じて柔軟に選べる点も魅力の1つです。シンプルな仕組みで小規模に導入する場合も、多拠点で大規模に導入する場合も、どちらにも対応できます。
また、インタラクティブ型であればユーザーの視線や操作履歴をデータとして活用することも可能です。ユーザーがどのようなことを知りたいと感じるのか、どういったニーズがあるのかをデータを元に分析し、店舗や施設運営の改善に役立てられます。
なお、デジタルサイネージには曲面に貼り付けてコンテンツを表示できる透過型フィルムLEDビジョンや、屋内の床に映像を映し出して人の動きに合わせた演出ができるタイプの製品もあります。
【製品紹介】
デジタルサイネージ導入の流れ

デジタルサイネージを導入する際の基本的な流れを紹介します。運用開始後の失敗を防ぐためにも、次の手順に沿って計画的に導入を進めましょう。
導入計画を策定する
はじめに、デジタルサイネージを導入する目的を整理しておくことが大切です。デジタルサイネージによって解決したい課題を明確にすることで、導入すべき端末のタイプや設置場所を絞り込みやすくなります。
また、目的を達成するために必要な仕組みや設置場所、コンテンツの方向性もあわせて検討しておきましょう。情報を広く提供したいのか、ユーザーが求める情報に合わせて表示内容を変えたいのかによって、選ぶべきデジタルサイネージの種類が異なります。データの活用が導入目的に含まれる場合は、必要なデータ項目や検証方法も含めて計画を策定しておくのがポイントです。
システム設計と機器選定
次に、導入計画に沿ってシステム設計を進めます。既存の社内ネットワークなどを活用するのか、新たな仕組みを導入するのかによって、必要な機器や準備物、初期費用は大きく異なるでしょう。導入する台数や運用に要する手間なども考慮しながら、導入目的を達成できるシステム設計にすることが大切です。
システム設計が完了したら、その仕組みを実現するために必要な機器を選定していきます。STBやストレージが本体に搭載されているかどうかによって、準備すべき機器の種類が異なる点に注意しましょう。
コンテンツ制作
ターゲットに訴求したいメッセージを起点に、どのようなコンテンツが必要になるのかを検討します。自社が伝えたい情報のみをコンテンツの中心に据えるのではなく、ユーザーが求めている情報を十分に考慮しておくことが大切です。
コンテンツの質は、デジタルサイネージの導入効果を大きく左右します。インパクトだけに偏ることなく、伝えたいメッセージが端的に届くかどうかを重視するのがポイントです。必要に応じて制作を外部委託するなどして、質の高いコンテンツを目指しましょう。
設置工事の実施
表示装置およびネットワーク関係の設置工事を進めていきます。設置後は画像調整や動作確認を行い、不具合なく表示される状態にしておくことが重要です。
表示するコンテンツを時期や時間帯に応じて切り替える場合は、配信スケジュールどおりに変更が反映されているか必ず確認しましょう。ユーザーの視線の高さから見た場合に表示内容が問題なく読めるか、スライドショーの切り替え間隔は適切か、といった点を1つずつ検証しておく必要があります。
運用・保守
デジタルサイネージの運用開始後は、運用状況を随時監視することが大切です。なんらかの不具合が発生した際には即時対応できるよう、必要な人員確保や体制の整備を進めておきましょう。
また、定期的な機器類の点検も欠かせません。不具合や故障が発生してから対処するのではなく、定期点検を通じて未然防止に努めるのがポイントです。機器類の過熱が原因で故障や熱暴走につながる可能性があるため、異常な温度上昇が発生していないか、冷却ファンなどが正常に作動しているか、といった点を重点的にチェックすることをおすすめします。
デジタルサイネージの仕組みを理解して効果的に運用しよう
デジタルサイネージは、端末のタイプごとに仕組みや構成が異なります。基本的な構成を把握するとともに、導入するデジタルサイネージの種類に応じて必要な準備物を確認しておくことが大切です。店舗や施設に最適なデジタルサイネージを導入して、従来の看板やポスター、店内POPでは困難だった課題解決にぜひお役立てください。
カナデンでは、導入目的に応じたデジタルサイネージ設備構築のご提案が可能です。現在の課題や気になる製品について、お気軽にご相談ください。
【デジタルサイネージ関連商品のご紹介】














