河川の氾濫だけじゃない!工場の内水氾濫対策と大雨見回りの労災防止
2026年9月30日
業界トレンド・製品解説
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気候変動の影響により、日本各地で線状降水帯や突発的な局地的大雨が頻発するようになりました。製造現場や物流拠点を取り巻く浸水リスクは年々高まっており、大雨への対策は特定の季節に限らず、年間を通じて取り組むべき安全管理・施設保全の重要課題となっています。
集中豪雨が発生した際、工場の安全管理において大きな課題となるのが「排水設備の目視確認」です。浸水を防ぐための状況把握は不可欠ですが、暴風雨の中で作業員を側溝や雨水桝(うすいます)へ向かわせる行為は、転落や流失といった重大な労働災害を引き起こす危険を伴います。設備を守る責任と、従業員の命を守る安全配慮義務。この二つを両立させるためには、人に頼らず安全な場所から状況を把握できる仕組みづくりが欠かせません。
本記事では、高台でも発生する「内水氾濫」の仕組みと見回りに潜む労災リスクを整理したうえで、配線工事が難しい現場でも実現できる「水位監視の遠隔化」と見回りゼロ化について詳しく解説いたします。
工場を襲う「内水氾濫」の基礎知識と浸水が発生する仕組み
水害対策というと「近隣河川の堤防決壊」を想像される方が多いかもしれません。しかし、近年の製造現場や物流拠点で頻発しているのは、河川の決壊を伴わない「内水氾濫」による浸水被害です。
外水氾濫と内水氾濫の違い
水害は発生要因によって「外水氾濫」と「内水氾濫」に大別されます。
外水氾濫とは、大雨によって河川の水位が上昇し、堤防を越水(えっすい)したり決壊したりして周囲へ濁流が流れ込む現象です。ハザードマップ等でも浸水想定区域として明確に示されることが多く、比較的警戒態勢を整えやすい特徴があります。
一方の内水氾濫とは、敷地内に降った大量の雨水を側溝や排水路から外部へ排出しきれなくなり、敷地内の地表面や桝から水が溢れ出して建物やピットが浸水する現象を指します。河川から遠く離れた高台にある工場や、ハザードマップで浸水警戒区域に指定されていない地域であっても、排水能力を超える大雨に見舞われれば容易に発生します。
国土交通省の水害統計調査によると、近年の水害被害額のうち約3割から4割が内水氾濫に起因していると報告されています。
※出典:国土交通省「近年の全国における水害被害」https://www.mlit.go.jp/mizukokudo/sewerage/content/001320996.pdf
工場敷地内で冠水が起きる2大要因
敷地内で排水が滞る背景には、工場の立地環境や設備設計に関わる2つの主な要因が存在します。
・工場の排水能力を超える短時間強雨の増加
気象庁の長期観測データによれば、1時間降水量50ミリ以上の短時間強雨の年間発生回数は、統計開始当初(1976年〜1985年の10年平均)と比較して直近10年間で約1.5倍に増加しています。敷地内の集水桝(しゅうすいます)や排水溝、排水ポンプの多くは建設当時の降雨基準をもとに設計されているため、近年の激甚化・局地化したゲリラ豪雨の排水能力を超えてしまい、溢れ出す原因となります。
※出典:気象庁「大雨や猛暑日など(極端現象)のこれまでの変化」https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/extreme/extreme_p.html
・外部放流先の水位上昇によるバックウォーター現象
工場の雨水は外部の農業用水路や公共下水道、準用河川へ放流されます。しかし、集中豪雨によって受け手側の水路の水位が満杯になると、水門が自動閉鎖されたり、工場の排水口へ水が逆流したりする現象が起きます。これにより、わずか十数分から数十分という短時間で敷地内がプールのように冠水してしまうのです。
▼工場建屋内の床面やピットへの浸水・漏水リスク対策については、こちらの記事で詳しく解説しています。
漏水センサによる浸水対策ガイド|製造現場のリスクを防ぐ選び方と最新システム|カナデン製品サイト
豪雨時の「水位確認・見回り」に潜む重大な労災リスク
工場敷地内で冠水の恐れが生じた際、現場で慣習的に行われがちなのが作業員による屋外排水溝や調整池の目視確認です。しかし、この見回り作業には人命に関わる重大なリスクが潜んでいます。
激しい風雨や夜間の現場では視界が極端に悪く、足元が冠水していれば側溝の縁や外れたグレーチングの位置を見分けることは困難です。開口部への転落や濁流への流失事故は後を絶たず、特に単独作業になりやすい時間帯では発見や救助の遅れが致命傷になりかねません。企業に義務付けられている「安全配慮義務」の観点からも、危険な暴風雨の中で作業員を見回りに向かわせる運用は大きな労災リスクを伴います。現場の責任感や善意に頼って状況を確認しに行く体制から脱却し、人を危険に晒さずに水位を把握できる仕組み作りが不可欠です。
▼災害時に人が現場へ行かずに安全確保と事業継続を図るBCP対策は、こちらの記事をご参照ください。
製造業・工事業のBCP対策!自然災害から現場を守る遠隔地管理システムとは|カナデン製品サイト
豪雨の見回りをゼロにする!IoTを活用した遠隔水位監視
危険な見回りをなくし、工場の内水氾濫を未然に防ぐ確実な解決策が「IoT技術を活用した水位の自動計測」です。これまで工場敷地内にある側溝や排水溝への水位計設置が進まなかった大きな要因は、広大な敷地における電源工事や通信配線の莫大なインフラコストにありました。しかし近年では、配線工事を必要とせず、電池駆動などの自立型電源で安定稼働する水位監視システムが普及しています。センサが自動で水位を測定し、事務所のPCやスマートフォンへリアルタイムにデータを届ける環境を整えることで、暴風雨の中での危険な巡回業務を削減できます。
▼見回りの労災を防ぐ!配線不要の水位監視システム|カナデンおすすめ製品
失敗しない工場向け水位センサの選び方と運用のコツ
工場の敷地内で水位センサを導入する際は、機器本体の性能だけでなく「現場特有の設置環境」を考慮することが重要です。選定で失敗しないための確認ポイントを解説いたします。
1,電源方式と配線工事費用の有無
敷地外縁の側溝まで電源や通信線を引く場合、アスファルトの掘削など高額な工事費が発生し、本体価格を上回ってしまうケースがあります。天候不良で止まるリスクがあるソーラー式よりも、長期間自律稼働できる電池駆動タイプがコストを抑える近道です。
2,金属建屋や遮蔽物に強い無線通信環境
鉄骨建屋や大型機械が多い工場では電波が遮られがちです。大雨の最中に「通信が途切れて状況が見えない」という事態を防ぐためにも、障害物に強い長距離無線や、電波を中継し合えるネットワーク構造を備えた機器が適しています。
3,スマートフォンやPCへの段階的な遠隔警報
警報盤が事務所にしかなければ、結局夜間や暴風雨の中で現場確認に追われてしまいます。危険度に応じて管理者の端末へ段階的に自動通知が届くクラウド型の仕組みがあれば、現場へ行かずに余裕を持った初動対応が可能になります。
敷地内の側溝だけでなく「地下ピットや排水ポンプ」もまとめて遠隔監視
工場の浸水対策をより強固にするためには、敷地外縁の側溝だけでなく、工場建屋内にある地下ピットや排水ポンプまでを含めた総合的な監視が欠かせません。豪雨時には、屋外の側溝から水が溢れるだけでなく、地下ピットの水位急上昇や排水ポンプの作動不良によって建屋内の床面が浸水するリスクも同時に発生します。しかし、既存の設備をすべて最新のスマート機器に入れ替えるには多大なコストがかかります。
そこで有効なのが、既設のアナログ計測器(液面計や圧力計、ポンプの稼働電流出力など)に後付けできる無線通信ユニットの活用です。大掛かりな配線工事を行うことなく、既存設備の信号をそのままクラウド上へ取り込むことで、屋外の側溝水位と屋内の排水ポンプの稼働状態をひとつの管理画面でまとめて遠隔監視できるようになります。
▼既存設備や計測器を後付けで無線化・遠隔監視!現場の安全管理を広げる|カナデンおすすめ製品
▼広域に点在する排水ポンプや受変電設備を一括遠隔監視!|カナデンおすすめ製品
また、集中豪雨時には敷地の冠水だけでなく、落雷に伴う瞬間電圧低下(瞬低)や停電によって排水ポンプ自体が停止してしまう複合的なリスクも潜んでいます。水害対策と並行して、受変電設備や制御機器の電源保護体制を平時から見直しておくことが重要です。
▼落雷から工場の制御盤・排水設備を守る!新型避雷針|カナデンおすすめ製品
工場の水害・安全対策をスマート化するカナデンのIoTソリューション
エレクトロニクスと機械の専門商社であるカナデンでは、長年にわたり製造業やインフラ現場の安全・効率化を支援してきた知見を活かし、現場の設置環境に合わせた最適な遠隔監視ソリューションをご提供しています。「敷地内のどの排水溝に水位計を設置すべきか分からない」「自社の敷地環境で電波が届くか不安がある」といった疑問や課題に対しても、専門の技術スタッフが現場調査や電波測定を含めて丁寧にサポートいたします。
単に機器を販売するだけでなく、お客様の既存の運用フローや安全基準に合わせた警報通知設定、工場内の各種設備監視との連携まで、ワンストップでご提案できる点がカナデンの強みです。
被害が起きる前の一歩が従業員の命と工場の操業を守る
局地的な集中豪雨や突発的な大雨は、もはや特定の季節に限った現象ではなく、日常的に直面する現実的な安全管理上の課題となりました。河川から離れている場所であっても、短時間での排水溝の溢れによる内水氾濫は突発的に発生します。しかし、浸水が始まってから、あるいは豪雨の真っ只中に人が現場の見回りを行っていては、設備を守るどころか大切な従業員の命を危険に晒すことになってしまいます。トラブルが起きてから後悔するのではなく、安全な平時の「今」だからこそ、人的負担をかけずに敷地内の状況を可視化できる遠隔監視体制の構築が求められています。
電源不要・配線不要でスピーディーに導入できる水位センサは、工場の操業継続と現場で働く人々の安全を守るための頼もしい防波堤となります。大雨に強い安全な工場作りに向けて、まずは屋外の気になる排水溝や調整池の可視化から一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。
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